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世の中にはマニアと称する種族がいて、何事にもよらず、他人様から見ると近寄り難いオーラを発しながら、一つ事に執心している。
と、かく言う私も、他人様から見ると随分とオドロオドロしく見えるに相違ない。 ブラームスであるとかブルックナー、シューマンなんぞは、恐らくマニアの類に足を踏み入れているのではないかと自覚するものがある。 これは自慢にも何もならない。マニア道を歩むと、およそ常人とは交わらず、孤独な一本道を歩んでいると云う事なのである。 それで、どうも同好の志を見付けて、相交わろうとするのであるが、これがまた危険を孕んでいるものなのである。 何せマニア同士である。これは譲れないと云う信念やら執念やらが凝りに凝り固まっているのであるから、一度ぶつかり合うと、もうガチンコである。 最近は大相撲では八百長がイカンとか何とかで騒いでいるが、マニア同士も多少は八百長と云うか、手加減は必要であろう。楽しかるべき趣味娯楽の世界でガチンコしたところで褒められるものではない。 もう随分と前の話であるが、マーラーマニアとガチンコした事がある。これは全く良い思い出ではない。非常に苦く、詰まらない思い出である。
私はマーラーにはそれ程執着はない。自分の好きな演奏は飽きずに何度でも聴いてはいるが、決してマニアではないと思っている。その私とガチンコするのであるから困りものである。 政治問題であるとか人種問題、宗教問題を音楽に持ち込むのは愚の骨頂であるが、マーラーと云うのは、どうもその危ない一線に近いところに存在している。 私はこう云う苦い体験以来、音楽を聴く場合は、その音楽の成立の背景であるとか、その他の要因は排除して聴くように心掛けている。 ベートーヴェンを聴く上で、難聴である事の葛藤を見出す必要はない。シューマンを聴くのに、精神疾患が音楽に与える影響なんぞを噛み砕く必要も無い。 音楽が偉大なのは、言葉や説明を必要としない所にあると思っている。 どうもマーラーマニアとガチンコの一件以来、マーラーを聴く事に慎重になっている。 5番は好きなんです。
出だしが好きですね。無の空間にパパパパーン、パパパパーンとトランペットが鳴り出す。この暗さがゾクゾクとそそります。 ショスタコの5番もそうです。タター・タター・タター・タター、とドンヨリ暗い。これが何とも言えず好きなんである。 ついでにチャイコ6番とかシューマン2番、ブル8、ブラ4なんかも出だしで参ってしまうのは私だけだろうか? ジットリと始まって、いつ弾けるんだろう、と云う期待感。弾けた時の爽快感が私の中のポイントである。 マーラー5もそう云う私の好みを突いて来る曲である。 私が思うに、日本人のマーラーは概して明快過ぎて、面白みが無い。各パート、各フレーズ、きちっとやっているんですよ〜的な感じで高揚感が足りないんじゃないかね・・・
小澤さんのマーラーもちゃんとやってるんだけど何か物足りない。 小澤征爾/ボストンSO、90年ライヴ 佐渡はレニーの弟子だから、小澤さんよりはちょっと期待してみた訳だ。
でも・・・似たようなもんだ。部分部分は悪くないにしても、音の混ぜ方がどうかと思う。曲の起伏感は小澤さんよりイイ感じであるが、ハーモニーとなるといただけない。一流オケだったらもっと聴かせられそうな気配はしますな。 佐渡裕/シュトゥットガルト放響、01年ライヴ BPOのマーラーは、余り選択肢がないのだが、ハイティンク盤は気持ち良く聴ける。何より音が綺麗だ。歌心があるんだね。
やっぱりマーラーを聴く場合、オケの力は絶対的に左右する。この曲のスコアはちゃんと各パートに活躍の場面を与えているんで、BPOのようにどのパートも名人技を持っていると気持ち良いですな。音がスーッと抜けて行きます。 私的にはもっとドーンと弾けてくれると有難い。 ハイティンク/BPO、88年 するとやはりシャイーがイイ感じで弾けてくれる。当然コンセルトヘボウはいつでも素晴らしい。どこでどう鳴っても上手いし美しい。特に木管はBPOやVPOより美しいと思っている。それにこのハーモニーの混ざり具合。こうでなくてはシックリ来ない。
この演奏、相当良いと思うのですが・・・どうでしょう?gustavさん。 シャイー/コンセルトヘボウO、97年 ブーレーズってどうよ、と思うものの、VPOの演奏は聴いておかなきゃならん。
ん?何でこんなにカチカチなんだ?何でこんなにバラバラに聴こえるんだろう。 このオッサン、いまいちマーラーに向いていないような気がする。何か盛り上がらないんだよなぁ・・・ ブーレーズ/VPO、97年 同じVPOでもレニーは全然違う。ちゃんとハモって聴こえるし、音楽に血が通っているわ。ちぃと引き摺る所はあるけど、弾ける所は弾けているし、響きの奥が深いのは見事だ。最後はちょっと大人しい。レニーだともっと弾けて欲しいと思う。
バーンスタイン/VPO、87年 誰も余り話題にしないのだが、ドホナーニのこの演奏は私は好きである。オケは若干雑な感じがするが、まあ頑張っている方だ。
音楽的には非常に良くこなれているように思う。音響的にも聴き応え充分。打楽器のパワーが凄い。スピーカーユニットが可哀想なくらいの瞬間パワーで音が壁を貫く。いい気になって鳴らしマクッていたら、隣家からピンポン攻撃を受けてしまった。 でもこう云う演奏は爽快感満点だ。 ドホナーニ/クリーヴランドO、88年 本当は、私が一番好きなのはマゼール/VPOなんだが・・・何故かこれだけは完全にブロックに逢ってしまった。
この物凄い音響を聴いて貰えないのはすこぶる残念であるが、VPOと云うのはこうして鳴らすんだよ的な隙の無いハーモニーが良い。 音楽の流れも、情緒感も、弾け方もマゼールはツラッとして凄い事をやる。 マゼール/VPO、82年 |

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