|
1.シュルホフ:ピアノと小オーケストラのための協奏曲 作品44
2.アンタイル:ジャズ・シンフォニー 〜 ピアノとオーケストラのための
3.ガーシュウィン:ピアノ協奏曲 へ調
Pf:ミヒャエル・リシェ
ケルン放送交響楽団[1]
ベルリン放送交響楽団[2,3]
指揮:ギュンター・シュラー[1]、ウェイン・マーシャル[2,3]
REC:1993[1],2002[2],2003[3] (ARTE NOVA 82876 51051 2)
ドイツの中堅ピアニスト、ミヒャエル・リシェによる20世紀初頭のピアノ協奏曲集。このディスクは第2集目であるらしくもう一枚すでに出ているようだ。
素晴らしい演奏だ。シュルホフやアンタイルなど未知の作曲家に出会えた事もうれしいがこれらの楽曲がまた非常にユニークで面白くパワーに溢れた音楽に圧倒された。
シュルホフ:ピアノと小オーケストラのための協奏曲
エルヴィン・シュルホフ(1894〜1942)。チェコ生まれのドイツ系ユダヤ人。ピアノの腕前は相当なものであったらしく当時の流行であった「ジャズ」を取り上げ積極的に演奏したらしい。
ジャズとクラシックの狭間を行き交った作曲家の30代の新進気鋭の斬新なピアノ協奏曲が聴くことが出来る。ドビュッシーのようなラヴェルのような雰囲気を感じさせる幻想的な響きが印象的な第1楽章と、シェーンベルクに代表されるような無調っぽいテイストが混ざったような静寂に包まれた怪しげなサウンドの第2楽章。第3楽章は一転して派手になる音楽だが中ごろに聴かれる独奏ピアノと独奏ヴァイオリンの掛け合いはまるでピアソラの音楽のようだ。非常に多彩な正確が凝縮された非常にユニークな作品。
シュルホフのピアノ協奏曲にはこの他にも「ジャズ風に」(作品43)というのがあって評判がいいらしいので聴いてみたい。
このシュルホフは歴史によって翻弄される。ナチス・ドイツの台頭によってユダヤ人であったシュルホフはホロコーストの対象となりその作品に関しては「退廃音楽」の烙印を押され抹殺される事となる。彼自身も強制収容所で最後を迎えた悲運の作曲家なのである。
アンタイル:ジャズ・シンフォニー
ジョージ・アンタイル(1900〜1959)はアメリカの作曲家。かなり特異な作曲家で代表作の「バレエ・メカニック」という音楽は飛行機のエンジンが登場する。
そんな彼のピアノとオーケストラのために書かれた「ジャズ・シンフォニー」は底抜けに明るい覚えやすい音楽である。単一楽章で書かれているが大きく3つの部分に分けることが出来る。
初めの部分は、冒頭からして楽天的な陽気なアメリカ人の雰囲気の音楽で軽やかにステップを踏むような楽想ではじまる。まもなく(この音楽の中核的な部分)中間部に入るとどことなくストラヴィンスキーの「春の祭典」を思わせるような強烈なリズムに支配されていき、メロディも無機的なものになっていく。後半に入るとスコット・ジョプリンのようなピアノ・ラグ風の楽想が聴かれこの楽想が大きく穏やかにオーケストラで歌われて終わる。
とにかく面白い音楽だ。もっと演奏されていい音楽なのではないだろうか。
リシェのピアノは大変オーケストラとマッチしていている。決して埋没せず、かつ主張しすぎず、大変いい距離をオーケストラとの間にもっていて、いろいろな意味で余裕をもった大変「おしゃれな」演奏だ。オケも放送交響団ということもあるのだろう癖のないフレキシブルな演奏で好感が持てる。
ガーシュウィンはまた明日。
|