クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調(原典版)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ダニエル・バレンボイム
REC:1991(WARNER 2564 61891-2)

 感情表現豊かなブルックナーである。特徴的なのはテンポの揺らぎである。その意味においてはバレンボイムが公言しているようにフルトヴェングラーの影響を多大に受けている感じがこの演奏からも感じられる。スクロヴァチェフスキやヴァントのような綿密な自己の設計図とおりの堅固な構築性とは完全に一線を画したロマン情緒あふれるブルックナーである。このような雰囲気の演奏スタイルは現在の風潮と照らし合わせるとやや時代錯誤的な感もするが、現状ここまで感情に左右されたファジーなブルックナーを真剣にやっているのはもはやバレンボイムくらいではないだろうか。

 スクロヴァチェフスキやヴァントなどに代表され新たな即物主義と朝比奈やティントナーのような中庸な表現、チェリビダッケのような特異な表現、学者肌的なインバルの演奏がひしめく中にあってこのバレンボイムの表現は古臭くもありそれを無骨にそして露骨に表現する演奏に妙な新鮮味を覚えてしまう。
 
 終楽章のテンポの揺らぎといったら・・・ここまでやると本物に聴こえてくる。もちろん何が本物で何が偽者なのかなど音楽の世界においてはまったく意味のないことなのかもしれない。しかし個人的な本物と真逆の演奏スタイルであるにもかかわらず聴いているうちにある種の説得力をもつようになってくるから恐ろしい。

 このバレンボイムの演奏はティントナーやスクロヴァチェフスキ、ヴァントにはまずありえないアッチェルランドやリタルダンドの応酬が特徴的で、その意味では飽きない演奏である。しかしこの恣意的な演奏は統一感がなくてなんだか意味的によくわからなくなってしまう。

 ところが演奏しているのは天下のベルリン・フィル。すごく上手くて、これほどめちゃくちゃな指揮に完璧に反応しているのだからすごい。

 いや、まてよ・・・。フルトヴェングラーの演奏がこんな感じであったのだ。であるから世代は超えているかも知れないが、感情移入の激しすぎるこういった演奏こそがベルリン・フィルにおいて本流であったともいえる。

 だからこそ、聴いているうちにある種の説得力をもつということが感じるのかもしれない。

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