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前項の続き。 ものによっては「プロメテウス、または世界の転覆」などと訳されている場合があるがこれは本来の意味からすると少し間違っているようだ。 ここでの原題は“Il Proteo o sia Il Mondo al rovescio”となっていて”Proteo“は「プロムテウス」ではなく「プロテウス(ないしはプロテオと発音)」のことのようだ。この「プロテウス」はギリシャ神話に登場する海神で自由自在に姿を変えることができる老人のこと。ポセイドンの従者であった。 ”Il Mondo al rovescio“も「世界の転覆とか」そういった仰々しい意味よりも「逆の世界」とか「裏返しの世界」とかそういった意味の方が近いらしい。 要するに、この楽曲は、ヴァイオリンとチェロの独奏による協奏曲なのだがこの両者のパートを音域を変化させる事によって交換が可能という意味を持っているようだ。 尚この楽曲の異版として2つのフルート、2つのオーボエ、ヴァイオリンとチェロ、クラヴィーアのための協奏曲RV.572が存在する。 結局、変幻自在に姿を変えたギリシャ神話の登場人物「プロテウス」や「裏返しの世界」という表題に引っ掛けて様々に遊べる、独奏楽器を変えることが出来る、ということがいいたかったのだろう。 いつのまにか「プロメテウス」がラテン語で"Proteus" とギリシャ語の「プロテウス」と表記が同じだったため間違えたのだろう。単なる「裏返しの世界」も仰々しく不死の神「プロメテウス」にひっかけて「世界の転覆」と訳したのかも知れない。 いずれにしてもこの作品は壮大な世界観や宗教観は皆無で純粋な音楽作品として楽しめる。誤解の表題に負けてしまったようなかわいそうな作品ともいえる。 この演奏でもイル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏は変な過激さは完全に影をひそめ心からアンサンブルを楽しんでいる様子が感じられ大変好感が持てる。
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