クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

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 さて、ヴァルター・ヴェラーのベートーヴェン全集を聴きおえたが楽曲によって出来に相当なムラがあったことは否めない。第1、第2、第4、第6や第7、序曲などは総じて好演。第9に関しては及第点といった感じ。第3、第5、第8はあまりよくない。
 
 第10番という珍品も収録されていて資料的な価値は高いと思う。おそらくであるがバーミンガム市響のベートーヴェン交響曲全集はこのヴェラーの全集が唯一だと思うし、貴重だと思う。残念ながら現在は廃盤とのことらしい。
 
 ヴェラーといえば最近、2007年から音楽監督を務めるベルギー国立管弦楽団とのコンビでR.シュトラウスの「英雄の生涯」とブルガリア出身のピアニスト、プラメナ・マンゴヴァを迎えての「ブルレスケ」をレコーディングした。今月のレコード芸術(2009年3月号)に月評が掲載されているがヴェラーに関しては辛口の批評が目立つ。確かにR.シュトラウスのような規模の大きな管弦楽曲は不得意なのかもしれない。ハイドンやモーツァルトをやらせたらもっといい結果が生まれた気がする。
 
 何はともあれ今後のヴェラーに期待しよう。


 2009/2/9〜2008/2/19までに聴いてきたこの演奏のINDEXです。

 09.2.9
 イントロダクション
 http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/57751122.html

 09.2.11
 交響曲第1番、第3番「英雄」
 http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/57770491.html

 09.2.12
 交響曲第2番、第5番「運命」
 http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/57788436.html

 09.2.13
 交響曲第4番、第7番
 http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/57801201.html

 09.2.15
 交響曲第6番「田園」、第8番
 http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/57822584.html

 09.2.17
 交響曲第9番「合唱」
 http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/57854696.html

 09.2.19
 「プロメテウスの創造物」序曲、「コリオラン」序曲、交響曲第10番〜第1楽章
 リハーサル風景(交響曲第6番「田園」〜第4、第5楽章、交響曲第10番〜第1楽章)
 http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/57880168.html

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ベートーヴェン
1.バレエ音楽「プロメテウスの創造物」作品43 序曲
2.「コリオラン」序曲 作品62
3.交響曲第10番から第1楽章(編曲:バリー・クーパー)
4.交響曲 第6番 ヘ長調 作品68「田園」〜第4、第5楽章(リハーサル)
5.交響曲第10番から第1楽章(リハーサル)

バーミンガム市交響楽団
指揮:ヴァルター・ヴェラー
REC:1988(Chandos CHAN 8717)

 さてワルター・ヴェラーの指揮するベートーヴェン全集は一応の終わりを見たわけであるがこの全集にはおまけがついている。おまけといっていいのかどうかわからないけれど2つの序曲とイギリスの作曲家で音楽学者バリー・クーパーの編曲したベートーヴェンの交響曲第10番という珍品が収められている。

 まずは序曲2曲である。「プロメテウスの創造物」序曲と「コリオラン」序曲である。演奏は豪快でスケールが大きくなかなか聴き応えがある。リズムが躍動しサウンドが引き締まっており集中度の高い佳演である。

 さて、珍品の交響曲第10番。この楽曲は第9交響曲「合唱」とともに作曲が企図されていたものであったが結局、構想で終わってしまった楽曲である。

 この際にあった様々なスケッチをもとにイギリスの作曲家で音楽学者バリー・クーパーというひとが編曲(というよりほとんど作曲に近い)したものがこの第10番の交響曲。実際のところはいくつかの楽章があるらしいが録音で残されているのは第1楽章のみである。

 この交響曲第10番の第1楽章は3つの部分からなっていてそれぞれアンダンテ−アレグロ−アンダンテという構成になっている。最初のアンダンテの部分はまるで第9番の第3楽章や第8番のピアノ・ソナタ「悲愴」の第2楽章を思わせる。

 中間部のアレグロ部は「田園」交響曲の「嵐」の部分やふとブラームスを感じさせる雰囲気でもある。最後のアンダンテの部分は最初のアンダンテの部分が再現される。

 結果としては長たらしいだけで内容に薄くベートーヴェン風の音楽がここに再現されただけかもしれない。でも決して悪い音楽ではない。「合唱」交響曲、「田園」交響曲、「悲愴」ソナタが薄く交じり合ったポエムのような随想のようなそんな楽曲である。ちなみにヴェラーはこのバリー・クーパーによる楽曲を初演している。そのような経緯から全集にこの楽曲をいれたのだろう。

 最後に「田園」交響曲と第10番の交響曲のリハーサル風景が収録されている。ヴェラーはフレーズを徹底的に声に出して歌い、団員に旋律の情緒を伝えている事がよくわかる。この練習を通じて音楽がまとまっていく風景を感じられるとてもいいトラックである。
 
 このCDはとてもいい。序曲2曲は名演だし、珍品のベートーヴェンの第10交響曲が聴けるし、ヴェラーのリハーサル風景も聴ける。
 
 最後にベートーヴェンの交響曲全集の余韻を聴ける感じ、エピローグを聴く感じですごく印象がいい。
 
 ゲテモノ扱いされているクーパー編曲の第10交響曲もヴェラーの演奏で聴くとさすがにベートーヴェンの作品とは思えないにしてもその時代のその周辺の楽曲のように感じられてくる。

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ベートーヴェン
交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱」

Josephine Barlow(S)
Linda Finnie(CA)
David Randall(T)
John Tomlinson(Bs)

バーミンガム市交響合唱団
合唱指揮:?
バーミンガム市交響楽団
指揮:ヴァルター・ヴェラー
REC:1988(Chandos CHAN 8716)

 イギリスのオケとは思えない息の深いサウンドである。重厚な音色でロマン性にあふれたふくよかでしっかりとしたサウンドである。

 これまで第1〜第8までベートーヴェンの演奏を同コンビで聴いてきたが、当然ながらベートーヴェンの交響曲はそれぞれ性格が大きく異なる楽曲であるので印象は違う。

 しかし一貫して独墺系の重厚なサウンドで弦楽器の太さが非常に特徴的である。それが第5や第8ではいまひとつピンとこない雰囲気になってしまった感もある。だが第4、6、7番ではリズム感とこれら弦楽器を中心とした太いサウンドが上手く「はまり」素晴らしい演奏を展開してきたという側面もある。

 最後に聴いたこの第9番は素晴らしい。第1楽章の深遠な感覚が少し重みを持ったリズムで展開され進められる密度の濃い演奏にまず集中力が高まる。弦楽器の絡み合いも、すなわちアンサンブルにも驚異的な集中力とまとまりを聴かせてくれる。

 続く第2楽章に関しても密度の高いサウンドが引き締まったリズムの中で前へ前へと展開されていく。丁寧にかつ大胆に突き進むこの音楽に感心するばかりだ。

 第3楽章のカンタービレの美しさの作り方はヴェラーの独壇場といってもいいだろう。やはりこのワルター・ヴェラーという指揮者は弦楽器の鳴らせ方をよく知っていると思う。「田園」交響曲で聴いたように楽曲の美しさを徹底して丁寧に織りなすこの力量には脱帽である。決して奇をてらう事のない真正面から誠実に音楽に向かっている様子が感じられる。

 終楽章もとにかく言外息の音色が素晴らしい。冒頭における各楽章のテーマを奏でるところなどここまでふくよか、かつ繊細に演奏されたものはそうは聴けまい。

 それと反比例するように管楽器のサウンド作りにはやや適当な感じもする。合唱が入るとリズムに重みが増し散漫な感じがしてしまう。それでも骨太で肉厚なサウンドで豪快に締める。フィナーレは圧倒的。

 ワルター・ヴェラー。なかなかの指揮者である。2007年からベルギー国立管弦楽団の音楽監督として活躍している。このコンビでの録音も徐々にでているようだ。
 
 まだ知名度が低く地味な存在であるかもしれないがこれからひょっとするとこれから凄まじく評価が高まるかもしれない。

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ベートーヴェン
1.交響曲 第6番 ヘ長調 作品68「田園」
2.交響曲 第8番 ヘ長調 作品93

バーミンガム市交響楽団
指揮:ヴァルター・ヴェラー
REC:1988(Chandos CHAN 8715)

 「田園交響曲」は出だしから穏やかで暖かいサウンドで音楽と演奏が非常に肌感覚にあったものである。やわらかくしっとりと歌い上げる感じはまさに「田園」に適合していると思う。各パートも実に生き生きとしており心躍る演奏となっている。

 第2楽章も温和で穏やかの極地である。第3楽章はリズムがやや重いがそれだけ独墺系の音色が感じられる。第4楽章は嵐の音楽であるが第3楽章とはうって変わってかなりエッジの効いた鋭い音楽になっている。

 終楽章は第1、第2楽章同様温和で柔和、平和な雰囲気でまさに「田園」交響曲である。

 第8交響曲は第1楽章から音楽の重さのみが感じられてしまう。個人的にこの第8交響曲はもっと軽やかな演奏を期待していただけに胃がもたれてしまう。続く3つの楽章も同様、かなり堂々と、がっちりとした演奏でありこの演奏のスタイルが(聴く人間によって様々だろうが)最後までこの第8交響曲に似つかわしくないように感じられてしまい残念だった。

 しかし、終楽章にフィナーレは演奏のスタイルに関する好みを無視すれば相当の熱演でありここまでの演奏を聴かされてしまうと、納得というより説得させられてしまう。

 風格のある堂々とした第8交響曲が好みの方であれば十分納得できる演奏であると言えよう。

 画像はヴェラー/バーミンガム市響のヴベートーヴェン全集の別バージョンのもの。

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ベートーヴェン
1.交響曲 第4番 変ロ長調 作品60
2.交響曲 第7番 イ長調 作品92

バーミンガム市交響楽団
指揮:ヴァルター・ヴェラー
REC:1988(Chandos CHAN 8714)

 交響曲第4番の演奏は冒頭から熱がこもっていて素晴らしい。第1楽章は冒頭から気の入り方が違う。「英雄」や「運命」で聴いたような気のない弛んだリズムとは一変して気合の入った突き進むリズムで非常に好感が持てる。演奏にも集中力が漲っている。

 第2楽章は非常に丁寧な音楽つくりで極限まで磨いた繊細な旋律が素晴らしい。ここまで純粋な同曲を聴いたことがあっただろうか?白眉の秀演である。

 適度な質量を内包しながらもさっぱりとしたリズムで展開される第3楽章と終楽章にも非常に好感が持てる。各パートが生き生きと浮き立つように演奏されていて聴いていて興奮する。素晴らしい演奏である。

 交響曲第7番はサウンドにエッジがあって弛みやまったりとした感覚がなく素晴らしい演奏といえる。第1楽章はやや重めのリズム、遅めのテンポで展開されていくがリズムの取り方にしっかりとしたエッジが感じられ好感が持てる。

 第2楽章は冒頭に関して少し音が途切れ途切れな感じはするけれども総じて深遠な雰囲気でじっくりと「とうとうと」奏でられていく。ことに木管楽器の息の深さに聴き惚れてしまう。

 第3楽章は軽快なリズムでサウンドにほどよい重みを持っている。終楽章も第3楽章同様、理想的なサウンドの重厚さとリズムの軽快さにおけるバランスが取れていて印象がいい。

 音楽を掘り下げた結果としての何ともいえない味わいという感覚は残念ながらないが、ウィーンの指揮者がフレキシブルなイギリスのオケを振るとこうなるのか、といった感じである。ある意味、若きカラヤンがフィルハーモニア管を振ったベートーヴェンと似通う部分があると思う。

 いずれにしてもここでのヴェラーの振る第4、第7交響曲は佳演である。

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