ベートーヴェン 1.バレエ音楽「プロメテウスの創造物」作品43 序曲 2.「コリオラン」序曲 作品62 3.交響曲第10番から第1楽章(編曲:バリー・クーパー) 4.交響曲 第6番 ヘ長調 作品68「田園」〜第4、第5楽章(リハーサル) 5.交響曲第10番から第1楽章(リハーサル) バーミンガム市交響楽団 指揮:ヴァルター・ヴェラー REC:1988(Chandos CHAN 8717) さてワルター・ヴェラーの指揮するベートーヴェン全集は一応の終わりを見たわけであるがこの全集にはおまけがついている。おまけといっていいのかどうかわからないけれど2つの序曲とイギリスの作曲家で音楽学者バリー・クーパーの編曲したベートーヴェンの交響曲第10番という珍品が収められている。 まずは序曲2曲である。「プロメテウスの創造物」序曲と「コリオラン」序曲である。演奏は豪快でスケールが大きくなかなか聴き応えがある。リズムが躍動しサウンドが引き締まっており集中度の高い佳演である。 さて、珍品の交響曲第10番。この楽曲は第9交響曲「合唱」とともに作曲が企図されていたものであったが結局、構想で終わってしまった楽曲である。 この際にあった様々なスケッチをもとにイギリスの作曲家で音楽学者バリー・クーパーというひとが編曲(というよりほとんど作曲に近い)したものがこの第10番の交響曲。実際のところはいくつかの楽章があるらしいが録音で残されているのは第1楽章のみである。 この交響曲第10番の第1楽章は3つの部分からなっていてそれぞれアンダンテ−アレグロ−アンダンテという構成になっている。最初のアンダンテの部分はまるで第9番の第3楽章や第8番のピアノ・ソナタ「悲愴」の第2楽章を思わせる。 中間部のアレグロ部は「田園」交響曲の「嵐」の部分やふとブラームスを感じさせる雰囲気でもある。最後のアンダンテの部分は最初のアンダンテの部分が再現される。 結果としては長たらしいだけで内容に薄くベートーヴェン風の音楽がここに再現されただけかもしれない。でも決して悪い音楽ではない。「合唱」交響曲、「田園」交響曲、「悲愴」ソナタが薄く交じり合ったポエムのような随想のようなそんな楽曲である。ちなみにヴェラーはこのバリー・クーパーによる楽曲を初演している。そのような経緯から全集にこの楽曲をいれたのだろう。 最後に「田園」交響曲と第10番の交響曲のリハーサル風景が収録されている。ヴェラーはフレーズを徹底的に声に出して歌い、団員に旋律の情緒を伝えている事がよくわかる。この練習を通じて音楽がまとまっていく風景を感じられるとてもいいトラックである。
このCDはとてもいい。序曲2曲は名演だし、珍品のベートーヴェンの第10交響曲が聴けるし、ヴェラーのリハーサル風景も聴ける。 最後にベートーヴェンの交響曲全集の余韻を聴ける感じ、エピローグを聴く感じですごく印象がいい。 ゲテモノ扱いされているクーパー編曲の第10交響曲もヴェラーの演奏で聴くとさすがにベートーヴェンの作品とは思えないにしてもその時代のその周辺の楽曲のように感じられてくる。 |

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