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ブルックナー:交響曲第7番ホ長調
NHK交響楽団
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
REC:1999 (Altus ALT030)
Altusという新興のレーベルから出ているNHK交響楽団との99年1月の定期公演の実況録音をCDにしたものである。スクロヴァチェフスキといえばArte Nova レーベルからザールブリュッケン放響とのブルックナー全集が出ていてそのリーズナブルな価格設定とその価格には余りある高度な演奏水準と音質が評判となって一躍現代における重要なブルックナー指揮者のひとりとして有名になった。
その音楽はチェリビダッケやヴァントといった自らの音楽にブルックナーを投影させていくようなスタイルとは一線を画し、音楽に自然な流れを作った上で雄弁にオーケストラにブルックナーを語らせていくというもので、どことなく聴き手に安心感を与えるという印象があった。もちろんチェリビダッケやヴァントのような一触即発の緊張感に満ちたブルックナーも刺激的ではあるがスクロヴァチェフスキの素朴なブルックナーも大変魅力のあるものだ。
今日は以前から関係の深かったNHK交響楽団とのライヴ録音であるがこれがまた素晴らしい。
第1楽章におけるリズムはややゆるくテンポはやや遅め。しかしながら軸のしっかりとした造形美溢れる雄大かつ穏やかな雰囲気で流れる音楽は聴き手を優しく包み込むようである。
第2楽章の流れも実に自然でとうとうと流れ進んでいき、とにかく美しい。チェリやヴァントにあったあの張り詰めるような緊張感は皆無でどこまでも柔らかで温かみのあるサウンドにうっとりとしてしまう。まさに恍惚の境地にいざなってくれるようだ。ちなみにこの楽章のフィナーレには打楽器が採用されていて使用楽譜は明記されていないがノヴァーク版を基本的には使用していると推測される。
第3楽章のスケルツォに関しては無駄なものを一切削ぎ落としたような実にスリムなサウンドとなっている。だがその音楽的なスケールはけ決してこぢんまりとはせずに一定の風格と豪華さを兼ね備えている。スリムで強靭なリズムと柔らかで柔和なサウンドの対比が印象的。
第4楽章は少々速めのテンポで以外にもすいすいと軽く音楽を進めていく。大変しなやかで爽快な印象を与える一方であっけなさを感じなくもない。それでも最後のフィナーレにおけるスケールの大きな音楽の構築力、それも自然な形での造形美に感動をする。
このCDでNHK交響楽団の実力を改めて思い知らされた。極めて優れたオーケストラである。機能性、フレキシブルなサウンドに感心した。フォルテの部分でも音が雄弁でコクがある。ドイツのオーケストラよりも重心のしっかりとした、引き締まった音楽を聴かせてくれる。さすがはN響である。
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