ドヴォルザーク 交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」 プッチーニ 歌劇「マノン・レスコー」間奏曲 ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:西本智実 かつて西本智実という指揮者を知ったのは今から5,6年前のこと。以来国内はもとより海外でも活躍している指揮者であるが素人受けはいいようだが玄人受けはやや芳しくないように感じる。私もちょうど5年前に彼女の指揮する演奏を聴いて辛辣なコメントを残しているが、(http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/30497393.html) (よい印象でも悪い印象でも)偏見を捨てて再度彼女の演奏をじっくり聴いてみたいと思った。ちなみにこのブログはまさに丸1年ぶりの再開である。 交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」 出だしから細かな点が気になる。第1楽章序奏における木管楽器の音程が不安定で落ち着かない。 序奏から第1主題へのブリッジする部分のティンパニのロールの音程の収まりが悪く、気分がすっきりしないまま第1主題へ入っていく。 主題に入るとふくよかなサウンドで朗々と雄弁と音楽が奏でられていくところはさすがである。各所で内声部がはっきりと聞き取ることが出来て音楽が立体的に感じられる。だがその一方で金管楽器を主体とするフォルテの音色が悪く音楽の流れを阻害しているように感じられてしまう点は残念である。金管楽器だけでなく全体的にフォルテになると音楽が野暮ったくリズムが重くなってしまい音楽の推進力が急減してしまう印象を受ける。 オーケストレーションの薄い部分やピアノの部分などはすっきりとした見通しのいい音楽をやっているのとは対照的である。第1楽章最後の強烈なアッチェル部分は勢いあまり過ぎて音楽が壊れてしまい雑然としたフィナーレ。もう少し丁寧であってもよかったのではないか? 第2楽章は第1楽章同様、冒頭の管楽器の音程とバランスがしっくりこなくて歯が浮いたような感覚。粘着力のあるサウンドで寂寥感よりも暖かなぬくもりを感じさせるフレージングで好感が持てる。いたし返しなのかもしれないが、反面、やや音楽の足取りが重く各所によどみが生じてしまい退屈な感じを与えてしまうのは残念である。 第3楽章の沸き立つようなリズム感覚はなかなかのものだが、ここでも各楽器のバランス感覚の欠如が如実にあらわになっていて、さらに旋律とリズムの縦が揃わず、いわゆる「リズムがはまらない」部分が散見され雑然とした雰囲気をどうしても与えてしまう。 第4楽章は今までのふくよかで厚めのサウンドが一変。やや集中力が途切れたような感覚。明らかに第1〜第3楽章におけるサウンドとこの第4楽章は異なる感じがする。冒頭における弦楽器の旋律がいかにも貧弱で鳴りきっていないという感覚がある一方で、聴いていくうちにこれはこれでいいのではないかと思ってきてしまう。すっきりとしたサウンドで強奏でもサウンドが音がつぶれることがなくアンサンブルがしっかり聴いて取れる。スコアの細かなところも丹念に描き出され、それが意味を持って音楽全体へ関与していくのがわかる。この辺は西本の手腕によるところが大きいと思う。 全楽章を聴きとおすと、特に第4楽章に西本自身が強いこだわりを持っていたように思える。この第4楽章においては細かな不備はあるが大きな破綻がなく、きっちりとしっかり演奏されそれが統一された雰囲気を聞き手に与えることに成功しているといえる。 ただ、ただ、惜しまれるのは、肝心の最後の弱音の和音・・・。音程が悪い。どうもしっくりこない。この楽章はここだけが悔やまれる。 歌劇「マノン・レスコー」間奏曲 併録されている「マノン・レスコー」間奏曲は情熱的な演奏で感動的である。ブックレットによれば西本はオペラの方面でも活躍してきたとあるがそれもうなずける立派な演奏である。
演奏しているのはブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団。ブダペスト国立歌劇場の選抜メンバーのオーケストラであるとのこと。かつてリコ・サッカーニという指揮者のもとでいくつかの録音を残しており話題となったオケである。ちなみに「新世界」も録音されている。次回聴いてみたい。 |

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