クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調(原典版)

フランクフルト放送交響楽団
指揮:エリアフ・インバル
REC:1987(TELDEC WPCS-6045)

 イスラエルの名指揮者、エリアフ・インバル。1974年から89年までフランクフルト放送交響楽団の首席指揮者として活躍しブルックナーの交響曲全集(1982年から88年)、マーラーの交響曲全集(1985年から88年)を相次いで録音し非常に話題となった。

 特にマーラーの録音はバーンスタインと対極にあるスタンダードな演奏として誉れ高いし、このブルックナーの録音は第1稿に焦点を当てた実に興味深い録音となった。

 今日はブルックナーの第5交響曲。放送交響楽団らしく非常に機能的なサウンドで理知的、快活なサウンドである。テンポもかなり速めに設定されていて深みやコクなどとはほど遠い極めてメカニックで都会的なシャープな演奏である。

 第2楽章の演奏などはシュールすぎる。確信的にそっけなくあっさりと演奏しているところがなんとも心憎い。この雰囲気が第3楽章では非常に効果的な印象を与える。終楽章も勢いをそのままに突っ走っていく。

 個人的にこの終楽章は神々しく重厚なサウンドが降り注いで欲しかったのにそっけなさが続きサウンドが逆に乱暴に聴こえてしまいバランスを大きく崩してしまっている感じがして残念。テンポもあまりに速くフィナーレはもうなんだか訳がわからない。第1〜第3楽章までは特徴のある主張する音楽であったのに最後の最後で崩れてしまった感じである。

 第1〜第3楽章が非常に納得のいくものであったのに最後の意味不明な勢い任せのテンポと力任せで乱雑な瓦解したサウンドに不満を覚える。シュールでそっけない都会的な終楽章を期待していただけに非常に残念なフィナーレである。

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調

ザールブリュッケン放送交響楽団
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
REC:1996(ARTE NOVA BVCC-6052)

 NAXOSレーベルと双璧をなす廉価版レーベルARTE NOVA。NAXOSレーベルがティントナーを擁してブルックナーの全集に取り掛かったほぼ同時期にARTE NOVAからはスクロヴァチェフスキを擁して全集に取り掛かることとなった。
 
 スクロヴァチェフスキはティントナーやアイヒホルンよりもかなり速めのテンポ設定でぐいぐいと音楽を進めていく。ザールブリュッケン放響の音色は筋肉質でがっちりとしたものである。リズムや音楽そのものに弛む部分が全くなく高度な集中力を持った名演といえる。
 
 1999年1月に来日した際にインタビューを受けその記事がレコード芸術の1999年7月号に掲載されている。その中でスクロヴァチェフスキはブルックナーをはじめとする大規模な交響曲の演奏について「・・・セクションのバランスに特に留意をして・・・細部の構造を聴衆に明確に聴き取れるようにする・・・私はこの種の音楽をやるには、レントゲン写真のようにすべてが明確に聴こえるということを常に心がけている・・・」と述べている。

 このブルックナーの第5交響曲はまさにその通り、すべてのセクションがきわめて良好なバランスのもとに整然と響いており、あまり聴き取る事の出来なかった細かな音が明瞭に聴こえてくる。そのためによりこのブルックナーの楽曲の多重的な構造がよりリアルに感じられはっと驚くことがある。

 このバランス感覚が特に成功している部分はフィナーレの最後の本当に最後の部分。他の演奏ではまず聴き取る事のできない木管楽器のフレーズを金管楽器の強奏を一瞬さっと消して浮き立たせるところである。絶妙としか言いようがない。金管楽器が上昇していく旋律を奏でた後、通常であれば金管による同音におけるリズム打ちが数小節あるのだがここをすっと落として木管楽器の上昇の音をはっきりと浮き立たせるのだ。これは本当に素晴らしい。感心してしまう。これを聴いていると金管の上昇の後木管による上昇を挟んで最終音へとすすむわけで、理屈に合う気がする。要するにスクロヴァチェフスキのこの演奏のほうが自然に思えてくるのだ。
 
 きびきびとした音楽運びと絶妙なバランスでスコアを見事に浮き立たせる卓越した指揮、質感のあるザールブリュッケン放響の肉厚で筋肉質ンなサウンド、そのすべてが新鮮かつ説得力をもっている。
 
 個人的には今のところ同曲におけるベストな演奏である。

コシュラーのモツレク

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モーツァルト
レクイエム ニ短調 K. 626

マグダレーナ・ハヨーショヴァ(S) 
ヤロスラヴァ・ホルスカ(CA)
ヨーゼフ・クンドラーク(T)
ペーテル・ミクラーシュ(Bs)
ウラディミール・ルソー(Org)
スロヴァキア・フィルハーモニー合唱団
合唱指揮:シュテファン・クリモ
スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ズデニェク・コシュラー
REC:1985(NAXOS 8.550235[080904-250BOMN])

 毎日ブルックナーも少し疲れてしまうので間にいろいろランダムに聴いていきたい。
 
 ということで今日はチェコの名匠、ズデニェク・コシュラーによるモーツァルトのレクイエムを聴く。

 ズデニェク・コシュラーは1928年にプラハで生まれたチェコの名指揮者。同年代に活躍したチェコの指揮者では、ノイマン、クーベリックがいるがこれからというときに急逝してしまったということと、チェコ・フィルと関係を持ちながらも主席指揮者とならなかったことなどから知名度は必ずしも高くない。

 演奏スタイルそのものも、その知名度と比例するかのように地味なものである。しかし非常に堅実で実直な演奏に定評があった。1978年には東京都交響楽団の首席客演指揮者となり、毎年のように来日していたようだ。

 晩年は民主化したチェコに1993年に新しく設立されたチェコ国立交響楽団の指揮者として活躍を期待されたがまさにこれからというときに急逝してしまった。

 さてこのモーツァルトの「レクイエム」はスロヴァキア・フィルを指揮した1985年の録音であるがオーソドックスで癖のない、いたってシンプルな演奏になっている。この普遍さがコシュラーの持ち味であり彼をメジャーな存在にしなかった所以であると思う。
 
 特筆するべきところといえばオルガンがかなり効果的に使われているところや有名なラクリモサの一つ前のコンフターティスのテンポが非常に遅いことだ。
 
 全体としてさっぱりとしたレクイエムになっている。聴きやすいが印象にはあまり残らないともいえる。
 
 スロヴァキア・フィルを振ったドヴォルザークの交響曲全集があるようで評判がいい。この録音は1〜7番までは最近ブリリアント・クラシックから発売されている。肝心の8番9番が同コンビでは見当たらないのが残念。

 前述のチェコ国立響との録音もいくつかあるようだ。

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調

ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
指揮:ゲオルク・ティントナー 
REC:1996(NAXOS 8.553452)

 アイヒホルンのブルックナー選集を聴くに当たりやはり色々対抗馬も聴いたほうがいいかなと思い、誉れ高いティントナーの全集も参考に聴いていこうと思った。

 第5交響曲はロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管が演奏を担当している。アイヒホルンの演奏よりもテンポは速めでありサウンドはさっぱりと淡白。音の立ち上がりが非常にシャープで切れ味がある。弦楽器に関してはざらついた感じを受ける。金管楽器も強奏の場面になると雑然とした薄い響きが残念である。この硬質なサウンドはどうしてもブルックナーにはふさわしくないと考えてしまう。

 であるが・・・この演奏に魅せられ引き込まれてしまうのだ。それはおそらく響きが薄いだの硬質だのそういった表層的なものとは異なるロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管の尋常ならざる演奏への集中力を感じざるを得ないからだ。金管の吹っ切れたようなさっぱりとしたストレートな強奏に代表されるようにティントナーのタクトに必死にくらえつこうという滲み出る必死さがこの演奏から感じられてならない。余裕など微塵もない、120%持てる力のすべてを叩き込むような必死な演奏に心底感動する。

 その意味においてもティントナーという指揮者の神がかり的な力量を感じさせられる演奏である。音楽家として指揮者として生涯のほとんどが不遇であったティントナーが晩年にようやく手にした活躍の場、その集大成であるブルックナーの交響曲全集の第1弾となったこの交響曲第5番。遅すぎた栄光の始まり。その魂が凄まじい音塊となって聴くものの心にぶつかる。

 これぞ音楽。魂が揺れる。心が揺さぶられる。

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調(ノヴァーク版)

リンツ・ブルックナー管弦楽団
指揮:クルト・アイヒホルン
REC:1993(CAMERATA CMSE-436,7[080823-4998DUK])

 今日はブルックナーの交響曲の中でも個人的に非常に好きな楽曲である第5交響曲を聴く。

 この演奏を端的に表すとすれば虚飾のない誠実で素朴な雰囲気に彩られつつも入念な演奏といえる。劇場型の指揮者らしく随所に微妙なルバートやリタルダンド、アッチェルランドを取り入れ旋律のニュアンスを微妙に変化させるところなどは素晴らしい。特に第3楽章でその傾向は顕著である。オーケストラもよく反応している。

 サウンドも重心の低いしっかりとした音でさすがはブルックナーを冠するオーケストラといえる。隅々まで音色の深みが染み渡っていて味わい深い。

 フィナーレ楽章ではやや緊張感が散漫となってリズムに単調さをきたす部分がある。フィナーレにおける急激なテンポのブレーキにも個人的にはやや疑問を感じてしまう。

 細かい点においてはいろいろあるとはいえ、全体的におおらかで力みや虚飾のない枯淡の極みともいえるアイヒホルンの解釈と深く味わいのあるリンツ・ブルックナー管の音色が絶妙のバランスを醸し出しており、なんともいえないブルックナーとなっている。第4楽章後半の金管楽器によるコラールの荘厳さ、神々しさは他に類を見ない。

 テンポは全体的にゆったりとした感じでとうとうと流れる大河のように悠然と大きなスケールですすんでいく。

 ギュンター・ヴァントやオイゲン・ヨッフムらと並び称されるアイヒホルンの到達したブルックナーの真髄をここに聴くことが出来る。
 
 ちなみにアイヒホルンは同曲をこの録音より前の1990年にバイエルン放送交響楽団を指揮した聖フローリアン教会におけるライヴ録音も残している。私は未聴であるが評判がいい。

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