政治塾は「派閥集団」ではないのか
かつて自民党の派閥の領袖は、そのまま次期総理候補であり、本人は元より派閥の幹部、即ち次期大臣候補達は、それなりの緊張感と意欲をもって政治に邁進していた。確かに「金の切れ目が縁の切れ目」という側面は否定出来ないが、それでもやはり人徳無き領袖では、忽ち派閥は崩壊し、党内の再構成が日常的に行われていた。これ即ち「政界再編」であった。
派閥の栄枯盛衰を見れば、それが「単なる金銭的な繋がり」だけで出来上がっていたものではないことがよく分かる。しかし、マスコミはこれを目の敵にした。早朝から行われる「勉強会」すら批判の対象にしていた。やれ民主主義だ、議論を尽くせだと大声を張り上げている癖に、政治家が集まって大いに議論を戦わせようとすると、「朝から派閥の会合があった」「こんな早朝から政治工作に余念がなかった」と批判するのであった。
派閥政治、派閥の弊害、派閥の暗躍、派閥、派閥……
こうして日本語の「派閥」には、徹底的に負のイメージのみが与えられ、迂闊に使えない言葉となった。政治家が政治信条を同じくするもので集まり、党を構成する。中でもそれぞれの信条の温度差によって、小さなまとまりが出来上がる。総理総裁になれる男は、一人しかいない。ならば俺達の代表を総理総裁にしようと皆がまとまって行動した。唯それだけのことを、悪の結社の如く批判してきたマスコミは今……
「民主党には派閥が無い」と大宣伝されてきた。
そう、確かに派閥は無い。
民主党ではこれを「グループ」という。
全く悪徳弁護士そのままの詭弁である。
同じことをしていても、名前さえ異なればそれで許されるのだ。
彼等の発想では法に違反していなければそれでいいのだ。
「法の精神」などという言葉は、彼等の辞書には存在しない。
民主党に弁護士が多く居るのも、この辺りの事情だろう。
派閥という言葉を使わなければ、「そこに派閥は存在しない」。
実に見事な詐欺商法である。
ところで、それほど政治家が集まって、何かを議論するのが許せないのなら、政治家になる遙か以前の候補者達が、「政治塾」なるものに熱狂的に入ろうとするのは、マスコミ人士の目にはどう映るのか。何故これを批判しないのか。何故こうも好意的なのか。
「グループは派閥ではない」ように、「政治塾もまた派閥ではない」のか。では「サークル」はどうだ、「クラス」はどうだ。「ユニット」でもいいではないか。「派閥政治」を無くすのは、こんなにも簡単だったのだ。
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政治家になる前から「派閥に入ることだけ」を考えている連中である。派閥に入ることが、「政治家への道だ」と信じている連中である。こんな胡散臭い話はない。己の信条に従って政治の道を志し、その道すがらに出会った同志達と結集する、という「自然な物語」はここにはない。「ここに入れば政治家になれる」「政治家にして貰える」「与党のメンバーになれる」、そうした賤しい発想だけで集まった人間達に、一体何を期待しようというのか。
彼等には独立の心意気も無く、批判の精神も無い。他者依存のファザコン、マザコンの類が国会議員を目指すというのだ。スーパー派閥依存の「兵隊希望者」が山のように群がっている。本来、政治家は一国一城の主のはずである。一匹狼のはずである。その志を有権者が支援することによって、是々非々の判断が委ねられるのである。
「パナソニック整形塾」しかり、「維新塾」しかり、ブランド名に頼って、自身の将来を他人に決めて貰おうなどという低次元の人間に、どうやって国政が担えるというのだ。自民党の所謂「派閥政治」に弊害無しとはしない。確かに問題も多くある。しかし、それは人間の集団に特有の問題であり、なかなか避けては通れないものである。
ところが、近年の政治塾、政治学校に依存する候補者の「気概の無さ」は、こうした人間社会固有の問題というよりは、既に病の域に達している。彼等は派閥政治家どころの騒ぎではない、もはや「派閥依存症」という名の病気持ちである。
数千人規模で集まったという政治塾志願者の顔を見るがいい。その発言を聞くがいい。それは到底一人の成熟した大人の姿ではない。何処にこの国を任せ、我々の日々の暮らしを任せて足るだけの人間性があるのか。
何が「地方分権」だ、権限移譲だ。
塾長一人への「極端な中央集権集団」ではないか。
何が「道州制」だ、国柄を変えるだ。
国家を云々する前に、個人崇拝を隠そうともしない、
その賤しい根性を変えたらどうだ。
改革など望むのは愚かなことであり、それのみを主張する者は詐欺師である。散々書いてきたことである。しかし、それでもなお「改革」に憧れる人には、もはや掛ける言葉もない。唯一つだけ絶対確実に保証出来るのは、あなたが選んだ政治家では、「あなたが望んだ改革」は絶対に出来ないことである。いや改革以前に、何一つまともなことは出来ないことである。その証拠は……
民主党を見よ!
この一言に尽きている。
転載元
「夕刻の備忘録」
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