ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1874年第1稿ノヴァーク版) リンツ・ブルックナー管弦楽団 指揮:デニス・ラッセル・デイヴィス REC:2003(Arte Nova BVCE-38077) アメリカ生まれのラッセル・デイヴィスの指揮による渾身のブルックナー。オケはクルト・アイヒホルンがかつて指揮をしてブルックナーの交響曲全集の録音を企図するもアイヒホルンの死去によって未完に終わったリンツ・ブルックナー管弦楽団。 この若いラッセル・デイヴィスの指揮によって全集を企図し着々とレコーディングが進んでいるようだ。今日聴くのはこの全集の第1作目ということになる。 このコンビの録音にふさわしく意欲的な楽譜を選んでいる。第1稿。かつてインバルの演奏で聴いたことがあった。ここで簡単にブルックナーの第4交響曲のバージョンの違いについて復習してみたい。 1.1874年版 第1稿:最初の完成版
2.1878年版 :すべての楽章を改訂、第3楽章はそっくり別の楽曲 3.1878/80年版 第2稿:1880年に第4楽章のみを改訂。この稿が一般的。 4.1887/88年版 第3稿:出版社の都合によって弟子のレーヴェによる改竄版。 記号化すると各楽章は以下の通りになる。 1.(1-2-3-4)
2.(1’-2’-3’-4’) 3.(1’-2’-3’-4’’) 4.(改竄版のため省略) 完璧主義なのか優柔不断なのかはわからないがいつもブルックナーは完成した楽曲を改訂する癖があったようだ。したがって同一の曲なのにいろいろなバージョンが存在する。 この第4交響曲も上記の通り4つのバージョンが存在する。さらに後年、ブルックナーの研究家、ロベルト・ハースによるハース版(第2稿)、レオポルド・ノヴァークによるノヴァーク版(第1稿と第2稿)として出版されている。このハース版とノヴァーク版の第2稿の相違は素人耳にはあまり相違を感じない細かい部分におけるオーケストレーションの違いであってさほど気にすることはないであろう。 なお最近は2と4のバージョンはめったに演奏されない。 今日聴くのは第1稿によるもの。聴きなれた第4交響曲とは全く違う音楽だ。ラッセル・デイヴィスの指揮による演奏はテンポが早く快活で生命力に溢れている。
ブルックナーの第4交響曲はやはり第2稿が優れていると思うのでこの快活さが果たして第2稿のスコアに照らし合わせてその演奏であったならば味気ないものになっていたと思う。第1稿のさっぱりとしたスコアにはもってこいの透明感のあるすっきりとしたスタイリッシュで実に都会的なブルックナーだ。 管楽器もいいバランスでなっていて好感が持てる。なぜかこのサウンドを聴くとニューヨークとか東京とかロンドンの大都会のメカニックな都市の乾いた空気を思ってしまうのは私だけであろうか?とにかく現代的なブルックナーだ。 |

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