ベートーヴェン:1.交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
2.交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
3.交響曲第7番イ長調作品92
4.交響曲第2番 ニ長調作品36
シュトゥットガルト放送交響楽団
指揮:カール・ミュンヒンガー
REC:1983[1],1985[2〜4] (Disky MP 903849)
ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」 今年の最初を飾るのにふさわしい楽曲と演奏。 ベートーヴェンの代表的な交響曲第3交響曲「英雄」をオーケストラ指揮者としてはあまりメジャーでないだろうカール・ミュンヒンガーのタクトで聴く。 ミュンヒンガーは1915年にシュトゥットガルトに生まれライプツィヒであのヘルマン・アーベントロートに師事する。 第2次世界大戦の後、1945年、生地シュトゥットガツトでシュトゥットガルト室内管弦楽団を組織し1987年まで同楽団を率いた。 主にバッハやヴィヴァルディなどのバロック音楽を同楽団と演奏し当時のバロック音楽の手本としてもてはやされた。 古楽器主体のピリオド奏法が主流となった今となってはミュンヒンガー、シュトゥットガルト室内管の演奏は古臭さを感じなくもない。過去の遺物としてみる人も多いのではないだろうか? そういった意味においてもいわば忘れ去られた指揮者を再発見できる素晴らしいベートーヴェンの録音がまとめて最近廉価で登場した。 管弦楽はチェリビダッケが以前振っていたオケで有名なシュトゥットガルト放送交響楽団。ちなみに同オケは最近、あのロジャー・ノリントンの指揮によってユニークなベートーヴェンやマーラーの交響曲がリリースされている。 ディスキーから発売されたこの廉価盤はEMIのライセンスによってという記載があるがこの英雄交響曲は1983年に録音されているらしいので以前デッカから出ていたものと同一と推測される(と思っていたがどうやらインターコードというレーベルが録音したものをEMIが同レーベルを吸収してDISKYによって同録音をライセンス販売したもののようだ。デッカの録音とこの録音とが同一であるかどうかは現時点では良くわからない。) また、一説によるとこのオーケストラもシュトットガルト放響ではなく前述のシュトゥットガルト室内管弦楽団を核として1966年にミュンヒンガーによって編成されたシュトゥットガルト・クラシック・フィルではないかという指摘もあるが、個人的には、音を聴く限りこの音色の緻密さからいっておそらくシュトットガルト放響であろうと考えるのが妥当と判断する。 さて演奏の方だが素晴らしいの一語に尽きる。これほど堂々としていて朗々として豊かに音楽が奏でられている演奏を聴くのは久しぶり。最初の2発の音を聴いただけでこの古風ながらもしっかりとした音楽の世界が広がっていく。 古楽回帰の風潮が全体を占める中にあってこのように歌心に溢れ、ツボをおさえたアゴーギグは職人技としかいえない。 テンポは中庸であるが研ぎ澄まされた緊張感に漲っておりどの場面においても音楽がだぼつかず、よどまずにしっかりとした安定した足取りでそれでいて実にスマートに音楽が進む。 第2楽章におけるこの沈痛な面持ちの重苦しい雰囲気の連続とその緊張がふと解ける場面における瞬時の雰囲気の氷解が見事。すべての音に命が宿り魂が宿っている。この葬送行進曲中ごろのフーガの部分は見事。これみよがしの感情が前面に出る残念な雰囲気とは一線を画し冷静に楽譜に向かう姿が聴いて取れる。 スケルツォ楽章は猪突猛進ながらやはり絶叫せずにきりりと端整に演奏されている。 終楽章は格調が高い厳格な演奏だ。音が正確でとても自然に流れていく。終盤のコラール風に吹奏される場面のゆっくりとした楽想の場面。これほど素晴らしい演奏を未だかつて聴いた事がない。 ガーディナーだとかジンマンだとかノリントンだとかアーノンクールだとか。そういう流れの音楽とは真逆をいく演奏。これぞドイツの伝統的演奏だ。 素晴らしい演奏だ。こういう演奏が長い間日の目を見なかったとは悲劇といわざるを得ない。同時にこのミュンヒンガーという指揮者の再発見につながる演奏だと思う。 3枚組で1300円くらい。安すぎる。お勧めだ。 この他、第7,6,2番の交響曲が収められている。
後日じっくりと聴きたいと思う。 |

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