クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

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ガーシュウィン
1.歌劇「ポギーとベス」による「キャットフィッシュ・ロウ」組曲
グローフェ
2.組曲「グランド・キャニオン」

ウィリアム・トリット(Pf)[1]
Timothy Berens(バンジョー)[1]
Philip Ruder(Vn)[2]
Rick Snyder(チェレスタ)[2]

シンシナティ・ポップス管弦楽団
指揮:エリック・カンゼル
REC:1983(TELARC CD-80086[0720-250BOMM])

 さて今日もアメリカの音楽を聴く。ガーシュウィンとグローフェの楽曲。
 
 1曲目の歌劇「ポギーとベス」による「キャットフィッシュ・ロウ」組曲は全部で5曲の楽曲からなる。
 
 1曲目の「キャットフィッシュ・ロウ」はピアノの独奏を伴うもの。ここでは前回ラプソディー・イン・ブルーで腕前を発揮したウィリアム・トリットが切れ味のある素晴らしい独奏を聴くことが出来る。この楽曲の後半で有名な「サマー・タイム」の旋律がもの悲しくヴァイオリンで奏でられる部分は非常に印象的である。
 
 2曲目の「ポギー・シングス」では軽やかで実にアメリカ的な楽天的な旋律がバンジョーのソロによって奏でられる。この楽曲は聴きものである。
 
 第3曲目の「フーガ」は先鋭的でやや無機的な感じのする音楽。
 
 第4曲「ハリケーン」は文字通り「嵐」の音楽。冒頭は静かに始まるがやがて一気に大音響の暴風雨が襲ってくる。嵐の中で鳴り響く鐘の音がサイレンのようで印象的である。
 
 終曲、第5曲目の「おはよう」は爽やかな音楽。これみよがしのフィナーレではなく温かいアメリカの旋律で優しくこの楽曲を締めくくる。
 
 なにしろ原曲である歌劇「ポギーとベス」をあまり知らないのでこの程度の感想になってしまったが原曲を知っていればもっと面白かったのかもしれない。
 
 
 2曲目は有名な「グランド・キャニオン」組曲。作曲者のグローフェはガーシュウィンの代表作「ラプソディー・イン・ブルー」をオーケストレーションしている。この点も考えるとグローフェはガーシュウィンと非常に密接な関係にあるといえる。
 
 そんなアメリカを代表する作曲家グローフェの代表作「グランド・キャニオン」をカンゼルとシンシナティ・ポップス管は輝かしいサウンドで聴かせてくれる。
 
 特に印象的なのは第1曲目の「日の出」におけるホルンの強奏。第3曲の「山道にて」におけるクラリネットのグリッサンド。ロバのいななきを見事に表現している。
 
 さてこのCDの目玉はなんと言っても「グランド・キャニオン」組曲の終曲である。実際の雷の音を楽曲に組み入れた別バージョンが収録されていて手が込んでいる。すごい迫力である。さすがはTELARC!また雷鳴のみの音も別トラックで収録されている。
 
 グランド・キャニオンにおける名演がここにある。

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ガーシュウィン
1.ラプソディー・イン・ブルー
2.アイ・ガット・リズム変奏曲
3.ピアノ協奏曲ヘ調
4.リアルト・リップルス・ラグ

ウィリアム・トリット(Pf)
シンシナティ・ジャズ管弦楽団[1]
シンシナティ・ポップス管弦楽団[2〜4]
指揮:エリック・カンゼル
REC:1984,1985,1987(TELARC CD-80166[0720-250BOMM])

 さて、今日は先日に続いてガーシュウィンの作品を聴いていこう。
 まず1曲目は「ラプソディー・イン・ブルー」。今日聴く演奏は珍しい1924年のオリジナル版である。最近ではフル・オーケストラ・バージョンを聴くのが普通であるが初演時はジャズ・オーケストラのために作曲されたものである。

 素人耳にも明らかに雰囲気が違っていて初演版のほうがこの楽曲の特徴がよく感じられて面白いと思う。HMVのレヴューを読むと「作曲者によって削除された48小節も復元した」とある。その意味においてもラプソディー・イン・ブルーの原点を知ることの出来る貴重な音源であるといえる。

 2曲目も有名な「アイ・ガット・リズム」をもとにした変奏曲。「アイ・ガット・リズム」は元々、1930年のミュージカル「ガール・クレイジー」のナンバーとして書かれた。1934年にピアノ協奏曲風にアレンジされたものが「アイ・ガット・リズム変奏曲」である。とても聴きやすく印象深い楽曲である。

 3曲目は「ピアノ協奏曲へ調」。「ラプソディー・イン・ブルー」の作曲された翌年1925年に完成された。このピアノ協奏曲は当時のニューヨーク交響楽団の指揮者ウォルター・ダムロッシュの委嘱によって作曲された。

 この協奏曲はガーシュウィンの独特の自由で流麗な楽想に富みながらも協奏曲としてのきっちりとした古典的な構成を持った作品となっている。内容の濃い佳作である。

 4曲目の「リアルトのさざ波(ラグ)」はガーシュインの初期の作品である。ラグタイムのピアノソロ曲でウイル・ドナルドソンという人との共作である。

 ちなみに「リアルト」とはマンハッタンのブロードウェイ劇場の周辺の地域の名称であるらしい。ここでいう「さざ波」とはこの「リアルト」から発せられる喧騒やそのエネルギーが拡散する様を描いた楽曲である。指揮者であるカンゼルが管弦楽のために編曲したもので短いながらも濃密な楽曲になっている。

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ガーシュウィン
1.ラプソディー・イン・ブルー
2.パリのアメリカ人
グローフェ
3.組曲「グランド・キャニオン」

レナード・ペナリオ(Pf)[1]
ハリウッド・ボウル交響楽団
指揮:フェリックス・スラットキン
REC:1956,1960(EMI TOCE-715908[0703-250BOMN])

 これぞ元祖、本場のガーシュウィン、グローフェの録音といっていいだろう。極めつけの一枚である。
フェリックス・スラトッキンはアメリカを代表する指揮者レナード・スラトッキンの父親である。演奏を担当しているのはハリウッド・ボウル交響楽団。今や幻のオーケストラである。

 1950年代から60年代にかけてハリウッドでは(今もそうであるが)数多くの映画が製作され多くのフリーランスの音楽家が滞在していた。多くは時代の最先端、映画音楽の制作に携わる人々で多くの優れた演奏家がハリウッドに集結していた。

 フェリックス・スラットキンもそのひとりで多くの映画音楽を指揮して録音したという。ハリウッド・ボウル交響楽団はそういったフリーランスの演奏家たちがその都度臨時に編成した自主的な団体である。場合によってグレンデイル交響楽団やキャピトル交響楽団と称するときもあった。

 古きよき時代といわれる絶頂期のアメリカのオーケストラによるアメリカの音楽である。編成はそのような事情からやや小ぶりである感じ(聴いた感じの個人的な見解)とはいえ、音が生き生きとしていてとても楽しげで、ガーシュウィンの2曲は特に素晴らしい。古い録音であるので音質的にはやや問題があるかもしれないがこれほどノッている演奏はそうはあるまい。

 ラプソディー・イン・ブルーの冒頭のクラリネット・ソロの味わい深さといったら言葉もない。続くtuttiの強烈なインパクトは決定的である。この音楽がアメリカの音楽なのだろう、理屈を抜きで感じさせるものである。

 独奏ピアノはレナード・ペナリオ。アメリカのピアニストである。2008年に惜しくも亡くなったが多くの録音を残したアメリカを代表するピアニストのひとりである。エネルギッシュで開放的なピアノはいかにもアメリカ的。聴いていてすっきりする。

 どこか映画音楽やミュージカル音楽を聴いている感覚に陥りそうなパリのアメリカ人もこれこそオリジナルといった感じである。

 グローフェの代表的な音楽「グランド・キャニオン」もこの演奏で聴くとやはり何かの映画音楽のサウンド・トラックとして聴こえてきてしまう。良い悪いは別としてこの楽曲にこの感覚はふさわしくない。さらっとしすぎていて内容に薄く、この音楽の素晴らしさを訴えかけるには物足りなさが残る。

 ただ、アメリカにおける哀愁たる感覚はどの同曲おける演奏よりもはるかに漂ってくる。この感覚は他にはない。

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ファリャ
1.バレエ音楽「三角帽子」
2.バレエ音楽「恋は魔術師」

コレット・ボーキー(S)[1]
リヒャルト・ヘーニッヒ(Fg)[1]
ユゲット・トゥランジョー(Ms)[2]
モントリオール交響楽団
指揮:シャルル・デュトワ
REC:1981(LONDON FOOL-23097[080702-250BOMN])

 今日はスペイン近代の作曲家ファリャの代表作であるバレエ音楽2曲を聴く。演奏は一世を風靡したデュトワとモントリオール響のコンビ。

 激しさの中にエレガントさを残す実にしなやかで明るい演奏である。モントリオールはカナダのケベック州の主要都市である。このケベック州はフランス語圏の地域であり独特の文化を持った地域である。それゆえこのモントリオール響の響きはフランスのオーケストラを感じさせる。それは特に管楽器の音色に顕著である。

 バレエ音楽「三角帽子」はロシア・バレエ団の主宰者で稀代の興行師セルゲイ・ディアギレフの依頼で作曲された。冒頭のカスタネットのリズムと妖艶なソプラノの独唱は聴くものを情熱の国スペインへと誘う。1919年にロンドンで初演されたこの「三角帽子」は大成功を収めた。第2部の「粉屋の踊り」「代官の踊り」「終幕の踊り」は特に有名。

 バレエ音楽「恋は魔術師」はファリャの出世作となった作品で1915年に作曲された。初演はあまり評判が良くなかった。フランス留学から帰国したばかりのファリャはドビュッシーなどのフランス印象派の影響を受けた官能的なサウンドと南スペインのアンダルシア地方の民謡や旋律を取り入れた非常に独特な音楽になっており、初演こそは今ひとつであった評判も回を重ねるごとに次第にその評価が高まっていく。

 この「恋は魔術師」に接したディアギレフが「三角帽子」の作曲を依頼したという経緯もある。

 デュトワとモントリオール交響楽団の鮮やかで色彩豊かな音色と切れのあるリズム感で情熱的なリズムと豊かな色彩感に満たされたファリャの名曲の魅力を余すことなく伝えている。

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モーツァルト
1.交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」
2.交響曲第38番ニ長調K.504「プラハ」
3.交響曲第40番ト短調K.550
4.演奏会用アリア「いえ、いえ、あなたにはできません」K.419
5.歌劇「フィガロの結婚」K.492〜カヴァティーナ「愛の神よ、照覧あれ」
6.歌劇「魔笛」K.620〜アリア「なんと美しい絵姿」

ルート=マルグレート・ピュッツ(S)[4]
エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)[5]
フリッツ・ヴンダーリヒ(T)[6]
シュトゥットガルト放送交響楽団
指揮:カール・シューリヒト
REC:1956[1,2],1961[3,4],1959[5,6]
(hänssler CD93.152[080626-500(350)BOMN])

 枯淡の境地を感じさせるシューリヒトの指揮者としての職人的な芸風を堪能できる一枚である。もとよりシューリヒトはモーツァルトを得意としていたようである。この録音は1956年から1961年にかけての放送録音。シューリヒトの晩年に結びつきの強かったシュトゥットガルト放送交響楽団の演奏である。

 明朗快活な音色とはっきりとした切れ味のあるサウンドは特筆すべきものがある。この録音はすべてモノラル録音であるが極めて音がクリアである。指揮者とオーケストラの息もぴったりといった感じで「ハフナー」交響曲の前のめりにすすんでいく音楽の推進力はモーツァルトに感じる優しさは皆無で、極めて淡々と音楽が流れていく。その一方で音楽が音楽たる所以を細かな部分でしっかりと聴かせてくれる、ないしは感じさせてくれる。

 モーツァルトがシューリヒトのフィルターにかかると淡白な雰囲気であるけれど極めて味わいのある説得力のある音楽に変化しているのを感じる。具体的にいえばテンポは快速、サウンドに色気がある。微妙なアゴーギグに説得力をもたせ、しかもそれを何気なくやって見せる。これをモーツァルトでやってのけるのだからシューリヒトの芸風は驚愕である。この要求に完璧なアンサンブルで応えるシュトゥットガルト放送交響楽団の演奏技術の高さにも驚く。

 「ハフナー」と「プラハ」交響曲は録音もよくきりりとした演奏で満点である。第40番のト短調交響曲は音質がやや落ちるが輪郭の整った硬派な演奏に納得。

 3つの交響曲に併録されている3つのアリアのなかではピュッツの歌う演奏会用アリア「いえ、いえ、あなたにはできません」K.419の見事なコロラトゥーラが抜きん出ている。思わず歌に引き込まれてしまう。とにかく素晴らしい。シュヴァルツコップの歌う「フィガロの結婚」のカヴァティーナはしっとりとした往年の名歌手の味わい深い歌声が満喫できる。ヴンダーリヒによる「魔笛」のアリア「なんと美しい絵姿」も朗々とした肉厚な歌唱に圧倒される。

 オリジナル楽器などによる回帰主義的な演奏が主流を占める中にあって、交響曲もアリアも古きよきモーツァルトの演奏像を再度気づかせてくれる最高の演奏である。モーツァルトの交響曲がここまで変化に富んで心をひきつけるとは、正直驚いた。カール・シューリヒトをしてモーツァルとを再度発見した感じである。

 昨日のケンペの演奏とこのシューリヒトの演奏は(録音時期はほとんど同じであるが)根本的に異なる演奏スタイルである。

 ともに楷書風に一気に音楽を推進させていく点では同じである。腰の座った終始一貫した雰囲気で実直に進めていくのがケンペであるのに対し、シューリヒトの演奏はテンポの微妙な変化や場面場面における雰囲気の変化(この変化こそモーツァルトの音楽に欠かせないもの!)が頻繁で変化に満ちており音楽が生き生きと本当に自らの意識を持ってすすんでいく雰囲気を持っている。この意味においてもシューリヒトのモーツァルトにおける演奏の職人的な芸術には一日の長があるはずだ。

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