R.ショトラウス 1.交響詩「ドン・ファン」作品20 2.交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28 3.交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」作品30 ゴードン・ステイブルス(Vn)[3] デトロイト交響楽団 指揮:アンタル・ドラティ REC:1980[1,2],1982[3](LONDON FOOL-23037[080511-250BOMM]) ブラームスのピアノ曲だけでは少し退屈なので今日は大編成のオーケストラの楽曲を聴こう。 アンタル・ドラティの指揮によるR.シュトラウスの管弦楽曲集を聴く。演奏はドラティが最後に音楽監督を務めたデトロイト響。 アンタル・ドラティは名前だけは知っていたがじっくりと彼の指揮する音楽を聴いたことがなかった。 ドラティはハンガリーのブダペスト出身。ハンガリー国立歌劇場やドレスデン国立歌劇場で研鑚を積んだ後1947年にアメリカに帰化しその活躍の場をアメリカに移す。優秀なオーケストラのトレーナーとしてドラティは知られておりダラス交響楽団(1945〜48)、ミネアポリス交響楽団(現ミネソタ管弦楽団)(1949〜60)、BBC交響楽団(1963〜66)、ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団(1966〜70)、ワシントン・ナショナル交響楽団(1970〜77)、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(1975〜79)、デトロイト交響楽団(1977〜81)と数々のオーケストラの音楽監督に就任し多くの成果を残した。特にどのオーケストラもドラティの就任時には危機的な状況にあったものが多くドラティの凄腕と人徳によって演奏水準が高められその危機を脱したといわれている。 この他、1957年にハンガリーからの亡命者によってウィーンで結成されたフィルハーモニア・フンガリカ(2001年に解散)の音楽監督として史上初となるハイドンの交響曲を全曲録音した。 さてこの凄腕のドラティのオーケストラ・ビルダーとしての手腕を堪能できるうってつけのCDがこのR.シュトラウスの管弦楽曲集である。1980年と82年の録音であるからドラティの晩年の録音という事になる。 色彩感のある輝かしい音色を感じる事が出来る。しかし録音の問題もあるのかどうかわからないが様々な部分で抑制が効きすぎている感もあり、突き抜けてこない、なんとも消化不良の演奏であることは否めない。これはオーケストラのほうに問題があるのかもしれない。音に艶がなくて、表層的な感じがする。心に染み入るような音色の艶やかさがR.シュトラウスの作品には不可欠であると思う。弦楽器がざらついていて管楽器の音色も深みに欠ける。もう少し入念な音作りが欲しいところである。 とはいえ、この音がアメリカのオーケストラとも感じず、ヨーロッパの音、そう、スロヴァキアとかハンガリーとかの淡白な音色を彷彿とさせるのもひとついえる。
昨今はR.シュトラウスの管弦楽曲の録音も膨大なものになっておりそれを考えるとこの録音の存在意義はその側面からのみ考えると決して大きいものではない。 ただし、アメリカの地方都市のオーケストラにヨーロッパのオーケストラの息吹を吹き込んだドラティの功績の奇跡の一端がこの録音からも充分に感じて取れることは間違いない。 その意味においてもこのドラティという指揮者はもっと認知されるべき指揮者であり、過去に録音も多いようなのでこれらの録音の復刻を望みたいところである。 |

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