「バイス」をTOHOシネマズ府中にて鑑賞。
チェイニーが副大統領としてイラク攻撃を決断したことは、後に誤った決断だったことがわかります。パウエル国務長官は国連でイラクが大量破壊兵器を保有しているという証拠(?)を示したことを「一生の後悔」としますが、チェイニーは、イラク攻撃の決断に一切の後悔はなく、やるべき仕事をした、とされます。そこがチェイニーという人物であり、VICEたる由縁ということだと思います。
しかし、私がこの作品で一番感じたことは、チェイニー個人の問題よりも、アメリカが混迷し続けていて、いまだにその混迷から抜け出せないということでした。共和党支持者と民主党支持者がつかみ合いの喧嘩を始めると、そのすぐ横で、まったく興味なしといった人が新作映画の話をしている、それが今のアメリカということなのでしょう。
クズ野郎だった若いときに、恋人から叱咤されて奮起し、大統領首席補佐官にまでなるって、すごい人です。その後、家族のために政界を去り、巨大企業のCEOになり、家族と一緒に大自然の中で悠々自適の生活を送る、ってまさにアメリカンドリームそのもので、人がうらやむ人生です。奥さん一筋、家族を第一に考えて、エライ!全然VICEって感じではないです。これでハッピーエンドで終わればよかったのに、ということでした。
自分が「丸め込める」と見込んだ、馬鹿丸出しのブッシュ大統領とその周辺人物たち。どっちもどっちです。ブッシュを大統領にしてしまった(トランプを大統領にしてしまったとも言える)アメリカの、何というか…、巨大国家の難しさなのでしょうか。
モノローグの語り部が、まさかの展開になるのがすごい。えげつないゾンビのようなチェイニー。
俳優陣のそっくり合戦もすごかった。クリスチャン・ベールはアカデミー賞主演男優賞獲るべきだったと思いました。
サム・ロックウェルのブッシュもすごかったし、エイミー・アダムスの奥さんもすごかったし、パウエルもライスもそっくり。そんな中で、個人的に一番すごいと思ったのはスティーブ・カレルのラムズフェルド!あの嫌味な笑顔は脳裏に焼き付いてしまいました。
最初から最後までテンポがよくて、とても興味深く観れました。すばらしい作品でした。
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