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地デジ移行で「廃棄アナログテレビ5000万台」は環境テロだ!
テレビ各局は連日、地デジ移行のキャンペーンCMを流しているが、その陰で、アナログテレビの「不法投棄」が急増している実態はほとんど取り上げることがない。
政府の地デジ転換政策で、国民は新型テレビへの買い換え費用とは別に、不要になったアナログテレビを処分するために1台「2835円」のリサイクル料金を負担しなければならない。
大型のものなら廃棄のための運搬料金を含めると7000円前後の出費となる。
不法投棄は許されることではないが、一方では、国民に負担を強いる政策が、“政府に強制的に買い換えを迫られているのに、そんなカネまで払えない”と、一部のモラルハザードを助長している側面があることは否定できない。
2006年末の段階でアナログテレビは 8580万台あり、アナログ放送が終了する2011年までの5年間に毎年約1000万台ずつ、合計5000万台が家庭などから排出されると予測している(残りはチューナーを取りつけて利用されるケースなど)。
今まさに膨大な「廃棄テレビ」が生まれているのだ。
国内以上に深刻なのが“海外への投棄”である。
中国・浙江省の台州市は、10年ほど前はのどかな田園地帯だったが、現在、世界有数の廃家電の“資源回収基地”として知られている。そこでは、郊外の河川敷などに粗末な小屋がひしめき、お年寄りや子供まで家族総動員で、“現代の錬金術”ともいえる危険な作業ガ行われている。
(略)
政府は、それまで埋め立て処分していた家電廃棄物を減らすために、01年に「家電リサイクル法」を完全施工し、不要になったテレビなど4品目はメーカーが収集して、国内のリサイクル工場などで再商品化する制度をつくった。
そのために、国民は前述のように高いリサイクル料を負担させられている。
それがなぜ、中国に“輸出”されるのか。
日本には全国48カ所に家電のリサイクル施設があり、消費者が料金を支払って量販店などに処分を依頼したテレビは、メーカーが収集してそれらの施設に送られる。そこでは、手作業で製品を解体し、基板、ブラウン管、プラスチックなどに分けられ、部品ごとに特殊な工程で金属資源などを抽出して再利用する。部品には有害物質が含まれているため、作業員は防護服にマスクの重装備だ。
環境省は、ブラウン管テレビの場合、部品の86%が資源として再商品化されていると発表している。
しかし、家電リサイクル法はいわば“努力規定”であり、対象の4品目すべてがリサイクルされるよう義務付けているわけではない。実際に、毎年1000万台排出されるテレビのうち、リサイクル工場に回るのは半分以下の約461万台(07年度)にすぎない。
残りは中古テレビとして輸出されたり、資源回収業者によって集められ、“資源回収用”として海外に売られていると見られているが、流通の実態は環境省も把握していない。
「国際的な資源価格の高騰で、部品に金属が使われている廃家電は、“宝の山”です。消費者から料金をもらって回収した後、メーカーのリサイクルに持ち込むより、輸出業者に持ち込むほうが高く売れる、行き先は大半が中国です」(回収業者)
国民は国内でリサイクルされていると思って料金を払っても、現実はそうして中国などに流れている。
本誌はこれまで、「地デジマフィア」とも呼ぶべき総務省の現役官僚やOBたちが、地デジ転換を推進して国民にテレビを買い替えさせ、放送業界や家電メーカーを通じて天下り団体が巨額のカネを吸い上げている実態を報じてきた。
そうした“マフィア”たちがわざと楽観的な排出台数の予測を示させ、自分たちが生み出している環境問題を封印しようとしたのではないかという疑問さえ浮かぶのだ。
都市政策論が専門の五十嵐敬喜・法政大学法学部教授が指摘する。
「政府は地デジ推進に強引なほど前向きに取り組んでいるが、廃棄物問題などのマイナス面には十分な準備をしないで、頬かむりしているとしか思えない」
廃棄されたテレビの部品でも取扱いが最も厳しいのは、重量の約57%を占めるブラウン管だ。ブラウン管には「鉛ガラス」が使われており、溶かすと有毒ガスが発生するし、砕いて埋めれば鉛成分が流れ出して土壌を汚染する。テレビ1台からざっと1キロの鉛が出る。
日本では鉛ガラスを処理する場合、「労働安全衛生法で毒ガス用のガスマスクと同じレベルの呼吸用保護具と保護衣類を着用させなければならない」(厚生労働省化学物質対策課)という規制があり、埋め立てる際にも、厳しい「管理型」以上の最終処分場でなければならないと定められている。
しかも、再びブラウン管の原料にするくらいしか利用の方法はない。
実際、家電リサイクル法に基づいて処理された鉛ガラスも、全量がインド、マレーシアなどに輸出され、再びブラウン管となる。
しかし一方では、“中古”として中国などに流れて解体されるテレビは、
「ブラウン管の付け根にある銅の部品だけを取り出し、後は埋められたり、野積みされている。壊れたブラウン管から鉛が流れ出して川を汚染したり、基板に使われているハンダを熱した際に発生する鉛の有毒ガスが大気を汚染している」
台州と並ぶ“資源回収基地”という、広東省のある町で子供たちの血液検査を行ったところ、8割が鉛中毒になっていたというデータもある。
環境問題に詳しい武田邦彦・中部大学総合工学研究所教授(資源材料工学)の話。
「廃棄テレビには有毒な鉛ガラスが使われているから、海外に輸出するのはバーゼル条約違反です。日本政府はそれを放置しているのだから、地デジ推進で環境汚染を輸出していると批判されても仕方ないでしょう。まさに“環境テロ”です」
環境省は
「テレビなど廃家電の輸出が行われているかもしれないという話は聞いているが、それを家電リサイクル法で取り締まるのは難しい」(リサイクル推進室)と本気で対策に乗り出す姿勢は見られない。
テレビ局側は今年から各局持ち回りで「地デジ推進強化月間」を設定し、番組中に“地デジ大使”の女子アナが「地デジの準備はお済みでしょうか」とアナログ放送終了をアピールして対策を呼びかけている。ならば、地デジ推進の責任を負う立場として、テレビ買い換えが環境破壊につながらないようにするために、もっと地デジ転換の負の面を伝え、状況下以前を訴えるのが報道機関としての責務ではないのか。
各局の看板キャスターのコメント。
鳥越俊太郎氏
ーーテレビの大量廃棄で環境問題が生じている
「でも、今どきブラウン管テレビなんてあまりないでしょ。それにチューナーをつければ(捨てなくても)対応できる」
ーー5000万台がゴミになるという推計がある。
「ボクは本当にわからないんだよ。取材したことないから、いい加減なことは言えない。大体、デジタル化の中身について、よほどメカが好きな人しか調べないでしょう。国民の多くもわからないんじゃないか」
国民がわからないことを取材して伝えるのが報道の仕事だろう。
古館伊知郎氏
「知デジ放送になってさらに多様な情報を伝えられる可能性の中、より正確で役に立つ番組を作り上げなくてはと身の引き締まる思いです。しかしながら、視聴者の皆様に、過剰な負担がかかることなくサービスが充実していくこと、地上デジタル放送移行へのさまざまな変化に対する広報活動が滞りなく行われることは必要だと考えています」
田原総一朗氏
「ボクは2011年までの地デジ完全移行は無理だと思っている。テレビの普及が間に合わないから、結果的に時期は延びるでしょう。地デジにいろいろ問題があるのは承知しているし、番組で取り上げようと思っているが、もうちょっと切迫してきて、多くの人が考えはじめるタイミングでやったほうがいいと考えている」
みのもんた氏
「地デジ移行の問題については、どうしようもないと思っている。だから取材で特段お話することはない」
小倉智昭氏
「趣味や個人的な話での取材は別だが、政治や社会の話でコメントすると個別の取材が殺到して対応し切れなくなるので、回答は控えさせていただきたい」
村尾信尚氏
「この件には興味を持っておりますが、責任あることを述べるにはもう少し勉強が必要と考えております」
安藤優子・田丸美寿々氏
取材辞退
評論家の室伏哲朗氏は、彼等看板キャスターの姿勢は「庶民の視線」を失っていると警鐘を鳴らす。
「地デジ転換という国の方針の背後には、「週間ポスト」が報じているように官僚の新たなビジネスづくりがあり、その結果、国民は過大な負担を強いられる。環境問題も大きい。報道機関なら、国民に伝えなければならないテーマであり、キャスターはジャーナリストとして当然、問題意識を持っていなければならない。しかし、キャスターの多くが、“よく知らない”というのは、知っているのに国の方針には逆らわないという暗黙の了解が彼らの頭の中にあるからではないか。ジャーナリストとして、困っている庶民の目線ではなく、セレブ目線でしか世の中を見ることができなくなっているのではないかとさえ思えてくる」
週刊ポスト 10/17号より抜粋
〈コメ〉
家のテレビはブラウン管型だが、まだまだ見れる。
買い換えのお金もないし、2011年にはアナログから地デジに完全移行といわれてもねえ。
この記事を読んで、政府、マスコミがいかに都合のいいことをやってるかよおくわかった。
看板キャスターのコメントも、彼らがいつも言っている「庶民の立場にたって」がいかに嘘かわかった。特に鳥越氏のコメントには憤りを覚えた。
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米国では来年09年2月からデジタル放送を始めます。政府は$40の補助金を渡しています。
私のアナログは何の不便もなく使っているのに、何故棄てなければいけないのか疑問ですが、この放送形式転換には、電子業界の共謀があるようですね。
これも、米国発の災難かね?
2008/10/8(水) 午前 3:09 [ johnkim ]
田原氏は遅れると予測しているが、何か情報があるのでしょうか。この中のコメントでは比較的マトモかと。
2008/10/8(水) 午後 5:36