ラフマニノフ 1.ピアノ協奏曲 第1番 嬰ヘ短調 作品1 2.ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18 3.ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 作品30 4.ピアノ協奏曲 第4番 ト短調 作品40 ウラディーミル・アシュケナージ(Pf) ロンドン交響楽団 指揮:アンドレ・プレヴィン REC:1970,71(LONDON POCL-3840/1[080326-500BOMN]) 先日に続きラフマニノフのピアノ協奏曲を聴く。今日は第3番と第4番。 映画「シャイン」で一躍脚光を浴びた感のある第3協奏曲は1909年に作曲された。特に出だしの主題の旋律が非常に印象的で憂いのあるロマンティックな楽想である。 胸に突き刺さるような激情を含む恐ろしく劇的な作品になっていてこの「憂い」「ロマンティック」「激情」を一つの流れとして統一しつつ各場面の性格をより特徴的に浮かび上がらせるとうい音楽的な表現は非常に難解であると思われる。技術的なことはいうまでもなく超人的な技術を各所で要求される。 第1楽章のカデンツァは2種類あり規模の小さなあっさりとしたものと規模の大きい重厚なものとある。比較的後者の規模の大きい方を取るピアニストが多い。このCDにおけるアシュケナージのピアノでも後者を採用している。 このアシュケナージのピアノはなかなかの佳演である。音に深みと憂いを感じる事が出来る。それでいて全体の流れは実に緊張感に満ちた一定の統一感があり聴いていて納得のいくものである。 もう少しオケの音色に深みと色気があったほうが良かったかもしれない。表現が幾分ストレートすぎる嫌いがあると感じた。 ラフマニノフの第4協奏曲は彼の作曲したピアノ協奏曲の中で一番マイナーな楽曲と言っていいだろう。1917年のロシア革命を機にアメリカに亡命をする。この亡命期にこの第4協奏曲は作曲された。亡命期のラフマニノフはすでに創作に関してはかなり衰えていたとみえ、この第4協奏曲もこの意味においては第2、第3協奏曲に比すればあまり内容的に充実感のないものかもしれない。 確かに旋律美においては明らかに第2第3に及ばず勢いにおいても第1に遠く及ばない気がする。忘却の彼方にある青春を呼び起こし現在の枯淡の雰囲気とがこの楽曲に一緒になって込められたような焦点のはっきりとしない楽曲であるともいえる。 萎えていた作曲に関する意欲を取り戻すきっかけを作ってくれた同じく亡命ロシア人ピアニストニコライ・メトネルの勧めによって作曲された第4協奏曲。ロマンティックでもあり熱情的でもあり枯淡であり寂寥感に包まれた楽曲でもある。その全てが整理されずに雑多に全ての心境が一気にやってきてしまう、そんな楽曲である。 アシュケナージとプレヴィンの指揮するロンドン響はこの密着し乖離した雰囲気のある不思議な楽曲を非常に上手いバランスで演奏していると思う。同曲における素晴らしい演奏といえる。
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