クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

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『ヴィヴァルディ:リュート&マンドリン協奏曲集』

ヴィヴァルディ
1.協奏曲ハ長調 RV.558(種々の楽器のための)
2.協奏曲ニ短調 RV.540(ヴィオラ・ダ・モーレとリュートのための)
3.協奏曲ハ長調 RV.425(マンドリンのための)
4.トリオ ト短調 RV.85(ヴァイオリンとリュート、通奏低音のための)
5.協奏曲ニ長調 RV.93(2つのヴァイオリンとリュート、通奏低音のための)
6.トリオ ハ長調 RV.82(ヴァイオリンとリュート、通奏低音のための)
7.協奏曲ト長調 RV.532(2つのマンドリンのための協奏曲)

Duilio Galfretti(mand)[1,3,7]
Marco Bianchi(mand)[1,7]
Luca Pianca(lute)[2,4〜7]、他
イル・ジャルディーノ・アルモニコ
REC:1990[5],1992[1〜4,6,7](Warner 2564 63264-2)

 「イル・ジャルディーノ・アルモニコ」とは過激な演奏が売り物のイタリアの古楽合奏団である。イタリア語で「調和の庭園」などという意味があるらしい。
 
 この合奏団は故国イタリアの偉大なる作曲家ヴィヴァルディの作品集を多く残している。以前、有名な四季を聴いたのだがそのときの強烈過激な演奏の印象が忘れられない。
 
 今日聴くのは「リュート、マンドリン協奏曲集」と題されたリュートとマンドリンの活躍する楽曲を聴く事にする。


 その前に、リュートとマンドリンの違いを調べてみた。ともにギターの原型となる弦楽器なのだが、その歴史はリュートの方が長い。その起源をペルシア時代に遡り日本の「琵琶」と源流は同じのようだ。中世〜ルネサンス期のヨーロッパにおける代表的な楽器としてかなりポピュラーな楽器となった。

 それに対しマンドリンはこのリュートから派生したイタリア発祥の楽器でヴィヴァルディの時代にももちろん存在した楽器であったがあくまでリュートの派生楽器としての意味合いの強い存在であったと推測される。

 むしろマンドリンがマンドリンとして認知され一般的な市民権を得たのは19世紀にはいってのことであった。すなわちマンドリンという楽器がローカルな意味合いを持つことに対しリュートは(リュートがそれぞれの地方によってないしはその音域や使われ方によって名称が変わっている点も考慮すると)その時代における普遍的な総称として存在したと推測される。

 したがって細かい音色ないし構造という点での音楽学的な見地を無視すればリュートは普遍的な総称でマンドリンは一地方のリュートの派生楽器として考えられる。

 その音色は素人の耳からすれば素朴で小さい音量がリュート。派手で大きな音量がマンドリン。ということに(個人的に)落ち着いた。


協奏曲ハ長調RV.558「種々の楽器のための」


 最初の協奏曲は「種々の楽器のための」というニックネームのあるかなり大掛かりな音楽だ。南欧風の明るい音楽で様々な楽器が登場するので非常に興味深い。
 
 編成は2つのフルート(リコーダー)、2つのサルモ(クラリネットの前身楽器らしい) 、2つのマンドリン、2つのテオルボ(大きめのリュート)、2つのヴァイオリン(トロンバ・マリーナ風)、チェロと弦楽合奏。
 
 ここで珍しいのが「トロンバ・マリーナ」という名を持つヴァイオリン。弦楽器の一種のようであるがその形はコントラバスほどに「長細い」楽器だ。「海のトランペット」とで言うのだろうか。響きが薄くてさっぱりした音色だ。確かにヴァイオリンの音とは似ているが微妙に違う。
 
 明るい曲調でマンドリンの音やサルモの音色が南国にいざなう。変化に富んだとても楽しい楽曲だ。

協奏曲ニ短調 RV.540(ヴィオラ・ダ・モーレとリュートのための)


 この楽曲はもっと深遠で純朴な楽曲だ。ヴィオラ・ダ・モーレとはヴァイオリンやヴィオラなどに通ずる昔の弦楽器。そもそも「ヴィオラ」とは16世紀のイタリアにおける意味は弓で演奏する楽器全般を意味していた。「ダ・モーレ」は「愛」。
 
おそらく(これは何の根拠もない素人的な考えに基づくのだが)「ダ・モーレ」とはふくよかな音色のするとかそういった意味があるのだと思う。音域的には中音域。オーボエ・ダ・モーレも温かい音であるし。
 
いずれにしてもこの「ヴィオラ・ダ・モーレ」の優しい音と素朴な音のする「リュート」の掛け合いがなかなかマッチしたいい音楽だ。

協奏曲ハ長調 RV.425(マンドリンのための)


 独奏マンドリンのための協奏曲。この協奏曲の第1楽章の旋律は大変有名。この楽曲の名は知らなくともこの旋律はどこかで聴いているに違いない。
 
演奏は他の楽器に比べて音量の小さいマンドリンに寄り添うような優しい音色で奏でられている。はじけるような瑞々しい音が印象的な演奏で好感が持てる。

トリオ・ソナタ ト短調 RV.85(ヴァイオリンとリュート、通奏低音のための)


 ヴァイオリンとリュートのためのソナタとも記載されている場合がある。第1楽章の規模が大きく充実している。終始この楽曲を覆っている寂寥感に満ちた短調の旋律をヴァイオリンとリュートのデリケートな音色が交錯し掛け合っていく様子はなんともいえない美しさを醸し出している。

協奏曲ニ長調 RV.93(2つのヴァイオリンとリュート、通奏低音のための)


 ヴィヴァルディの友人でリュートの演奏をこよなく愛したといわれているボヘミアのヴルトバ伯爵に献呈された作品。明るい色調の作品で楽しい作品だ。

トリオ・ソナタ ハ長調 RV.82(ヴァイオリンとリュート、通奏低音のための)


ト短調のソナタ(RV.85)と対をなすような作品だ。こちらはハ長調で書かれていて明るい。

協奏曲ト長調 RV.532(2つのマンドリンのための協奏曲)


独奏マンドリンのための協奏曲(RV.425)とともにマンドリン協奏曲の代表的な作品。こちらの楽曲も色彩感に溢れた明るい楽曲でマンドリンの溌剌とした珠のような音を楽しめる秀作だ。

 
イル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏は終始リュートやマンドリンといった音量の小さな楽器に対する入念な配慮がなされていて音量のバランスが見事にとり、完璧なアンサンブルを展開していく。過激さは影をひそめ純粋に音の持つオリジナリティを大切にしたサウンドが展開されていき、安心して聴ける充実の一枚だ。

なによりヴィヴァルディの作曲した撥弦楽器のための楽曲を素晴らしい演奏で体系的に聴けるCDでありその意義はそれだけでも大きいと思う。

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リュートの音の小ささ・響きの少なさは、バッハのリュート組曲のCDを聴いていても、たちどころに分かります。バロックの時代でもすでに、リュートの音量は、他の楽器・・・特にヴァイオリン族に比して、致命的に不足していたのではないでしょうか。19世紀に入ると、メジャーの舞台からリュート族は消えてしまうので、このヴィヴァルディの協奏曲が、ほとんど唯一の『リュートのひのき舞台』だったのかもしれませんね・・・。とはいえ、子孫のギターは、電気の力を借りて、世俗音楽の王様に君臨。奇妙なねじれだと思います。

2007/1/6(土) 午後 9:36 KA:AZ

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KA:AZ様>コメントありがとうございます。仰るとおりですね。親は消えてなくなったけれどその曾孫は一世を風靡している。リュートの復権を祈るのみです。

2007/1/6(土) 午後 10:49 ちぇり


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ちぇり
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