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音盤再生家の音楽話
音盤再生と音楽についての話

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壮絶なカルロス

今日はカルロス・クライバーのベートーヴェン、交響曲No,4&No,7を聴いた。
オケは因縁のコンセルトヘボウ。83年のライヴだ。
と言ってもレコードやCDではない。DVDなんである。

イメージ 1因縁の・・・と言ったのは、親父エーリッヒ・クライバーが戦後の一時期、メンゲルベルク親分が活動停止になった為、コンセルトヘボウを振っていたからである。
その為、エーリッヒとコンセルトヘボウの黄金コンビで結構な録音が残っている。
当ブログでベト5とベト7の親子対決を強引にやらかし、一筆置いたところでふと思い出した。
ん?そう言えばカルロス/コンセルトヘボウのベト7あったよな・・・
それで急遽DVDを引っ張り出した訳である。
同じオケであれば完全対決と言える。

そもそも私は親父エーリッヒとメンゲル親分の御蔭でズッポリとコンセルトヘボウ・ファンである。
であるから、どう転んでもこのオケの出すハーモニーや醸し出す音楽を表現すると美辞麗句が並んでしまう。
その辺りは多少割り引いて戴きたい。

4番はカルロス/バイエルン国立の録音が有名である。名演だと大層評判になった一物だ。
確かに、例のムチの如くしなる切れの良い、抜群の推進力はこの4番にも遺憾なく発揮されていて、悪くはない。
だがオケとカルロスがどうも噛み合っていない感じを受けるのだ。あの急速なテンポでかなり細かな要求がなされている為、オケが必死の体で不完全燃焼しているように感じられる。
それがライヴの一発勝負の良さじゃないか、とおっしゃる向きもあろうが、ハマッた時のカルロスの凄さを知っている私が、ハマッて欲しいと感じるのは自然の成り行きである。

で、ハマッた演奏がこのDVDに収録されているベト4。
音楽の勢いはバイエルン盤と変わらない。カルロスと云う人、そんなに色んな事はやらない。やる時ゃ一本槍、と云う感じで己が信念を貫くタイプだ。
オケがそれをどれ位受け止められるかが問題となる。
コンセルトヘボウのハーモニーは誠に麗しい。しかもその麗しさは一本芯が通っているから聴いていて幸せな気分になれる。
このベト4も、例のテンポで貫いているのだが、出て来るハーモニーが一々美しい。この曲は木管が大層活躍するのだが、黒いフルートとオーボエがとろけるように美しくハモりながら、テンポは全く崩れない。デカいファゴットが、このテンポにビクともしないでこなして行くのは圧巻である。
逆に言うと、カルロスがそれを求めているのだ。
私にとってはこのベト4が現時点の最高峰に位置する。

7番も凄い。イヤ7番の方が凄い。
音楽を聴いていて目頭が熱くなったのは何年振りであろう・・・
VPOとは違い、出だしが大きく柔らかい。これはオケの差だ。
序奏から完全にカルロス流の熱いエネルギーに満ちた音楽であるが、主題部に入る前、フルートのソロに入って行くと空気が一変する。美しい。
そしてオーボエが加わり、ハモり出すと、トロけるような甘美な音楽が鳴り響く。
さすがのカルロスも指揮を止めてこの美しいハーモニーに酔っている。
さあ、ムチがしなった。主題部に突入するまさにその時のエネルギーの爆発はどうだ!
ここでいきなり目頭が熱くなってしまったのである。
あとはもう、言いたい事を言い尽くしているカルロスと、それを完全に消化しているオケの熱い音楽が流れる。
こう云うのを至福の時と言うのである。
例の4楽章(前ブログ参照)も完全にカルロス流だ。全く親父に寄っていない。
しかしながら、この一流オケが一糸乱れずカルロスに付いて行く様は壮絶の一語に尽きる。
ここに於いて、カルロスは完全に親父の演奏を超えた。
演奏後、オケのほぼ全員がハンカチを取り出した。全員汗まみれなのだ。
完全燃焼とはこう云う演奏を指すのである。

この演奏、CD化していないのだろうか?
Gさん、ご存知ありませんか?

  • 顔アイコン

    遺憾ながら、このDVDはまだ入手できていません。
    7番の映像はNHKで放映されたバイエルン国立oのもの(これはCD化されているはず)を録画保存していますが、これを見ているとオーケストラ・メンバーがどこか委縮している感じを受けます。
    噂によれば、カルロスのリハーサルは、それはもう峻厳なものだったようですから。

    カルロスに関しては、先日の日経文化欄で「トリスタン」の録音で、どうしても気に入らない歌手の声を操作して自分の好みの声色に変えたという記事を読んで、かなりのショックを受けています。

    コンセルトヘボウとの7番がCD化されたものは、まだ見かけたことがありませんねぇ。
    それよりも、父子のボロディン交響曲第2番をカップリングしたものがあるのを先日通販サイトで見かけました。
    父はNBCso、子はシュトゥットガルト放送soを指揮したものです。
    なかなか考えた企画と感心してますが、入手は、まだまだ先になりうそうです。

    gustav_xxx_2003

    2010/10/9(土) 午前 2:20

  • 顔アイコン

    ムム・・・
    そうですか・・・
    矢張りあのレヴェルの要求をこなすオケはいくつも無でしょうね。

    録音の為の演奏であれば色々な操作は行われて当然です。商品作りですから色々やってると思いますよ。
    ましてやCD時代に入ってからはデジタルデータですから、やりたい放題出来ます。ショックを受けないでください(笑)

    コンセルトヘボウの超絶演奏は余り知られていないのですね・・・
    恐るべき演奏記録です。こう云う名演こそはもっと知られなくてはいけませんねぇ。

    親子対決のCDがあるんですか!
    ベートーヴェンでもでませんかね。ヒット商品になると思うのですが・・・無理か。

    quontz

    2010/10/9(土) 午前 5:37

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