ベートーヴェン 1.交響曲 第7番 イ長調 作品92 2.交響曲 第8番 ヘ長調 作品93 ザールブリュッケン放送交響楽団 指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ REC:2006(OEHMS OC 524) 以前、ARTE NOVAレーベルからブルックナーの全集を発表して一躍脚光を浴びるようになったスタニスラフ・スクロヴァチェフスキ。今回はスクロヴァチェフスキの指揮とザールブリュッケン放響とのお馴染みのコンビによるバーとーヴェンの交響曲全集を聴いてみる。 今回は第7番と第8番。年明け早々にふさわしい充実の演奏である。今年で84歳(10月には85歳)になる巨匠の初のベートーヴェンの録音であるのだからいかに遅咲きの指揮者であったのかということが良くわかる。 演奏はそんなかつてのフルトヴェングラーやベームのような枯淡の境地といった雰囲気は皆無で非常にエネルギッシュで推進力が凄くて、決して感傷的にならない。第1楽章の堂々とした重厚なサウンドと引き締まったリズムが音楽とこの演奏の風格を示している。 第2楽章は過度な干渉を排したいわば即物的な雰囲気であって品格があって素晴らしい。第3楽章も引き締まった筋肉質なリズムと推進力のあるテンポで目が覚めるようであり、それでいてどこまでも深く重厚なサウンドに一層の安心感を得る。 終楽章はやや疲れが見えるような感じで、リズムがやや重くなってきて細かい部分が少し曖昧になっているような感もある。1〜3楽章が目の覚めるような痛快な演奏であっただけに終楽章のもたつきがやや残念。 とはいえ、いわゆるモダン楽器による伝統的なアプローチにおける典型的なスタイルでつらぬかれていて腰を落ちてけて聴くことの出来るいい演奏であることに間違いない。 第8交響曲もとにかくエネルギッシュで痛快な演奏である。流れていく旋律が非常に太いのであるが決して音楽が停滞しない。折り重なっていく音とそれを形成する構成などという音楽の感覚を横のラインで捉えていく手法というよりも、サウンドは非常に太く重厚であるのにもかかわらず指揮者は絶えず音楽を縦方向からの視点で捉えているところに発生する微妙なバランス感覚がこの第8交響曲では良く感じられ、非常に新鮮である。
もっと簡単に例えていうならば相撲の力士が軽快にバレエを舞う感じである。なんともいえないバランスの不釣合いとそれを非常に上手く踊りきるところにこの演奏の妙と本質があるのである。 |

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