クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調(原典版)

シュターツカペレ・ベルリン
指揮:オトマール・スウィトナー
REC:1990(DS TKCC-15013)

 旧東独の巨匠オトマール・スウィトナーのブルックナーの第5番である。スウィトナーは1,4,5,8,7,8番を録音しているようであるが全曲の録音には至っていないらしい。この第5交響曲が異常なほどに素晴らしいので全曲録音がないのは非常に残念である。

 以前マーラーの第5交響曲を聴いてやはり素晴らしいと感じた事があったが同じような感動である。録音場所がベルリンのイエス・キリスト教会であることなども手伝ってかサウンドが実に伸びやかである。残響が多すぎて野暮ったさなどもなく実にシャープで引き締まった音色にまず驚かされる。

 驚きは第2楽章の出だしのテンポである。とにかく速い。全く別の音楽を聴いているようだ。どのような意図でこのようなテンポなのだろうか。続く第2主題の決然とした弦楽器の旋律には強さと深みと憂いが交じり合った最高の音楽になっている。第2楽章は聴けば聴くほど説得力がある。

 フィナーレも彫りの深い格調高い音楽になっていて、シュターツカペレ・ベルリンの燻し銀の確固たるサウンドが前面に押し出されていてとにかくすごい。熱のこもった演奏で壮大なブルックナーの音楽が克明に感じられ圧倒される。

 ヴァントやチェリビダッケ、スクロヴァチェフスキのようなトップダウン的な厳格なブルックナーとは一線を画する自然な流れの中に確固たる構造美を導き出すことに成功した稀有な演奏といっていい。録音も優秀。これぞ本当の名演である。

 スィトナーと言う指揮者は日本ではそれなりに評判が高いがもっと世界的に評価されるべきであると思う。


 参考
 スウィトナー/シュターツカペレ・ベルリンによるのマーラーの交響曲第5番
 http://blogs.yahoo.co.jp/qq473ms9/20366940.html

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ブルックナー
1.交響曲第5番変ロ長調(シャルク改訂版)
ワーグナー
2.楽劇「神々の黄昏」〜夜明けとジークフリードのラインの旅 

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ハンス・クナッパ ーツブッシュ
REC:1956(DECCA 448 581-2)

 伝説の指揮者ハンス・クナッパーツブッシュによるブルックナーの第5交響曲。現代において全く演奏されることのない「シャルク改訂版」における演奏。ここで展開されている音楽は随所に見受けられるカットなどなんだか意味を感じない音楽になっている。それはブルックナーの音楽と全く異なる音楽といって差しさわりがない。ワーグナーとブラームスが交じり合った雰囲気である。

 しかし、この演奏は重厚でなんともいえない説得力のあるきりりとした演奏である。明らかにブルックナーではないのにブルックナーのテイストがするブラームスないしはワーグナーを聴いている感じである。フィナーレの意味不明な打楽器にもすごい違和感をもってしまうのだが・・・。

 やっぱりはっきりいって「シャルク改訂版」はブルックナーではない。クナッパーツブッシュには本当のブルックナーを振ってもらいたかった。
 
 併録のワーグナーは本当に素晴らしい。この深い精神性こそ音楽のすべてである。クナッパーツブッシュはその意味ですごい指揮者なのであると思う。音楽に深みにあふれながら音楽そのものがとうとうと流れているのだから。恣意的でなく自然な形で。クナッパーツブッシュのブラームスは好きではないがこのワーグナーは本当に素晴らしい。ブルックナーも原典版であったらどれほど素晴らしい演奏になっていただろうか。
 
 それにしてもこのワーグナーは極めつけの名演である。

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ブルックナー
交響曲 第5番 変ロ長調

ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団
指揮:アイヴォー・ボルトン
REC:2004(OEHMS OC364)

 ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団といえばモーツァルトをはじめとする古典派作品の分野においてそのレパートリーを主に知るところであったが、最近廉価でブルックナーの交響曲がOEHMSレーベルから出ている。
 
 ここで指揮を振っているのは2004年よりザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の首席指揮者を務めているアイヴォー・ボルトン。ボルトンは1958年、イギリスのランカシャー州ブラックロッド生まれ。オペラの分野でも活躍している中堅の指揮者である。
 
 さてここで聴くブルックナーは非常にこじんまりとしたある意味、現代トレンドを象徴するような「エコ」なブルックナーである。オーケストラのサイズも然り、演奏時間やその音楽から与えられるプレッシャーも然り、非常にあっさりとしたさっぱりとしたベジタリアンな演奏である。ダンプカーや戦車のような重量級のブルックナーを期待すると肩透かしにあうこと間違いがない。このブルックナーはまさに軽自動車かエコカーである。
 
 チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルの真逆にある、本当に薄味のブルックナーである。そよ風のブルックナー、蒸し暑い日に聴くには最適な演奏である。

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ブルックナー
交響曲第5番変ロ長調

大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:朝比奈隆
REC:1978(JeanJean JJGD-2005/2006)

 朝比奈隆壮年期の記録。この録音を含む全集は長らく入手が困難なものであったが最近復刻されたことで評判になっているもの。

 さてこの第5交響曲は1978年1月の大阪フェスティバルホールにおけるライブ録音である。この時代の大阪フィルの技術、力量は現代にあって決して聴者を満足させるものではない。録音もゴツゴツとしたもので響きや艶に乏しく乾いた感じのするものでブルックナーの奥行きのある立体的な構造美を聴くことは出来ない。

 ただ、晩年の朝比奈にはない切り込んでいくような推進力があってシャープな音楽になっている。その一方で恣意的とも取れるテンポのゆらしがどうもわざとらしく感じられてしまい残念な一面もある。

 若き朝比奈を知るのにはうってつけの演奏である。1970年代という時代にあって決してメジャーな存在でなかったブルックナーに真摯に取り組んでいることに指揮者やオーケストラに何よりもまず敬意を表したい。

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ブルックナー
交響曲 第5番 変ロ長調(1878年版)

ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン)
指揮:オイゲン・ヨッフム
REC:1980(EMI 7243 5 73910 2 3)

 ブルックナー指揮者といえば、チェリビダッケ、朝比奈隆、ギュンター・ヴァントという巨匠がいる。その後にティントナーやスクロヴァチェフスキなどが続くわけだが、その先駆的存在としてオイゲン・ヨッフムの存在を忘れるわけにはいかない。

 ヨッフムは1975〜80年にかけてブルックナーの交響曲全集をEMIに録音している。オーケストラは世に名高いシュターツカペレ・ドレスデンである。

 今日聴いた第5交響曲はこの全集からのものである。

 背筋のピンと張った極めて厳しい演奏である。音楽の折り目が終始きちんとしており鞭打つかのようなピリッとした音楽になっている。それはまるでフリッツ・ライナーやジョージ・セルを思わせるものだ。

 後に続くヴァントやスクロヴァチェフスキの流れの源流ともいえる骨のある演奏である。オーケストラがシュターツカペレ・ドレスデンであることも一因であるだろうが弦楽器の艶やかさには目を(耳を)みはるものがある。

 特に第3楽章のきびきびとした熱っぽい演奏には肝を抜かれる。終楽章の集中力も尋常ではない。ただならぬ気配であり、ぎりぎりまで研ぎ澄まされた緊張感がある。

 この楽曲は大曲だけあって大味になりそうであるが細かな部分に関するこだわりも感じられ細かな楽節を際立たせている点などは非常に感心する。

 ヨッフムがここまでタイトなブルックナーを展開していたとは思いもよらず目から鱗であった。前にライナーの指揮によるものだったかセルの演奏によるものだったか忘れてしまったが、そのときに感じた「明治生まれの爺さんにガツンと怒られて背筋がぴんと張るような感覚」そのものである。

 ちなみに画像は分売されている国内盤のジャケットである。

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