ブルックナー 交響曲第5番変ロ長調 ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団 指揮:ゲオルク・ティントナー REC:1996(NAXOS 8.553452) アイヒホルンのブルックナー選集を聴くに当たりやはり色々対抗馬も聴いたほうがいいかなと思い、誉れ高いティントナーの全集も参考に聴いていこうと思った。 第5交響曲はロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管が演奏を担当している。アイヒホルンの演奏よりもテンポは速めでありサウンドはさっぱりと淡白。音の立ち上がりが非常にシャープで切れ味がある。弦楽器に関してはざらついた感じを受ける。金管楽器も強奏の場面になると雑然とした薄い響きが残念である。この硬質なサウンドはどうしてもブルックナーにはふさわしくないと考えてしまう。 であるが・・・この演奏に魅せられ引き込まれてしまうのだ。それはおそらく響きが薄いだの硬質だのそういった表層的なものとは異なるロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管の尋常ならざる演奏への集中力を感じざるを得ないからだ。金管の吹っ切れたようなさっぱりとしたストレートな強奏に代表されるようにティントナーのタクトに必死にくらえつこうという滲み出る必死さがこの演奏から感じられてならない。余裕など微塵もない、120%持てる力のすべてを叩き込むような必死な演奏に心底感動する。 その意味においてもティントナーという指揮者の神がかり的な力量を感じさせられる演奏である。音楽家として指揮者として生涯のほとんどが不遇であったティントナーが晩年にようやく手にした活躍の場、その集大成であるブルックナーの交響曲全集の第1弾となったこの交響曲第5番。遅すぎた栄光の始まり。その魂が凄まじい音塊となって聴くものの心にぶつかる。 これぞ音楽。魂が揺れる。心が揺さぶられる。
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