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音盤再生家の音楽話
音盤再生と音楽についての話

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此の度の記事は、yahooブログで永年大変御世話になったgustav師への御礼として捧げる。

ヤフーブログ閉鎖の件で、様々な意見が飛び交って居るが、簡単に引っ越すと云う訳にはいかん。当ブログなんぞはヤフーブログの形式に沿って構成して居るので、同様の形式が通用する「村」に移住出来るか否かが目下の大問題。
このままブログ界を引退するか、或は何処ぞに移住するか、思案中である。
しかし、移住するにしても、ヤフーで蓄積して来た内容をそのまま持って行く気は無い。
過去の記事に関しては、リンク切れも散在する事から、移住すると決した場合でも、過去の内容を精査し、捨てるべきは捨て、残す場合でも内容は改訂しようと考えて居る。



Yositakaさんのブラームス記事に触発されて、今一度大好物のブラ4と好物のブラ3を聴き返し、記事にせんと音盤からの収録を開始したのであるが、捗らぬ事この上無い。
最近は収録時のモニターはスピーカーを止めてaudio-technicaのATH-W2002と云うヘッドフォンを使用して居る。
世の中、様々なスピーカーが存在して居る訳で、当方のPCに繋いで居るONKYOに合わせると、如何にしても小型スピーカーやヘッドフォンで聴く場合、高音がキツ過ぎる。であるから、大型スピーカーに近い聞こえ方がするATH-W2002をモニターで使用して居る訳である。
然し乍ら、ヘッドフォンで何時間も音に集中すると、神経も体力も相当に消耗する。1楽章毎に休憩を取り乍らの作業であるから捗る道理は無い。
捗らん其の二は、ベームの所為である。否、ベームが悪い訳では無い。DG国内盤の音の所為と言うが正しい。
当ブログ記事内で、幾度も言及して居る事だが、DG盤にせよDECCA盤にせよ、国内盤とオリジナル盤とでは全く音の作りが異なる。音楽の基盤となる音質が異なると云う事は、音楽(演奏)の印象も大幅に異なる訳で、特にDG盤なんぞは国内盤とオリジナル盤との余りの差異に仰け反る事が多い。
私は常々、ベーム/VPOのDG盤ヘルマンス録音は人類の宝である、と言って居るのだが、国内盤の出来によっては首を捻らざるを得ない事が多々出来する。捻り過ぎてヘルニアになった事もある。
音盤再生は手を替え品を替えて、否、針を替えイコライジングを替えて、録音技師の目指したイメージに近付けねばならぬ。
だに依って、捗らぬ訳である。

さて、そうこうして居る内、永年欲して居た音盤を入手し、急遽、これに関しての記事を先行させる事にした。
先行とは言うが、yahooでは此れにて最後になるやも知れぬのだが。

件の音盤は、ブラームスの交響曲第4番。シュミット=イッセルシュテット指揮/北ドイツ放送交響楽団(表記は国内盤表記に準ずる)
の米voxオリジナル盤。ヴァン・ゲルダーのマスタリングで、カッティングがフランスと云う、音盤愛好家にとってはこの上無く魅力的な音盤と言える。
懐寒き現下で、オリジナル盤に大枚を叩くとなると大いに逡巡するが、送料込で\1,700也では迷う理屈は無い。煙草4箱分を減らす選択に些かの躊躇いも無かった。

7種の針で聴き比べて、ベストマッチはDENONのDL -103SAであった。矢張りステレオ初期の音盤に関しては丸針が無難に再生出来る。103SAは丸針乍ら抜けが良く、ノイズも適度に低減するので、古い音盤は聴き易い。腰の強さは歴代103固有のものであり、ブラームスを聴く場合には好ましき特徴だ。良く出来た針である。
斯くして今回の収録には103SAを用いて居る。

イメージ 1


私はブラームス4番には最も執着して居るのだが、若き時分に最も繰り返し良く聴いたのは、カラヤン/BPO盤、ケンペ/ミュンヘンPO盤と、このイッセルシュテット/NDR盤である。
その後、ケルテス盤が私にとってのベスト盤になったが、兎に角、上記4種の演奏は幾度聴いても飽きる事が無く、聴く度に感動を新たにする。
イッセルシュテット盤は日コロの名曲ギャラリーから出て居た。
そのレーベルには小さなvoxのマークがあるので、何時かはオリジ盤を聴いてみたいと思って居た。
yositakaさん(fc2に引っ越された)との遣り取りの中で、vox初期盤にはヴァン・ゲルダー(RVG)のマスタリング盤がある、と云う話になり、このブラ4もゲルダーの作品かも知れぬ、と云う期待が湧き上がって来たのである。

ゲルダーのJAZZ録音は、オリジナル盤を確認すると、抜けが良く響きの絡みが美しく、単に誇張された音作りでは無い事が判る。
然し乍ら、日コロ盤は古き良きステレオ録音と云う体で、要するに抜けが悪い。1楽章最後の最強音では音が割れ、到底優秀録音とは言い難い。
60年代初頭と雖も、EMIやDECCAではもっと音場感、色彩感の豊かな録音が存在して居る訳で、この何とも魅力的な演奏を、良き音で聴きたい、と云う欲求が募るばかり。
左右のチャンネルが各々に固まっており、どうにもステレオ感乏しい。各楽器が団子になって居り、奥行きが浅い。
いちゃもんばかり付けるようであるが、この様な音質であっても、その演奏の魅力には抗し難く、此れは燻し銀の様な音質なのだ、と無理矢理納得し乍ら聴いて居たのである。
この日コロ盤は1楽章のみを比較の為に上げて置くので、参考にして戴きたい。

さて、件のvox盤であるが、針を下ろして直ぐに、個々の楽器の音が解きほぐされて居るのが判る。左右、奥行き共に広く展開される。低域も自然で日コロ盤の様な強調感は無い。何より楽器の音が自然で響きが豊かある。
此れであれば「ゲルダーの仕事」と言っても差し支えあるまい。
このvox盤を聴いて居ると、余りに自然な音楽の運びに感嘆し、一点一画を疎かにしない高密度な構成、有無を言わせぬハーモニーの作りに、ひたひたとブラームスを聴く幸福感に包まれるのを感じる。
私は今迄、イッセル親父の73年ライヴ録音がブラ4の決定盤だと信じて来たが、vox盤を熟々聴くに、どうも両者共に甲乙付け難いと思うようになった。否、録音の緻密さと云う点からは寧ろvox盤の方が優って居る。所々でスパイス的に打ち込まれるティンパニなんぞはvox盤の方が効果的で、特に1楽章最後の連打の厳しさは魂が揺さぶられる。
私の所有して居る73年ライヴ盤はPHILIPS盤で、オリジナル盤を聴くと又、評価が変わる可能性はあるのだが、現段階では、恐らく唯一のブラ4の正規録音であるvox盤の方が素直に音楽に乗って行ける感じがする。
と、言うものの、73年盤のアーティキュレーションの巧みさは、巨人の如く屹立して、深い。
最終的には、個人の好みの問題になるのであるが、vox盤のオリジナルマスターが存在して居るのであれば、新たにデジタル化する価値は大いにありと見た。

※何時も述べて居るが、再生にあたり、大型スピーカーを用いる場合、高域が充分に抜けるように調整して戴きたい。
youtube音源は、あくまでヘッドフォン及び小型スピーカー向けに調整して居ります。

シュミット=イッセルシュテット/北ドイツ放送交響楽団/61年頃録音/米vox盤LP
1楽章のテンポは73年盤より心持ち速く感ずるが、虚飾を排した厳しさ、確固たる造形は、緻密な録音と相俟って自然に音楽に引き込まれる。寧ろキリリと引き締まった減り張りが北ドイツ風味で好ましい。イッセル親父の気力が充実し、眼光が背腹まで行き届いて居るのである。終結部は一段ギアが入り、「ウン」と気迫に満ちた煽りは、血圧が上昇する事この上無い。73年盤の玄妙な表現と比較するのも面白い。
2楽章の出だしのホルンからして横溢した生命力を感ずる。相対する木管もキリリと引き締まり音楽そのものに語らせる。弦も強調するで無く引き締まっては居るが、所々で絶妙なビブラートを掛けて聴き手の心を揺さぶる。実に模範的な表現である。73年盤の柔らかく包み込む様な表現と比較すると、一聴するにアッサリした感じを受けるのは、実は迷いの無い自信から来る正攻法だからである。聴きたい所が聴ける、痒い所に手が届いた演奏なのだ。
3楽章も早目のテンポで迷いが無い。ホルンの力加減が絶妙である。こう云う音楽になると俄然ゲルダーの表現が力を発揮する。左右の弦の掛け合いなんぞは、成る程これはゲルダーだな、と思わず納得する。イッセル親父の表現とすれば、73年の溜めの効いた表現の方が良く練れて居ると思うが、スタジオ録音のvox盤の方が細部の描写が効いて居て色彩的である。
さてクライマックスの4楽章であるが、堂々とした呼吸の深い73年盤に対してvox盤はキリリと力感に溢れて居る。あくまで73年盤との比較だが、イッセル親父の気持ちが昂り、力が入って居るのが判るが、音楽としては小振りだ。しかし後半の盛り上がりは録音効果も相俟って実に見事である。ティンパニがピリリと効いて、聴いて居て気持ちが良い。最後は呆気ない程の幕切れで、物足りなさを感ずるが、気合いの流れであるから致し方無い。
4楽章に関しては73年盤の巨大な造形と彫りの深さに軍配が上るが、細部の彫琢を愉しむのであればvox盤だ。
しかし何れにせよ永年の溜飲が下がるに足る名盤である。広くお薦めしたい。






シュミット=イッセルシュテット/北ドイツ放送交響楽団/73年演奏会録音/PHILIPS国内盤LP
この盤の収録にはgraceF9カートリッジにUS14ルビーをセットしたものを使用して居る。広帯域で高音が滑らかに再生出来る。






シュミット=イッセルシュテット/北ドイツ放送交響楽団/61年頃録音/日本コロムビア盤LP(第1楽章)
この盤の収録には、上述したようにDENONの103SAを使用して居る。その他設定はvox盤と統一して居るので、音質を比較して戴きたい。




  • 顔アイコン

    待望の米Vox盤を入手されたquontzさんの歓喜が伝わって来る記事ですね。私はイッセルシュテットのブラームスは未聴でしたので、このような音で聴けたのは幸運でした。こういう発見があるから、同演異盤につい手が出てしまうのです。もちろん、懐具合と相談の上ですが。さてイッセルシュテットのブラ4、さっぱりとした進行の中に、彼らしい、見通しの良い構築美が聴かれ、まさしく「痒い所に手が届いた」演奏と感じます。
    比べて国内盤は音が前に出てこないため、演奏の美点がやや伝わりにくくなっています。マスタリングより使用テープ自体がよいダビングではないのでは、と感じました。
    引越し後のご活躍も期待しています。

    [ yositaka ]

    2019/8/27(火) 午前 11:15

  • > yositakaさん
    早速のコメント有難う御座います。
    今回は時間との戦いで、大変疲れました。最近は神経を尖らせて聴くと云う行為自体が、多大な疲労を伴い、以前のように何時間も比較試聴する事が困難な有り様です。
    後どれ位生きられるか分かりませぬが、昔に馴染んだ名演が、より良き音質で聴けるなら聴いて置きたいものだと思って居ります。

    ブラ4マニアの私としましては、イッセル親父のブラ4は、隅々まで配慮の行き届いた名演だと感じます。
    聴けば聴く程味わいが深く、飽きが来ません。

    quontz

    2019/8/27(火) 午後 0:42

  • 顔アイコン

    quontzさん、
    久しくヤフー・ブログから遠ざかっておりましたが、音源をアップされたことをYoutubeからの通知で気づき、拝読させていただきました。
    私がイッセルシュテット/NDRsoのブラームスをCDの全集で聞いたのは、自分のブログを検索してみると2011年、もう8年も前になります。
    執念でオリジナル盤を入手された、その気力・体力の持続には、素直に羨ましさを感じてしまいます。

    また、冒頭に過分のお言葉をいただいたこと、誠にありがたく感じております。
    少しはまともな音質で聞けるPCになりましたので、体力に合わせてゆっくり、じっくりと聞かせていただきます。

    ブログの移行、多くの記事を捨て去るには惜しいし、さりとて…と、私もまだ迷いながらそのままにしております。

    gustav_xxx_2003

    2019/8/27(火) 午後 2:46

  • > gustavさん
    御無沙汰申し上げて居ります。
    当ブログでは長きに亘り大変御世話になり、深甚の感謝を申し上げます。
    まだまだ御教え戴きたき事多く、
    出来得れば、師の広大無辺の智識、見識を埋れさせる事無きよう希望して止みません。
    無理をせず御緩りと音楽を楽しんで下さい。

    quontz

    2019/8/27(火) 午後 3:21

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