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1.プロコフィエフ:バレエ組曲「ロメオとジュリエット」(抜粋)
2.チャイコフスキー:イタリア奇想曲 作品45
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:カレル・アンチェル
REC:1959[1],1965[2](SUPRAPHON 25CO-2799)
プロコフィエフ:バレエ組曲「ロメオとジュリエット」(抜粋)
これからもさらにプロコフィエフの作品を聴いていくことにする。今日は先日全曲版で聴いたプロコフィエフの代表的作品といっていい「ロメオとジュリエット」の抜粋版を名門チェコ・フィルの演奏で聴く。指揮は第2の黄金期をつくったカレル・アンチェル。
楽曲は第1組曲と第2組曲から10曲が抜粋されている。
アンチェルとチェコ・フィルの関係については以前に「グレイト・コンダクターズ」シリーズのときにふれた覚えがあるので参考にしていただきたい。http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/35384296.html
録音は1959年との事でステレオではあるが期待は出来ない。音が大きくなる場面などでは音が割れてしまい残念。ただこの時代のやや暗めのいぶし銀のチェコ・フィルの音色を堪能できる事間違いなしだ。たしかにやや時代を感じるがこのオーケストラの精度の高さとアンチェルの筋肉質な音作りには率直に感動する。
アンチェルは直球勝負でこの作品に挑んでいるようで音に色気の微塵もない。極めて男性的な雰囲気で一気にまくし立てるかのように、力強いがいたってタイトに、規律よく淡々と音楽を設計しているようだ。
しかし音楽が高潮していくとそのエネルギーは一気に爆発する。特に「タイボルトの死」の場面における鬼気迫る凄まじい演奏には思わずのみこまれそうになる。
木管楽器の音色には今のオーケストラにはもうなくなってしまったようなローカルな独特の雰囲気があって大変興味深い。特に有名な(ソフトバンクのCMの曲)「モンターギュ家とキャピュレット家」の後半で聴かれるサックスのソロの音、ファゴットの音かと思ってしまうほどに暗い地味な音だ。各所で聴かれる木管の素朴ながらも純粋な音色は必聴だ。
チャイコフスキー:イタリア奇想曲 作品45
併録されているチャイコフスキーのイタリア奇想曲も淡々としながらも品格を持った厳格な音楽作りだ。まじめすぎるという批判もあるかもしれないが凛とした感じがこの楽曲に高尚さを与えている。
派手さは全く感じられない。真面目をど真ん中で行った演奏。とかくこのイタリア奇想曲は派手なオーケストラ・パフォーマンスばかりが前面に出た熱すぎる演奏が多い中にあってこのアンチェルとチェコ・フィルの演奏は孤高の佳演といえよう。これぞ誠実な職人的演奏だ。こちらは1965年の録音とあってプロコフィエフの録音よりも状態はいい。
こう聴いてみるとアンチェルという指揮者はトスカニーニやライナーなどから感じる剛健さとケーゲルやアンセルメ、ギーレンなどに感じる冷徹さ、クールさを兼ね備えた指揮者といえる。ムラヴィンスキーに一番近いイメージといった方がいいかもしれない。
なにしろこのアンチェルという人には「高潔」という言葉が一番当てはまるような気がする。容姿も人生も音楽も。
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