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1.シューベルト:交響曲第8番ロ短調 D.759「未完成」
2.チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」作品71a
スイス・イタリア語放送管弦楽団
指揮:セルジュ・チェリビダッケ
録音:1963年6月14日、ルガーノ[ライヴ]
さて今日はチェリビダッケ壮年期の録音。晩年の神々しくも完全に作曲家の意図を無視したようなチェリビダッケ独特の世界観に支配された音楽とはまた違った世界がここにある。
1963年の録音とあるのでベルリンを去りフランス国立管を経てシュトゥットガルト放響の指揮者になる間の不遇の時代の録音である。もっともこの時期はデンマーク王立歌劇場管やスウェーデン放響など北欧のオーケストラの指揮者としても活躍していたらしいがその地位や名声を確固のものにしたのはやはり1970年代に入ってからのシュトゥットガルト放響の指揮者となってからだ。
したがって1960年代のチェリビダッケはいわゆる浪人時代であってイタリアの放送局に数多くの録音を残している。それゆえこのへんの録音から多くの海賊版が出回る事となった。このルガーノの録音に関してもおおかたそういった流れがあるのだと思う。
録音はモノラルのようだけれども状態は非常にいい。
シューベルトの「未完成」交響曲は線が太くしっかりとした重厚なサウンドである。その一方で表情の変化が大変細やかで緊張度、集中度ともに満点だ。テンポに関しても晩年の奇異とも取れる重々しい遅いテンポではなく極めて自然なものである。しかしそのリズム感における特有の音楽運びは晩年の神々しさを感じさせる部分に溢れている事も事実。
いずれにしてもこの「未完成」交響曲は(オケの音色がぶっきらぼうで録音状態を考えると必ずしも最高とはいえないが)演奏としてはベストだ。
続くチャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲は大変元気のいい演奏だ。冒頭の小序曲やアラビアの踊りなどはややけだるさも感じてしまうが行進曲、トレパークなどの音楽では晩年のチェリビダッケの録音などでは感じられないような快速なテンポで一気に演奏している。フィナーレの花のワルツなどでは重いリズムでありながら思い切った速いテンポで演奏するので鋼鉄が疾走するような「ワルツ」だ。
ちなみにこのルガーノの録音は「ライブ・クラシック・100」という名前でいわゆる駅売りされているような海賊版で一時期出回っていた(最近は全く見ない)。この時はこの組曲からの抜粋で小序曲、行進曲、花のワルツの3曲が収録されていた。またゾルタン・ペシュコ指揮によるの「1812年」やムーティの指揮による「ポーランド」交響曲が併録されていた。
またチェリビダッケによる「くるみ割り人形」組曲は1948年のロンドン・フィルとのもの(LONDON POCL-3909)と1991年のミュンヘン・フィルとのもの(EMI TOCE-55667-68)が正規録音として出ている。
前者は青年期のスタイリッシュでスタンダードな演奏、後者はいわゆるチェリビダッケの観念的な世界観に支配されたユニークな演奏となっている。
今回のルガーノのライヴ録音はまさにこの両者を足して2で割った演奏といえる。
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ちぇりさん、ご無沙汰しております。今日中古店でチェリの「ロメオとジュリエット」「展覧会の絵」を手に入れましたが、凄いですね。娘と聴いて、二人で鳥肌を立てていました。
2006/6/12(月) 午後 6:57 [ - ]
はいどう様>コメントありがとうございます。娘さんと二人で聴けるなんて羨ましいですね。あの「展覧会の絵」は驚異的な集中力ですよね!
2006/6/13(火) 午前 0:29
ちぇりさん、ブラームスも良かったですが、プロコフィエフの交響曲1と5、それに今回。チャイコフスキーのロメオ〜も、最高です。多分ちぇりさんに出会っていなければチェリビダッケを聴かずに・・・・そう考えると恐いです。ちぇりさんに感謝!
2006/6/13(火) 午後 11:13 [ - ]
はいどう様>コメントありがとうございます。返事が遅れてしまってすみません。チェリビダッケを聴きすぎると他の演奏を聴いてもピンとこなくなってしまいます。いいのか悪いのか?聴きすぎ注意!?といったところでしょうか(笑)。
2006/6/17(土) 午後 1:42
チェリビの神々しさは、ディスクからはあまり感じられないのです。現物を見るまでは、ディスクでもぴりぴりとした緊張感が感じられたのですが、現物はもっとすごかった。音質がよくないと思われる人見記念ですらが、水を打ったような静けさで、、、、以来、あの生の緊張はディスクでは味わえません。最晩年のよぼよぼでしたが、場内を静まらせる実力は健在でした。
2006/7/5(水) 午前 0:18 [ あぶらぼうず ]
padva様>コメントありがとうございます。生でチェリに接する事が出来たのですね?羨ましい。私はチェリの神々しさをはじめて知ったのが海賊盤のCDだったので・・・。確かに生には勝てません。今となってはチェリに関して知る得る限りのソースがCDしかない以上、生の経験は貴重ですね。残念ながら私は今となっては録音にしか頼れないので仕方ありません。それが限界です。それでもCDから聴こえる音の神々しさは心を打ちます。当然、生には勝てませんが。
2006/7/5(水) 午後 10:30