クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

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モーツァルト:ピアノ協奏曲全集(1)
1.ピアノ協奏曲第5番ニ長調K.175
2.ピアノ協奏曲第6番変ロ長調K.238
3.ピアノ協奏曲第8番ハ長調K.246
4.ロンドニ長調K.382

マティアス・キルシュネライト(Pf)
バンベルク交響楽団
指揮:フランク・ベールマン
REC:1999[1],2002[1-3]

 さて激安キルシュネライトのピアノによるモーツァルトのピアノ協奏曲全集。
 ピアノ・ソロのための協奏曲のみの収録。
 今日はその中から第1集。

ピアノ協奏曲第5番ニ長調K.175

 実質的にモーツァルトにとって最初のピアノ協奏曲。第1〜第4番まで(複数の作曲家によるクラヴィーア・ソナタを編曲してピアノ協奏曲に仕立て上げたもの)とK.107の3つの協奏曲(J.S.バッハの末っ子であるJ.C.バッハのクラヴィーア・ソナタを編曲したもの)が初期のものとしてあるけれどあくまで他人の作品の編曲なのでこの作品がモーツァルトによる最初のオリジナルのピアノ協奏曲ということになる。
 1773年の作品であるから意外にこのピアノ協奏曲というジャンルのオリジナルの作品を手がけるにしては年齢的に比較的遅くに手を付けた事になる。それゆえこのK.175の協奏曲も深みのある作品といえるだろう。モーツァルトも相当この作品に対して愛着があったらしく長らくこの協奏曲を自らのレパートリーとしていたようだ。1782年になって第3楽章を新しく書き換える(K.382のロンド)などしている。
 編成にトランペットが加えられているなど豪華で明るく祝祭的な気質の作品だ。

ピアノ協奏曲第6番変ロ長調K.238

 1776年の作品。先の第5番からおよそ2年後に作曲された。第5番に比べるとやや地味な作品だ。ただピアノのパートは技巧的に高度に書かれているらしくモーツァルト自身の演奏会用の楽曲として作曲されたようだ。格調高く端整な印象を受ける。
 特に私の心を捉えたのは第2楽章。この楽章の雰囲気の難しさは名状しがたい。純粋さと深さがアンダンテのテンポで同居しなくてはならないのだから。子供のような純真さと大人の深淵さが同時に聴こえなくてはならないのだ。
 キルシュネライトはこの難題を見事に演奏せしめている。伴奏の自然な雰囲気も見事。

ピアノ協奏曲第8番ハ長調K.246

 第6番同様1776年、モーツァルト20歳の作品。第6ほど内省的なものではなく、どちらかといえばウィットに富んだ社交的とも言える作品だ。ホーエン・ザルツブルク城塞司令官のリュッツォウ伯爵夫人のために作曲されたらしく「リュッツォウ」という副題も持っている。
 終楽章がメヌエットで書かれていて素人耳にも何か優雅ながらも軽めな社交的な音楽だなと感じる。ただ、それでいてフレーズにおける気まぐれともとれるような突如と現れる瞬時の陰影の変化とその持つ意味の深みのようなものを直感的に聴き手に感じさせるモーツァルトの類まれな音楽センスを息を呑んで聴かずにはいられない。


ロンドニ長調K.382

 第5番のピアノ協奏曲の第3楽章の代替作品として第5協奏曲が作曲されてから約9年後に作曲された。第5協奏曲がやや真面目すぎるとの批判から当時の観衆に受けの良い作品に仕立てたというもの。
 キルシュネライトは真面目に淡々と演奏をしているためにテーマなどは大変耳にいいのだが冗長としていて内容に乏しく聴いてみるときわめて印象の薄い退屈な作品となっている。観衆に迎合したために音楽の内容や印象が薄くなっていると思う。だからこういう作品はもっとアクの強いでしゃばりな演奏でなくてはならないと個人的に思う。


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