ブルックナー 交響曲第7番ホ長調 ザールブリュッケン放送交響楽団 指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ REC:1991(ARTE NOVA BVCE-6053) きびきび、てきぱきとした音楽運びで明瞭なサウンドを聴かせてくれていた同コンビによる第7交響曲を聴く。第5番が1996年、第6番が1997年であるから1991年の録音であるこの楽曲は比較的早い時期に録音されたことになる。またこれはどうやらライヴ録音であるようだ。ところどころで観客の咳払いや指揮者本人の掛け声のようなものなどが聴こえてくる。表記には無いが第2楽章の打楽器使用から類推するにノヴァーク版を使用していると考えられる。 これら複合的な要因のためか第5、第6番の交響曲に比べてややアプローチが異なるような気がする。この第7番は荘厳で重厚なサウンドで大伽藍のスケールの大きい音楽になっている。その一方で第5、第6のときに感じたレントゲン写真のような明晰さは影をひそめているのだ。 第1楽章は冒頭の第1主題の歌わせ方が非常に特徴的。第1主題の3小節目、2小節目からタイでつながっている最高音の1拍目の2分音符から2拍目の下がる4分音符に移行するときグリッサンド風に歌うのである。その後もこの主題が現れた時は同じように歌う。これはとても美しく効果的な奏法で非常にユニークである。このように第1楽章はどこまでもレガートに演奏されていて、重厚で滑らかな音楽が展開されていく。 第2楽章は細かい音程が気になるところもあるが、非常に集中度の高い濃密で厳粛な演奏を聴かせてくれる。呼吸の深い深遠な雰囲気に満ちた、ひりひりするような緊張感のある演奏になっている。177小節目への音楽のうねりはすごい。一気に音楽に引き込まれる。さらに素晴らしいのはこのあと有名なワーグナー・チューバで演奏される184小節目からのコラールが絶妙の音色できちんと聴けるところ。 また他に指揮者などでの演奏では絶頂の177小節目から184小節目までの経過部分をきちんとそして自然につなげることに成功している。この点はさすがスクロヴァチェフスキである。見通しのいい演奏で素晴らしい。 第3楽章に関しては旋律と対旋律の双方を際立たせることによって音楽の構造を前面に押し出している感はあるが何せライヴ録音であるし、強奏になってしまうと音が混濁してしまい、いた仕方ない部分もある。 第4楽章はやや早めのテンポであるが音楽は常に潤いを保ちまるで清流のようである。管楽器の強奏でコラール風の旋律を演奏する部分ではサウンドの重さを厳しく絞って筋肉質に束ねて一気に疾走させる。作曲家の指示である「幅広く」という点をあまり気にせず持っていってしまうこの部分に関してはやや疑問が残る。 全曲を通して考え抜かれている演奏になっている。聴き手も色々発見することができるし、考えさせられる。私の再生プレーヤーが安物のためかもしれないが強奏部におけるサウンドの崩壊が玉に傷である。 否みにスクロヴァチェフスキは1999年にHNK響と同曲をライヴ録音している。こちらの演奏も素晴らしい。(http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/19343422.html) 基本的には1991年の当盤とスタイルは変わらないが1999年のNHK響との演奏のほうが録音状態はいい。ただ第3楽章や第4楽章のコラールの部分などの金管楽器の音がザールブリュッケン放響に比べて少々野暮ったさを感じる。
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