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今となってはブルックナーの交響曲全集はそれほど珍しいものではなくなってきた感がある。古くはヨッフムや朝比奈の録音、最近になってインバルの全集を皮切りにスクロヴァチェフスキやヴァント、ティントナーの全集やチェリビダッケの選集などが発売され様々な演奏を耳にする事が出来る。 その中にあって比較的地味な存在でありながらきらりと光る全集がある。長らく劇場畑を歩んできたクルト・アイヒホルンの指揮による選集である。アイヒホルンが80歳代になって挑んだブルックナーである。もともと全集を企図したものであったがアイヒホルンの死去によって全集の録音は実現しなかった。演奏はもともとリンツの劇場オーケストラであったリンツ・ブルックナー管弦楽団。 結果としてアイヒホルンは第2番と第5番〜第9番の録音を残した。残りの第1,3,4番を1992年から2000年まで首席指揮者を務めていたマルティン・ジークハルトが受け継ぎ、第0番を1975年から85年まで首席指揮者だったテオドール・グシュルバウアーの指揮による過去の録音を転用し一応の全集として発売された。 クルト・アイヒホルンは、1908年ミュンヘン生まれ。長らくミュンヘンの地方劇場で指揮をし、バイエルン放送局の第2オーケストラ(第1オーケストラは有名なバイエルン放響)ミュンヘン放送管弦楽団(1967〜75)の指揮者を務めた。1984年からこのリンツ・ブルックナー管弦楽団の名誉指揮者となりこのブルックナーの録音を開始したようだ。 ドイツにおける典型的な劇場指揮者であったためか長らく日本での知名度は非常に低かったが、このブルックナーの録音で一躍その名を挙げた。この意味においてはティントナーのそれと似るところがあるといえよう。 ブルックナーゆかりの地のオーケストラと劇場のたたき上げの指揮者、アイヒホルンの指揮を中心にブルックナーの全集をじっくり聴いていきたい。
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