クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

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前項の続き。

協奏曲ヘ長調 RV.544「プロテオ、または裏返しの世界」(ヴァイオリンとチェロのための)


 ものによっては「プロメテウス、または世界の転覆」などと訳されている場合があるがこれは本来の意味からすると少し間違っているようだ。

 ここでの原題は“Il Proteo o sia Il Mondo al rovescio”となっていて”Proteo“は「プロムテウス」ではなく「プロテウス(ないしはプロテオと発音)」のことのようだ。この「プロテウス」はギリシャ神話に登場する海神で自由自在に姿を変えることができる老人のこと。ポセイドンの従者であった。
 
 ”Il Mondo al rovescio“も「世界の転覆とか」そういった仰々しい意味よりも「逆の世界」とか「裏返しの世界」とかそういった意味の方が近いらしい。

 要するに、この楽曲は、ヴァイオリンとチェロの独奏による協奏曲なのだがこの両者のパートを音域を変化させる事によって交換が可能という意味を持っているようだ。

 尚この楽曲の異版として2つのフルート、2つのオーボエ、ヴァイオリンとチェロ、クラヴィーアのための協奏曲RV.572が存在する。

 結局、変幻自在に姿を変えたギリシャ神話の登場人物「プロテウス」や「裏返しの世界」という表題に引っ掛けて様々に遊べる、独奏楽器を変えることが出来る、ということがいいたかったのだろう。

 いつのまにか「プロメテウス」がラテン語で"Proteus" とギリシャ語の「プロテウス」と表記が同じだったため間違えたのだろう。単なる「裏返しの世界」も仰々しく不死の神「プロメテウス」にひっかけて「世界の転覆」と訳したのかも知れない。

 いずれにしてもこの作品は壮大な世界観や宗教観は皆無で純粋な音楽作品として楽しめる。誤解の表題に負けてしまったようなかわいそうな作品ともいえる。

 この演奏でもイル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏は変な過激さは完全に影をひそめ心からアンサンブルを楽しんでいる様子が感じられ大変好感が持てる。

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ヴィヴァルディ
1.協奏曲ニ長調 RV.564(2つのヴァイオリンと2つチェロのための)
2.協奏曲ヘ長調 RV.551(3つのヴァイオリンのための)
3.協奏曲ト短調 RV.531(2つチェロのための)
4.協奏曲イ長調 RV.552(ヴァイオリンと3つのエコー・ヴァイオリンのための)
5.協奏曲ハ長調 RV.561(ヴァイオリンと2つチェロのための)
6.協奏曲ヘ長調 RV.544「プロテオ、または裏返しの世界」(ヴァイオリンとチェロのための)

エンニコ・オノリフ(Vn)[1,2,4〜6]
マルコ・ビアンキ(Vn)[1,2,4]
ドゥイリオ・ガルフェッティ(Vn)[2]
クリストフ・コワン(Vc)[1,3,5,6]
パオロ・ベスキ(Vc)[1,3,5]
イル・ジャルディーノ・アルモニコ
REC:1994 (Warner 2564 63264-2)

協奏曲ニ長調 RV.564(2つのヴァイオリンと2つチェロのための)

 
 この2つのヴァイオリンと2つチェロのための協奏曲は後にバッハがオルガン協奏曲に編曲したものとは違う(それは協奏曲ニ短調RV.565)。ヴィヴァルディ特有の華やかで明るい楽想とそれぞれ2つヴァイオリンと2つのチェロが呼応しあい入念なアンサンブルを築いていく。

協奏曲ヘ長調 RV.551(3つのヴァイオリンのための)


 この楽曲は3つの独奏ヴァイオリンが活躍するわけだが、第1、第2の独奏ヴァイオリンが旋律を担当し第3独奏ヴァイオリンが伴奏や和音補助にと役割が明確になっている。第2ヴァイオリンは時として旋律や伴奏にまわるなどして音楽に微妙な変化を与える。

 3人の独奏ヴァイオリンの密接なアンサンブルが聴き所で複雑で華麗な音楽が展開されていく。

協奏曲ト短調 RV.531(2つチェロのための)


 チェロといえば伴奏楽器の色合いが強くソロ楽器としての地位を占めるような存在となるのはこのヴィヴァルディの時代からだった。

 実際ヴィヴァルディは27曲のチェロ協奏曲と9曲のチェロソナタを書いている。このチェロという楽器の黎明期をヴィヴァルディの作品から知ることが出来ると思う。
 
 ヴァイオリンと比べ高度のテクニックを示すような作品ではなくその深みのある音色から叙情性溢れた作品となっている。第2楽章の哀愁漂う美しい旋律や第3楽章における2つのチェロが闊達に絡みゆく部分には決然とした力強さを感じる。

協奏曲イ長調 RV.552(ヴァイオリンと3つのエコー・ヴァイオリンのための)


 この作品は比較的演奏時間が長く規模の大きな作品といえる。長らくヴェネツィアのピエタ音楽院(孤児院)との関係が深かったヴィヴァルディがその晩年(1740年)に音楽院を訪問したザクセン選候帝であったフリードリヒ・クリスティアンの歓迎のために作曲された。

 ちなみに先日聴いた協奏曲ハ長調 RV.558(種々の楽器のための)と、協奏曲ニ短調 RV.540(ヴィオラ・ダ・モーレとリュートのための)も同様このときのために作曲された。

 楽曲は表題の通り独奏ヴァイオリンが奏でた旋律をエコーのように奏でる3つのヴァイオリンが舞台裏から聴こえてくるようなユニークな仕掛けになっていていかにも祝祭的な楽しみに満ちた作品だ。

協奏曲ハ長調 RV.561(ヴァイオリンと2つチェロのための)


 この作品はどことなくあの「春」を思わせるような楽しい明るい楽曲だ。はほとんどすべての楽章において独奏ヴァイオリンが活躍し、チェロは補助的な役割に徹する。安らぎと平安に満ちたヴァイオリンの旋律とチェロの分散和音がそれに花を添える第2楽章の美しさはこの曲中もっとも印象に残る音楽だ。

 イル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏は変な過激さは完全に影をひそめ心からアンサンブルを楽しんでいる様子が感じられ大変好感が持てる。

協奏曲ヘ長調 RV.544「プロテオ、または裏返しの世界」(ヴァイオリンとチェロのための)


 この項は次項に。

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ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1878/80年第2稿)

 ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団
 指揮:ユベール・スダーン
 REC:1998(OEHMS oc101)

 ユベール・スダーンは2004年に東京交響楽団の音楽監督に就任し日本での活躍がますます期待されるオランダ生まれの中堅指揮者。
 
 1994年に有名なザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の首席指揮者に就任。このブルックナーの第4交響曲の録音はかつてモーツァルテウム管弦楽団の自主制作盤としてCDになっていたがOEHMSレーベルから発売され広く日の目を見る。
 
 この演奏は1998年のザルツブルク音楽祭における祝祭大劇場でのライヴ録音。ちなみに使用されている版はもっともポピュラーな1878/80年、第2稿である。

 モーツァルテウム管弦楽団といえばスダーンの前任者で長くこのオーケストラを指揮してきたハンス・グラーフ(在任期間1984〜93年)との多くのモーツァルトの録音が残されていてこのモーツァルテウム管弦楽団というとはやはりモーツァルトの作品を演奏するオーケストラという固定観念が染み付いてしまっているのは事実。

 モーツァルトとブルックナー。なんだかイメージとしては正反対。だからこのオーケストラがどのようなブルックナーを聴かせてくれるのか大変興味がわく。

 聴いてみるとこのブルックナーの第4交響曲は堂々として味わい深い演奏だ。オーケストラの音も柔らかなサウンドでかつ繊細で透明感のある音色が素晴らしい。

 ズダ−ンの指揮も歌心に溢れていてブルックナーの交響曲の構造美というより旋律美が光っている点は見逃せない。木管楽器の音色も明るくきれいだ。この美しくしっとりとした音色が良く聴ける第2楽章は白眉の演奏といえる。

 狩のスケルツォと呼ばれる第3楽章は非常に軽やかに演奏され、終楽章も颯爽とした推進力で進められていき明瞭なサウンドでしっかりとしたものだ。

 ライヴ録音ということもあってか各所で金管楽器の音程のずれなどが気になるものの若々しく美しい歌心に溢れたブルックナーだ。
 
なおスダーンの指揮によるブルックナーの演奏はこのモーツァルテウムとのコンビで第9番(2002年)、かつて第1客演指揮者を務めていたメルボルン響と第4番(1986年)、最近では東京交響楽団とのコンビによる第8番のライヴ録音(2005年)がある。

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