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今年最後はスメタナの「わが祖国」から「モルダウ」を聴きましょう。 スメタナ:わが祖国(全曲) チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:ラファエル・クーベリック REC:1990 (Supraphon 11 1208-2 031)今日聴いた演奏はクーベリックの指揮した有名なライヴ録音。 このCDは正真正銘プラハのスメタナ記念館で購入したものです。 ビロード革命の後、42年ぶりの祖国チェコにおける「プラハの春」の演奏会でタクトを振ったクーベリック。苦難の歴史を経てきたチェコ。真の自由がもたらされたときの、実に素晴らしく感動的な演奏だ。 ただこうして聴いているとこの演奏は決して感情に流されることのない実直で腰の座ったしっかりとした演奏であることに気づく。美しく颯爽と流れるような流麗さは他の演奏にはない強さと美しさがある。 さすがはクーベリック。随所で溢れだすこの感情の高ぶり。やはり名演。 モルダウの流れの向こうにプラハ城をのぞむ この曲を聴くといつもこの風景を思い出す。 私が以前プラハを訪れた際、ただ呆然とカレル橋のたもとからモルダウの流れを見ていた。このゆったりとした流れに永遠を感じたし、力を感じたし、優しさを感じた。 すべてを許してくれるような懐の深い川の流れを(偶然にも)私たち二人しかいないスメタナ記念館で「モルダウ」の演奏を流す。窓越しに見えるこの「モルダウ」の流れと、演奏にしばし酔いしれた。 そんな風景の中の自分が懐かしい。 その時演奏されていたのは誰の演奏かはわからないが(その際そこで購入した)このクーベリックの演奏は最高だ。 スメタナ:わが祖国(全曲) ボストン交響楽団 指揮:ラファエル・クーベリック REC:1971 (DG 459 418-2) クーベリックの指揮した「わが祖国」の「モルダウ」の演奏ではもう一枚1971年に録音されたボストン交響楽団との演奏があったのでこちらも聴いてみた。 作品の持つディテールの明晰さはこちらの録音の方が格段上だが、どこか無骨で、流れがよどんでいる感じがする。金管楽器のフレーズも突出しすぎ。このいかにもアメリカっぽい金柑の強奏は興醒めで雰囲気が壊されてしまう。 「モルダウ」の285小節目のティンパニの改訂 チェコ・フィルの演奏の場合のみに多いこのティンパニの奏法の改訂が印象に残った。この件について詳しく知ったのは「レコード芸術」2006年9月号(音楽の友社)の特集に記載されていたので改めて今回聴いてみた。 クーベリックのボストン響との録音はスコアどおり、10小節間をロールする。 同じくクーベリックのチェコ・フィルとの演奏は「小節の頭にアクセントを置き、4つほど打ち込み、後ろ半分を休ませる」(同書より)という奏法。チェコ・フィル独自の解釈なのであろうか?他の(チェコ・フィルでの)演奏でもこのような慣例があるらしい。断然この改訂版の方が雰囲気に即していていいと思う。 とにかく「わが祖国」を聴く時はチェコ・フィルの演奏で聴いたほうがいいと感じた。
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