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モーツァルト:ピアノ協奏曲全集(3)
1.ピアノ協奏曲第12番イ長調 K.414
2.ピアノ協奏曲第13番ハ長調 K.415
3.ロンド イ長調 K.386
マティアス・キルシュネライト(Pf)
バンベルク交響楽団
指揮:フランク・ベールマン
REC:1999[1],2004[2],2005[3]
ピアノ協奏曲第12番イ長調 K.414
K.413(第11番)とK.415(第13番)とともにウィーンにおける予約演奏会のために作曲された。この作品はこの3つの連作のうち最初に作曲された。1782年の秋に完成したと考えられている。
モーツァルトはこれらの3連作を書くに当たってその書簡の中で父であるレオポルドにこのように語っている。
「難しすぎもせず、易しすぎもせず、その中間で、華麗で聴いていて快く、空虚にならずに自然で、音楽通の人も音楽通でない人たちもなぜかきっと満足する様にかかれています。」
なるほどこのイ長調の作品はまさにモーツァルトがこのように自ら語ったようになんともいえない雰囲気をもっている。一見(一聴)中庸でありながら豪華でおおらかでありながら綿密な音楽なのだ。
ちなみにこの作品の第2楽章の主題はモーツァルトの敬愛していたJ.C.バッハのオペラ「誠意の災い」序曲から借用している。
やはり個人的な好みであるがこの作品の第1楽章の中ごろ(5:30〜)の10秒間の旋律の美しさを一言付け加えたい。
ピアノ協奏曲第13番ハ長調 K.415
K.413(第11番)と前述、K.414(第12番)とともにウィーンにおける予約演奏会のために作曲された。このハ長調の作品は管弦楽にトランペットとティンパニが加えられるなど3連作の中でも一番華やかで祝祭的な雰囲気に溢れた楽曲である。
後年のジュピター交響曲を思わせるような豪華な響きをバックに力強いピアノのパッセージなど聴き所が満載だ。きっとかなり客受けが良かったに違いない。唯一解せないのは終楽章の終え方。K.413(第11番)の終わり方と酷似している。すうっと終わってしまう。当時はこういう終わり方が流行だったのだろうか?
キルシュネライトのピアノはこの作品では冴え渡っている。鍵盤の上で軽やかに踊るようなタッチと聴かせどころを見事におさえた表情豊かな音楽に聴き手も引き込まれる。ピアノも管弦楽も思い切りこの音楽を楽しんでいるように感じる。聴き終えて爽快な気分になる。
ロンド イ長調 K.386
K.414(第12番)の協奏曲の第3楽章の代用楽曲として作曲されたという説が長らく伝えられてきたが現在はその確証もなくはっきりとはしないらしい。
このロンドはかなり劇的な楽曲で音楽の雰囲気が瞬時に変化する。時に楽しく時に悲しく、その音楽の性格が自然にころころ変化する。この雰囲気はモーツァルト独特の語法といえよう。微妙で繊細な人間の心理の変化を見事に音楽に昇華した作品といえる。この楽曲の来歴は判然としないがK.382のロンドに比べると格段に大人な雰囲気、内容を持っていて聴き応えのある名曲だ。
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お久し振りです。「ロンド」イ長調 K.386はとても好きな曲です。初めて聴いたときは明暗のコントラストの大きさに引き込まれました。聴き応えのあるとのご指摘全く以って同感です。
2006/8/9(水) 午後 11:37
白髪ばっは様>コメントありがとうございます。モーツァルトのピアノ協奏曲、適当に聴いてしまうと自然すぎて耳に残る音楽とはいえませんが、じっくりと聴くと非常に味わいがあります。
2006/8/10(木) 午後 10:35