ディアギレフへのオマージュ
ウェーバー(ベルリオーズ編曲)
1.舞踏への勧誘(薔薇の精)
ショパン(ダグラス編曲)
2.「レ・シルフィード」よりマズルカ
ドヴュッシー
3.牧神の午後への前奏曲
デュカス
4.魔法使いの弟子
ファリャ
5.「三角帽子」より「粉屋の踊り」、「隣人の踊り」、「最後の踊り」
スカルラッティ(トマシーニ編曲)
6.上機嫌な貴婦人
ラヴェル
7.バレエ組曲「ダフニスとクロエ」〜第2組曲
フィルハーモニア管弦楽団
指揮:イーゴリ・マルケヴィッチ
REC:1953[4,5],1954[1〜3,6,7](TESTAMENT SBT 1105[070909-336KDK])
先日に続きマルケヴィチの歴史的録音を聴く。
ここで聴くのは「ディアギレフへのオマージュ」とあるようにディアギレフのバレエになじみのある楽曲を集めたもの。このディアギレフとマルケヴィチは非常に親しい間柄であった。
虚飾を排した乾燥したタイトな演奏である意味トスカニーニのNBC響のあの乾いた音に似ている。
ここで表現した「乾燥した」や「乾いた」というのは演奏そのものの表現とは異なり、むしろ録音状況そのものである。モノラル録音であってしかたのないことであるが、奏でられている音楽はむしろ若々しく瑞々しく極めて緊張感の高い高次元の音楽になっている。
筋肉質で直線的な表現の「舞踏への勧誘」やショパンの「レ・シルフィード」はリズミカルな演奏でありながら力強く、ドヴュッシー、デュカスの作品はしっかりとした骨格の上に抑制された上品な雰囲気を醸し出す事に成功している。この2曲はこのCDの中でも白眉の演奏である。
ファリャの「三角帽子」、スカルラッティの「上機嫌な貴婦人」も生き生きとした息使いに彩られた名演である。とにかく勢いがあって聴いていて全く飽きない。
マルケヴィチの18番といっていいかも知れない「ダフニスとクロエ」〜第2組曲は、直線的な表現と演奏の雰囲気の持つ瑞々しさが非常に上手くマッチしていて先日聴いた北ドイツ放響との演奏よりも伝わってくるものがあった。
しかし、どうでもいい話だが、マルケヴィチという人はドラキュラみたいな風貌である。
彼の風貌とここで聴かれる演奏のドラスティックさとが相まって、まるで吸血鬼のような演奏に聴こえてくる。タイトすぎて血色が悪く冷徹な雰囲気をもちつつも、内包する狂気にも似た熱狂に満ちるマルケヴィチの指揮による演奏。
時には考え様によってはこのような危ない演奏を聴くのも刺激になるはず。
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