アサー・サリヴァン 交響曲「アイリッシュ」 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:サー・チャールズ・グローヴス REC:1968(HMV HMVD 5 73678 2[080605-500BOMN]) この交響曲「アイリッシュ」は先日聴いた歌劇「ペイシェンス」の余白に収められていた。1866年にサリヴァン自らの指揮によって初演されている。20歳代の若書きの作品であり非常に若々しく瑞々しい意欲的な作品であるといえよう。ちなみに「アイリッシュ」というサブ・タイトルは作曲者の死後につけられたものであるらしい。 サリヴァンは1842年生まれであるからちょうどチャイコフスキー(1840年生まれ)やドヴォルザーク(1841年生まれ)グリーグ(1843年生まれ)リムスキー・コルサコフ(1844年生まれ)など民族主義的な思想に立脚して数多くの名曲を残した大家と同世代である事がわかる。 この交響曲「アイリッシュ」もそういった系譜に数える事のできる名曲である。サリヴァンのオペラだけ聴いていたのでは全く想像できないきっちりとした純粋な音楽作品となっている。所々でチャイコフスキーやドヴォルザーク、シューベルトを思わせるような雰囲気を感じるが、要所で奏でられる旋律はいかにもサリヴァンらしい純朴ながらもウィットに富んだ非常に耳に馴染みがいいものである。 特に第4楽章で度々聴かれる旋律が有名なリパブリック賛歌を思わせなんとも仄かな郷愁を抱かせるし、第3楽章冒頭のオーボエのエキゾチックな旋律も非常に新鮮な旋律である。 サリヴァンの意外な横顔を発見できる佳曲である。 演奏はグローヴスの指揮によるロイヤル・リヴァプール・フィル。しなやかでマイルドなサウンドと歌心にあふれた演奏には好感が持てる。録音は1968年という事であるがそれほど古さは感じない。もしも機会があれば別の演奏でも聴いてみたいと思う。 |

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