ベートーヴェン 1.交響曲 第2番 ニ長調 作品36 2.交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」 ザールブリュッケン放送交響楽団 指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ REC:2005(OEHMS OC 522) さて今日の音楽は交響曲第2番と第3番。こういう組み合わせもなかなか珍しいのではないだろうか。それでも2枚組で1枚に1曲づつ曲が収められていて、余白には何の曲もないのが少しだけ残念。 さて最初の曲は第2交響曲。ベートーヴェンの第2交響曲は彼の交響曲の中でも比較的演奏される機会が少ない楽曲のように思われる。 「ベートーヴェンはこの音楽を1801年から1802年にかけて作曲しているのだが、この曲を完成した年(1802年)の秋に有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いている。作曲家としては致命的ともいえる耳の疾患が進み、聴力を失うという深刻な状況に直面した時期に当たる。ベートーヴェンにとっては悲劇的で絶望的な大変な時に作曲されたわけであるがこの音楽に「悲劇」や「絶望」は微塵にも感じる事は出来ない。生命感に溢れた豊かな音楽でありまた力強い音楽になっていてたくましさすら感じる。交響曲としてはじめて第3楽章にスケルツォと明記し構造的にも一歩内容を深めた音楽になっている。生命感、生への喜び、たくましさ、力強さ、などおよそ「ハイリゲンシュタットの遺書」にかかれたような悲愴に満ちた深刻なものなど感じさせない。まるで自分の悲劇的な運命に打ち勝ち喜びを勝ち取ったかのような音楽になっている。」
以上の文章は以前エンシェント室内管弦楽団とクリストファー・ホグウッドの指揮による演奏を聴いたときに第2交響曲概要と感想をこのように記したので参考までに再掲する。 スクロヴァチェフスキの演奏はまさに生命力に溢れた豊かな音楽を体現しており力強い音楽、たくましい演奏になっている。一寸のすきもなく一瞬の間すらなく一気に音楽を展開していく様は素晴らしいの一語に尽きる。また、強靭で重厚なザールブリュッケン放響のサウンドがまた素晴らしい。 さて続いては上記の第2交響曲のあとに作曲された有名な「英雄交響曲」である。これはライヴ録音。ここでもスピード感のある切れ味のいい演奏を聴かせてくれる。使用している楽譜がベーレンライター版であるためかどことなくオリジナル楽器で演奏したような妙に響きを薄く響かせるようなところが散見されあまりしっくりと感じない点もある。 第1楽章の最後、トランペットが高らかにテーマを吹くところなどもベーレンライター版の楽譜どおりカットされていてやはり残念。このザールブリュッケン放響のサウンドではやっぱり重厚にあのテーマを吹いて欲しかった。 第2楽章の葬送行進曲は第9交響曲の第3楽章を聴いたときと同じ印象である。非常にピュアなサウンドで一点の濁りもなく、妙な感傷もなく純粋な音楽が形作られていく。実に「聡明」という言葉がしっくりとくる演奏になっている。第3楽章、終楽章も漲るリズムと突進するような音楽の塊が強烈である。 ところで、第1楽章の各所に感じられる一瞬、気の抜けたように響きが薄くなったり集中力かかけてしまったりしまう部分が非常に残念。個人的に「英雄交響曲」はブライトコプフ版で演奏してもらいたかったとそう思う。 とにかく第2交響曲は文句なしの名演。英雄交響曲は期待が大きかったせいもあるかもしれないが(特に第1楽章)もっと重厚に演奏してもらいたかったと思うのは贅沢な要望だろうか。 |

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