地域ブランド戦略 今週の言霊

地域の活性化と 最新のマーケティング手法“ブランディング”を 繋ぐヒント

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「東京ガールズコレクション」に行って来た。ブランドの格立には、受け手がブランドを、初体験する“接点”の品質が大切だ(参照:拙著『地域ブランド戦略ハンドブック』P77,P113など)。その秀逸なコミュニケーション戦略を「sabae」がものにした、その瞬間を生で見たかったのだ。

「sabae」とは、福井県鯖江市のサバエ。地場産業が眼鏡フレーム製造で、国内生産の90%以上のシェアを誇り、世界三大産地とも言われているそうだ。
念のために「東京ガールズコレクション」に触れておくと、国内最大級に成長したファッションイベントで、20歳前後の女の子向けブランドが20数社も集まり、今年の新作を発表する場だ。バイヤーやメディア向けではなく、エンドユーザーを2万人も集める。人気女性タレント(ファッション誌読者カリスマモデル出身などの)が多数、ファッションモデルとなって出演するので、毎年チケットは完売状態だ。ちょっと中傷を挟めば、ファッションショーというより「展示即売会だ」と揶揄される。ショーを見ながら女の子たちは、ファンのタレントと同じ服を着たくて、その場から携帯サイトでオンラインショッピングしてしまう(そういうしくみが巧み用意されている)からだ。

一見、地味な地場産業ときゃぴきゃぴのガールズファッションは結びつきようがないが、考えてみればメガネは重要なファッションアイテムだ。今年、出展者の2社とコボラボレーションに成功して、サングラスなどを製作、メガネの「sabae」として見事「東京ガールズコレクション」の一席を勝ち取ったのだ。
この意義は、すごい。
いままでのように、下請けとしてOEMで納品したのとは訳が違う。対等に「sabae」ネームも表示された商品となって、実際にファッションブランドのサイトでオンライン購入ができる。しかも、イベントのプログラムとしても「sabae」のショータイムが設けられた。鯖江市長まで駆けつけた。
名前も知らなかった鯖江は、この接点で「sabae」に触れた多くの女の子たちから、オシャレなメガネの産地としてイメージされることになるだろう。

薫習房では「かかりつけメール」というサービスを用意している。メールでのやりとり限定ながら、よろず相談いただける“お試し”アドバイザリー契約だ。そこでの、あるご相談。
その中小企業は、工芸品を作っている。その地域に豊富にある原材料を加工するので、有望な地域ブランドになる期待が寄せられている。ただ現状は、お土産品の域を出ない。質が高く希少な工芸品として、ブランドを格立したい。
そこで、補助金事業を使って、着手したくてもできなかったマーケティングを実施しようと考えた。でも企画を支援先と共同で進めて行くと、どうしても売上増の結果を1年で残せる短期的なアクションプランを求められ、悩んでいるというのだ。もちろん初体験の接点が大切だとアドバイスするのだが、結局は、よく東京ビッグサイトで行なわれるような展示会に出展させられ、予算を使わざるを得なかった。

その手の展示会でのコミュニケーションは、確かに専門家筋に正当な情報を伝えられる。しかし成熟した社会という背景を考えると、魅力に欠ける。シンボリックなアウトプットにならないのだ。従来通りの展示会というような接点では、何百もの同類の出展者の中で、埋没してしまう。
その較べ、「東京ガールズコレクション」はどうか。その差は、歴然だろう。
地域のプレーヤーは、ぜひコミュニケーションの考え方をこの一例から何かを学び取ってほしい。



ただ、「sabae」にも大いなる疑問がある。
ブランドの送り手が実に曖昧なのだ。一貫性がなく、したがってものすごく機会損失しているようでもったいない(送り手の問題は拙著で最も強調している点の1つだ。参照:拙著同上P62など)。
実は、福井県のメガネ産業には「291」という統一ブランドがある。企業1社ごとではとても自社ブランドをマネジメントして行く力はないが、協会として全体で取り組もうという願いを込めた地域ブランドだ。東京の青山に、アンテナショップ「GlassGallery 291」を運営している。
眼鏡協会はざっとみたところ、結局は鯖江の事業者が中心だ。眼鏡産業は、福井県の地場産業であるが、その絶対的な重心は鯖江市にある。
「sabae」のほうは、今回の「東京ガールズコレクション」とのコラボレーション企画の中で、鯖江市(役所)が製品開発側の事務局になって進めてきたようだ。
なぜ「sabae」なのか、なぜ「291」ではないのか?

女の子たちは、青山を歩いていて「GlassGallery 291」という眼鏡屋さんを見つけたとしても、「sabae」を連想できない。よほどうまく整理していかないと、せっかくの成果が無駄になってしまう。

薫習房のブランド戦略の流れを新しく掲載しました。

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