チャイコフスキー 1.交響曲 第1番 ト短調 作品13「冬の日の幻想」 2.バレエ組曲「くるみ割り人形」作品71a シカゴ交響楽団 指揮:クラウディオ・アバド REC:1991(SONY SBK6K 87883) チャイコフスキー初の交響曲。チャイコフスキーの交響曲といえばやはり後期の3曲、第4〜6番が代表的で有名であるのでこの第1交響曲もどちらかといえばマイナーな楽曲であるといえる。
だがこの第1交響曲も民謡風の親しみやすい曲想と魅力的な旋律で彩られていてなかなかの佳作である。若きチャイコフスキーがモスクワ音楽院の設立者で恩師アントン・ルービンシュタインの弟ニコライ・ルービンシュタインの招きにより同音学院の講師としてモスクワに出向いて間もなく作曲を勧められ着手したのが作曲にいきさつであるらしい。 この交響曲は第1楽章と第2楽章に標題がそれぞれついていて第1楽章が「冬の旅の幻想」第2楽章が「陰気な土地、霧の土地」となっている。 特に第2楽章の旋律は素朴で美しく印象深い。 今日聴いたのはゲオルグ・ショルティが音楽監督を務めていた(1969〜91)シカゴ交響楽団に1982年から85年まで首席客演指揮者として関係を持っていたクラウディオ・アバドが同楽団と完成させたチャイコフスキーの交響曲全集からの一枚。
このアバドとシカゴ響による全集は7年の歳月(1984〜91年)をかけて完成されたもの。その中でも初期の交響曲(第1番〜3番)の評価はすこぶる高い。期待が持てる。
この第1交響曲は全集中一番遅くに(1991年)の録音。純粋に音楽の美しさを表現していて何度も濾過したようにピュアで繊細。とにかく美しい。不純物は一切ない。それでいて芯はしっかりとしていて、はっきりとしたサウンドで縦のラインも精巧。非の打ちどころがない。 オーケストラを絶叫させずに上手くコントロールしているのが聴いて取れる。しなやかにやさしく、この第1交響曲の核ともいえる「歌心」を実に情緒豊かに演奏する。鳴りすぎずにすっきりときちんとまとめられた第1楽章と、これも歌いすぎずに自然な流れで心に訴えかけてくる第2楽章の叙情性豊かな演奏は逸品で心打たれる。 ショルティの指揮で聴かれるパワーは感じないが、終楽章に至るまでとにかく整理がきちんとなされた演奏でこのチャイコフスキーの第1交響曲の模範的な演奏であるといえる。 併録されている「くるみ割り人形」もテンポの速いスタイリッシュでスレンダーな演奏。有名な「花のワルツ」も気品に満ちていて聴きやすく好感が持てる。ヴィルトーゾ・オーケストラの機能性を遺憾なく発揮した秀演といえよう。その反面、あっさりしすぎていて優等生すぎる演奏という嫌いもあり面白みに欠ける側面もある。
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