クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

今日のCD(トピックス)

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調

NHK交響楽団
指揮:ロヴロ・フォン・マタチッチ
REC:1967(Altus ALT131)

 旧ユーゴスラヴィア出身の指揮者マタチッチによるブルックナーの第5交響曲を聴く。

 マタチッチはヨーロッパではあまり有名ではなかったようであるが日本では非常に人気のあった指揮者のようだ。この録音は1967年11月21日に東京文化会館で行われたライヴ録音である。

 マタチッチによるブルックナーの第5交響曲の録音は3種類ある。1967年のNHK響との録音(当盤)。1970年のチェコ・フィル、1979年のフランス国立管との演奏である。

 1970年のチェコ・フィルとの録音が非常に有名であるがこのN響とのライヴ録音も熱気にあふれ素晴らしい演奏になっている。

 マタチッチの指揮する同曲においてはクナッパーツブッシュ同様、シャルクによる改訂版の使用がありその意味においてやや問題があると言わざるを得ない。個人的には1970年のチェコ・フィル、1979年のフランス国立管との演奏を聴いたことがないけれども、このN響の録音を含め3種の録音については同様のことが言えることのようだ。

 それはさておき、この演奏を聴いていて何より感じる事がNHK交響楽団の凄まじい集中力と執念のような熱演にある。マタチッチに心酔したN響のメンバーによる稀有なる熱演が展開されていく。この時代の日本のオーケストラとは思えぬほどの密度の濃い徹底した熱い演奏である。120%の力を出したような強烈な演奏である。金管楽器のパワーなどは今日の欧州やアメリカなどのオーケストラに匹敵する。いつしか聴いた残念な大阪のオーケストラとは訳が違う。気持ちの入れようが違うのだ。

 マタチッチの豪放で豪快な指揮にNHK響がこれでもかと食らえついていく、指揮者とオーケストラのまさに蜜月がここに聴き感じて取れる。

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:カール・シューリヒト
REC:1963(Altus ALT089)

 この1963年の録音はウィーン・フィルの定期演奏会のライヴ録音である。この録音はかつてドイツ・グラモフォンからリリースされていた「ウィーン・フィル150年記念ボックス」の中の一枚として収められていたが、およそ10年ぶりにAltusレーベルから再度発売された。
 
 以前にシューリヒトの指揮によるブルックナーの第8交響曲を聴いて痛く感動した事を思い出す。この演奏はライヴ録音と言う事があるのかもしれないが切羽詰ったような極度の集中力を感じる。
 
 虚飾を排したストレートな表現に無骨な熟練指揮者の一途なこだわりを感じる。第3楽章のスケルツォは凄まじい演奏となっている。これもライヴならではであろう。すべてが破綻の一歩手前でぎりぎりの演奏になっている。手に汗握る緊迫の演奏である。
 
 この演奏における様々な評論においてはテンポ変化(極端なアゴーギグの連発)の多用さを挙げる人も多いようだが、それは楽節などいわばミクロの範疇で行われている事象であり楽曲全体を通したマクロの部分では一切のぶれ(要するに変化)がない。
 
 テンポの変化、感じ方によってはこれみよがしのアゴーギグの多用に関して、いわれてみればそのように感じるがシューリヒトの作り出すブルックナーの楽曲における全体の流れの中にあってこの点における指摘は非常に些細な事であるように感じるのだ。
 
 私は決してシューリヒトを贔屓しているわけではないがとにかく説得力のある見事な演奏である。細かなテンポ変化に必死に食らえついていくウィーン・フィルの切迫した演奏にも拍手。

 聴き終わった後にこの録音がモノラル録音である事に気づいた。そのくらい熱気あふれる緊張感に漲った名演であることは言うまでもないと思う。

 この録音はカール・シューリヒトがウィーン・フィルのメンバーに愛された事の証左である。


参考
シューリヒトの指揮によるブルックナーの第8交響曲
http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/53464361.html

シューリヒトの指揮によるモーツァルト
http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/58326491.html

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調(原典版)

ソヴィエト国立文化省交響楽団
指揮:ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
REC:1984(BMG BVCX 38009-10)

 旧ソヴィエトのオーケストラはいつもなぜこうも突拍子もないのだろうか?昨日のショルティよりももっともっと個性的で、クナッパーツブッシュのそれに近い。クナに近いというのはクナの演奏と似ていると言うことではなくブルックナーから同じくらい遠い距離感覚にある演奏と言う意味で「近い」。

 指揮者のロジェストヴェンスキーの解釈云々の前にまずサウンドが録音状態を含め、あまりに雑で鑑賞に堪えうるものではないという点が一点。

 この時代を含め旧ソヴィエト時代の録音はキンキンしていてきちんとしたものはあまりないのが実情であると思う。

 ブックレットにもあるが「原典版」と謳っておきながら全く「原典版」ではなく色々手を加えられているらしい。素人耳にもよくわかるのは終楽章のコーダの部分。意味不明のトランペットの音がガンガン聴こえてくる。

 風変わりなブルックナーを好む人にはたまらない一枚である。

 ちなみにこのロジェヴェンの全集はブルックナーについてまわる異稿などを網羅した一大全集を企図して録音された全集である。今日の一枚はその中の一枚。

 残念ながら現在はこの全集は廃盤になっているらしい。中途半端に持っているので、中古屋周りで不足のものをゲットしたい。ブルックナーの演奏としてはろくでもない演奏なのだが気になって仕方ない。その意味で魅力ある全集である。

 この第5交響曲の終楽章の荒くれようを一度でも聴いてしまうと、(今日、某有名人が麻薬で捕まったが)まさに麻薬的な効果を発揮するやばい演奏である。駄目だと思いつつも思わず何回でも聴いてみたくなるそんな演奏である。あらゆる意味でぶっ飛んだ演奏である。

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調(ノヴァーク版)

シカゴ交響楽団
指揮:サー・ゲオルグ・ショルティ
REC:1980(DEC 488 914-2 59.00)

 名指揮者ショルティと名門シカゴ交響楽団によるブルックナー全集からの一枚。第3楽章などの突っ込み具合はブルックナーというよりハリウッドの映画音楽を聴いているような錯覚に陥るほどの凄まじいスピードである。それでいて完璧なアンサンブルなのだからシカゴ響の卓越した技術には驚きを禁じえない。

 かたや第2楽章は(このコンビにしては)意外なほどにテンポが遅い(21分37秒!)。音楽に深みがあってショルティからは想像出来ないほどの濃厚でしっかりとした音楽が展開される。この第2楽章は白眉の名演である。

 第4楽章の金管楽器の突き抜けてくるこの鉄球のような豪快なサウンドは他に類を見ない。凄まじいパワーである。このフィナーレ楽章にはおそらく畏怖の念や敬虔な祈りなど皆無である。良い悪いは別として、現実的な部分をより明確にしたようなアメリカナイズされたブルックナーが聴いて取れる。
この演奏は強烈に放射される音のシャワーを浴びる事は出来ても決して聴く人を包んではくれない。それにしてもすごいパワーである。

 画像は分売からのもの。

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調(原典版)
ベルリン放送交響楽団
指揮:ハインツ・レークナー
REC:1983〜84(Berlin Classics BC 3011-2)

 先日のスウィトナーとともに旧東独の代表的な指揮者であったハインツ・レークナーのブルックナーを聴く(レーグナーともいうようだ)。レークナーは1929年生まれでスウィトナーよりも7歳年下であるがすでに2001年に亡くなっている。
 
 おそらくレークナーもスウィトナー同様ブルックナーの交響曲を全集という形では残していないはず。選集という形(おそらく4〜9番)で録音しているようだ。
 
 ここで聴く第5交響曲はテンポがやや前のめりの感じで忙しく演奏される。終楽章の忙しさに目の回るような演奏はブルックナーの世界観とは少し異なる感じがした。
 
 この演奏に関してブックレットに寄稿しているのがカリスマ評論家の宇野功芳さんなのであるが、宇野さんによるこのレークナーのブルックナーの忙しい演奏を端的に述べている記述があったのでここに挙げてみたい。
 
 「レークナーの造形は完全な短距離型である。・・・フレーズ自体、音楽の起伏自体が短いのである。」
 
 なるほどずばりこの演奏を言い当てている。個人的にこの第5交響曲には神々しさや深遠さを求めたいのであるがこの演奏は「短距離型」の演奏であるのでこのような雰囲気を求める事は出来ない。リズムの切れや颯爽とした雰囲気、俊敏さはあるがやや破天荒な感じもありあまりいただけなかったと言うのが本音である。

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