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モーツァルト:ピアノ協奏曲全集(2)
1.ピアノ協奏曲第9番変ホ長調 K.271「ジュノム」
2.ピアノ協奏曲第11番ヘ長調 K.413
マティアス・キルシュネライト(Pf)
バンベルク交響楽団
指揮:フランク・ベールマン
REC:2004[1],2002[2]
ピアノ協奏曲第9番変ホ長調 K.271「ジュノム」
この作品は1771年、ザルツブルクで作曲された。ザルツブルクにおける単調な日々を悶々として送っていたモーツァルトが謎のフランス人ピアニスト「ジュノム嬢」との出会いをきっかけに作曲したといわれているのがこの作品。
非常に個性的で型破りな構成をもっているようだ。第1楽章冒頭におけるオーケストラの分散和音に即応するピアノ。この様式は当時としては異例中の異例でこの作品のあとこのような冒頭の構成をもつ作品はベートーヴェンのピアノ協奏曲まで待たなくてはならない。
第2楽章は「ため息の音型」といわれるフレーズがハ短調で歌われ哀愁漂うメロディが特徴的。
軽やかで華やかにはじまる第3楽章は中間部にメヌエットが挿入された大変特徴的なもの。
モーツァルと自身も数多くこの作品を演奏していたようでたくさんのカデンツァやアインガングが残されているようだ。
さて冒頭で触れた「ジュノム嬢」は後年の研究の結果、架空の人物であった可能性が高いらしい。
現在はフランスの有名な舞踊家ノヴェールの娘でピアニストであったルイーズ・ヴィクトワール・ジュナミのために書かれたという説が有力のようだ。この他やはりフランスのピアニスト、ヴィヨームという人のために書かれたという説もある。
いずれにしてもこの作品は当時のフランスの流行に影響を受けて作曲された事は間違いないであろう。
ピアノ協奏曲第11番ヘ長調 K.413
K.414(第12番)とK.415(第13番)とともにウィーンにおける予約演奏会のために作曲された。この作品はこの3つの連作のうち第2番目の協奏曲で1782年12月28日に完成したと考えられている。管弦楽にファゴットを導入、全体的にヴィオラが重視されるなど中音域が充実したオーケストレーションになっていてふくよかな響きになっている。
第1楽章は通常と異なり3拍子で特徴的なクラヴィーアの導入が特徴的。ウィーン風情に合わせたように優雅で堂々とした楽曲。
第2楽章における牧歌的なメロディーは大変印象的で優しいそよ風を感じさせる。いかにもモーツァルトらしい美しい旋律が大変印象的だ。
第3楽章はカデンツァのないテンポ・ディ・メヌエットによるロンド形式。すうーっと力を抜くように終わる最後が終楽章らしからぬ終わり方で面白い。
個人的にはこの楽章の3:40〜の10秒間の優雅でありながら切な過ぎるなんともいえない旋律が心を捉えてならなかった。この部分におけるキルシュネライトのピアノとバンベルクの管弦楽の絡み方が実に素晴らしい。
この作品は上記の第3楽章におけるたったの10秒だけを考えても楽曲、演奏、両方の素晴らしさを体感できると思う。
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