ブルックナー 交響曲第8番ハ短調(ハース版) 大阪フィルハーモニー交響楽団 指揮:朝比奈隆 REC:1994(CANYON PCCL-00476[080604-500BOMN]) 朝比奈隆は日本におけるブルックナー指揮者の第一人者といって過言はない。この第8交響曲でもなんと11種類の録音があるといわれているから朝比奈のブルックナーの思いは尋常じゃない。有名な音楽評論家の宇野功芳も朝比奈隆を大きく評価していて当CDの解説も担当している。このライナーノーツからは宇野の朝比奈に対する思い入れの大きさを感じられる。 さて演奏のほうであるが私は長らく朝比奈のブルックナーをなかば疎んじていた気がする。それは大阪フィルの傷の目立つ演奏や、前述の大物評論家の過大評価がどうしても受け入れられなかったということがあったからだ。 しかしこの1994年7月のサントリー・ホールで演奏された第8交響曲は素晴らしい。なんと言ってもオーケストラが非常に落ち着いていて安定感がある。スケールも大きく朝比奈の表現したい音楽がここに稀有な名演として繰り広げられている。 いつか聴いた同コンビの第9交響曲には何も感じなかったがこの演奏には極度の緊張感の上に成立した本当の芸術があるといえる。 第2楽章のスケルツォにおけるリズムへのこだわりなどが聴いてとることが出来て感動的。第3楽章にはもう少し深みが欲しい。第4楽章で各パートのテンポが微妙にずれるところなどがやはりどうしても耳につく。金管楽器の強奏においても響きの混濁が全くいただけない。 これらはライヴ録音のやむを得ない点でもあるだろうが大阪フィルのレベルが海外の一流のオーケストラと比べ見劣りしてしまう事だけが再確認されてしまう。 朝比奈には海外の一流オーケストラを振って録音を残してもらいたかったと最後にやっぱり思ってしまうのである。 散々いってきたけれども第4楽章のフィナーレは圧巻である。すごい。とにかくすごい。一気呵成に大きなマグマを伴った感じで音楽の密度が高まり、加速度的に精神的な高まりが結晶していく。 ところが・・この感動もこの後の拍手で白けてしまう。第4楽章の終わった最後に13分に渡って(なぜ?)収録されている「朝比奈教」の熱心な信者の拍手も私が朝比奈さんをどうしても受け入れられないひとつの要因になっていると感じている。 でも僕も実演に接したらきっと突然に「朝比奈教徒」になってしまうのだろうなあ。 |

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朝比奈隆の演奏は以前ベートーヴェンの交響曲で骨太な表現に感銘を受けたことあります。このブル8にも期待できますね。しかしこの曲に11回の録音とはこの曲にかける情熱も並みのものではないと言う事ですね。
2009/1/18(日) 午後 8:07 [ 名無しの権兵衛 ]
リッチー様>コメントありがとうございます。「無骨な表現」わかる気がします。このブル8でもそのようなストレートな表現が多彩です。
2009/1/18(日) 午後 8:53
この1994年の演奏は聴いたことがありませんが名演として有名ですね。朝比奈さんの、書かれている音符をすべて遠慮せずに鳴らすスタイルがブルックナーでは5番、8番に割とあっているのでしょうか、いい演奏があります。シカゴとの5番を聴いてしまうと、どの演奏でも日本のオケの、特に金管の弱さが目立ちすぎます。録音として聴いても、もしオケがよければさぞすごい演奏に・・・・残念ですね。
ブルックナーファンとしては、11種(12?)全部聴いてみたいのですがなかなかそうもいきません。
実演では演奏自体の感動以外にもその場ならの雰囲気がありますね。
それにしても、このCDに13分も入っているのですか!
2009/1/18(日) 午後 8:53 [ 恵 ]
もう落ち着かれましたでしょうか。暫くは、大変な生活が続くのでしょうね。反面、楽しみも大きいことと存じます。頑張って下さい。
朝比奈さんのブルックナーは晩年サントリーホールで聴きました。
演奏終了直後は、長い時間、無音が続きました。
その後、堰を切ったように拍手が鳴り響き、時間が推し量れないくらい長く続きました。
皆さん、もうこの先何度も聴けないと知って、それを惜しむ気持ちに溢れていたのかも知れません。特別な演奏会でした。
細かいことはいろいろあるでしょうが、あの宇宙の拡がりすら体感させてくれる大きく深い音楽は、ディスクなどのメディアにしか残ってないかと思うと非常に残念です。
2009/1/18(日) 午後 11:01
恵様>コメントありがとうございます。朝比奈さんのブル8は手元の資料では11種類となっていますね。でもすぐに未発表の録音を発掘などといってまだ出てきそうです。録音のすべてが国内のオーケストラとのものであるからやっぱり仰るとおりシカゴとかベルリンとかミュンヘンあたりのオケで聴いて見たいと痛切に思っています。
2009/1/19(月) 午後 10:13
Ponta様>コメントありがとうございます。まだ落ち着いてはいないのですがぼちぼち聴いています。それにしても朝比奈さんの生の演奏をお聴きになったとは!すごいですねえ!羨ましい!やっぱり実演は雰囲気が違うのでしょうね。当たり前ですが・・・。素晴らしい体験ですね。拍手もすごかったのでしょう。録音にしてしまうと???でしたが、実演では!!!!ですよね。
2009/1/19(月) 午後 10:17
リッチーさんのところからきました。Tamaと申します。このときのサントリーホールの演奏会、わたしは聴きました。前後して、1990年代のはじめにすごいブルックナー指揮者が来日していて、90年にはオーチャードホールでチェリビダッケのブルックナーの交響曲第八番、93年にはブルックナーの交響曲第四番をチェリビダッケの演奏会でわたしも聴きました。90年の演奏も壮大でした。音楽のことだけではありませんが音楽についても書いていますから遊びにきてコメントなどください。また伺います。
2009/1/20(火) 午前 10:36 [ 太郎 ]
Tama様>コメントありがとうございます。いや〜羨ましい!!!朝比奈さんとチェリビダッケのブルックナーの実演に接しただなんて!すごい体験ですよね。宇宙が鳴っていたでしょう?
2009/1/20(火) 午後 11:02
ちぇり様。先日お邪魔いたしました「N響BS試聴記」を綴っている者です。私もこのコンビの感想を記事にしようと思っているのですが、残念ながら私の手持ちのヴィデオは1997年のNHKホールの録画なんです。この時の演奏はフォルテはフォルテ、の手法で峰々が埋め尽くされて高い丘になってしまったような演奏で、いまいちなんです。
ホールの条件が悪いのかも知れませんが、このサントリーホールの録音が聴きたかったです。
2009/2/13(金) 午前 0:38 [ - ]
soliste様>コメントありがとうございます。実況録音の録画と商品としての録音ではクオリティがやや違うのでしょうかね。私はそれほど朝比奈贔屓ではありませんがこの第8交響曲はなかなかのものです。
2009/2/13(金) 午後 9:06