クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調(原典版)

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ギュンター・ヴァント
REC:1996(RCA  BVCC-1510)

 今から10年以上前の1996年に録音、発売された、当時同曲の決定的名盤と謳われたギュンター・ヴァントとベルリン・フィルによる名演を聴く。

 先日にも書いたがヴァントによるブルックナーの第5番はケルン放響(1974)、北ドイツ放響(1989)、ミュンヘン・フィル(1995)、ベルリン・フィル(1996:当盤)、北ドイツ放響(1998:DVD)の録音などがある。

 このうち北ドイツ放響との録音は未聴であるがやはりこのベルリン・フィルとの演奏は圧巻と言うか度肝を抜かれる壮絶な演奏である。

 ケルン放響との演奏に聴かれた神経質なほどの緻密さやミュンヘン・フィルとの演奏に聴かれた官能的ともいえる美しさとは一線を画する、無骨で豪快な側面がこの演奏からは感じられる。

 この演奏における様々なレヴューをみると、録音の悪さなどを指摘される方も多いようであるが、ライヴ録音であるがゆえのストレートに響く音色にあるのかもしれない。最近では同録音がSACDで発売されており音質も格段に向上しているようである。

 豪快に放射される音と音が交わらずに強烈にぶつかり合うような、熱気を帯びた演奏がこのヴァントとベルリン・フィルの演奏の本質のように感じる。

 ヴァントの音楽の方向性、つまり感傷的にならず折り目正しくきっちりとした音楽を展開する音楽の本質は、ケルンやミュンヘンもベルリンもあまり変わらず筋が通っている。

 確かにこのベルリン・フィルとの演奏は緊迫感や緊張感、熱気と豪快さの上では名演であることに違いがないが(よく言われる録音が良くないから?)各パートのエッジが強くて音楽が縦割りされている感じが強く横へのつながりに欠ける気がしてならない。その意味においては粗雑に感じられてしまう場面もある。

 1997年1月号のレコード芸術に掲載されているこのCDの評価は非常に高く絶賛されているが、ヴァントの指揮するブルックナーの第5交響曲において1995年録音のミュンヘン・フィルとの演奏が聴ける現在において必ずしもこのベルリン・フィルとの演奏がベストであるとは断言で気ないと思う。
 
 このような点を考慮して総合的に考えると(NDRのものを聴いていないからなんともいえないが)ブルックナーの持つ深淵性がより前面に出ているかつて聴いたミュンヘン・フィルとの演奏がヴァントのブルックナーの第5交響曲におけるベストになると個人的には思う。
 
 このベルリン・フィルとの録音はヴァントの作った折り目正しい枠組みの中で各パートの音が生々しくぶつかり合って言いようのない熱気に包まれた演奏である。それに対しミュンヘン・フィルの録音は各パートの音色が実に繊細で美しく角のないまろやかなものになっていて音楽全体を覆う美しいベールがあるのが特徴的である。すべての音色が素晴らしく交じり合い言いようのない美しさを醸し出している。これはチェリビダッケの作り出した極上のサウンドに規律正しいヴァントの音楽が融合した格別なサウンドである。

参考
ヴァント、ミュンヘン・フィルによるブルックナーの第5交響曲
http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/54401508.html

ヴァント、ケルン放響によるブルックナーの第5交響曲
http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/59102265.html

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