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エネスコ:1.ルーマニア狂詩曲第1番イ長調作品11−1
2.管弦楽組曲 第2番 イ長調 作品20
3.管弦楽組曲第3番ニ長調「村人たち」作品27
”ジョルジュ・エネスコ”ブカレスト・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:クリスティアン・マンデール
REC:1995[1],1994[2],1996[3] (Arte Nova 74321 37855 2)
ルーマニア狂詩曲第1番イ長調作品11−1
エネスコの作品にはルーマニアの民族色の濃い作品が多いが、このルーマニア狂詩曲第1番は特に民族色の濃い音楽となっている。またこの曲はエネスコの出世作となった作品で彼の作品の中でも群を抜いた人気で世界的に広く演奏され親しまれている。エネスコの代表的な作品といっていい。1901年の作品であるので最も初期の作品といっていいはずだ。ルーマニアの民族音楽の旋法とリズムを基調としゆるやかなホラと急速なシルバからなる。ホラもシルバもルーマニアの民族舞踊であるらしい。
冒頭のクラリネットの優しく田園的な美しいメロディからしてこの世界に引き込まれるようだ。後半の破天荒な疾風するジプシー音楽は圧倒的な迫力で迫ってくる。文句なしに楽しめる極めてわかり易い音楽になっている。
組曲第2番イ長調作品20
1915年の作品。第2交響曲と第3交響曲の合間にかかれた作品だ。前述のルーマニア狂詩曲第1番とはいくぶん作風を変えてフランス的エスプリと優雅さにあふれた魅力に富む作品になっている。やはりマスネやバルトーク、遠いかもしれないがビゼーの作品の感覚も感じられた。かなりフランス・ナイズされたサウンドでふわりとした軽く浮いたような雰囲気を感じる事が出来る。組曲といっても第1曲目の「序曲」で聴かれた旋律が終曲の「ブーレ」で再現されるなど前曲の統一感を感じる事の出来る構成となっている。管楽器の響きがまさにフランスの音楽を感じさせる。
組曲第3番ニ長調「村人たち」作品27
1938年の作品。エネスコの円熟期の作品。ただ管弦楽曲に関して言えば最晩年の作品ということになる。音楽もかなり現代的なサウンドに満ちていてストラヴィンスキーやバルトーク、ショスタコーヴィチの雰囲気を感じさせる。和音は複雑を極め、ピアノや打楽器を多用していているなどそのサウンドはかなり新鮮。ただ持ち味であったルーマニアの民族的雰囲気は(素人の耳には)後退しているように感じる。
クリスティアン・マンデールと“ジョルジュ・エネスコ”ブカレスト・フィルハーモニー管弦楽団のコンビによる演奏は大変美しいサウンドでメリハリのあるいい演奏である。複雑で単一的なフレーズ(エネスコの音楽にはよく出てくるのだが)に関しても大変有機的に意味を持ったフレージングをしているし何よりも作品、ひいては作曲家に対する深い共感と使命のようなものが感じられる。
廉価でこのような質の高い誠実な演奏が聴けるのは本当に幸せである。
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