一応告知です。
今年のSAKURAブレードショーにも委託出展で二本ほどナイフを出させていただきます。

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一本目。
パーソナルネーム”緑神”
鋼材・素材は2本目とほぼ共通なので省略します。
こちらは三角断面となっています。
カッティングエッジはついていないので、コントロールデバイスとして扱ってください。

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二本目。
パーソナルネーム”灼”(読み方わかるかな…?)
こちらは七面で構成されたフラット/コンベックス複合グラインドの非対称ダブルエッジです。申し訳ないのですがこれは出展のみの非売品です。

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両方とも鍛造品で、裏は槌目仕様になっています。

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ブレード材には、個人で加工法を研究した現代ウーツ鋼の”鍛造ジンザナイト鋼”を使用しています。
写真では見づらいですが、ブレード表面にはパターンが出ています。ハンドルはCFRPを使用。

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なお、本来のウーツ鋼が積層構造ではないのと同様わたしのナイフも積層鋼ではありません。
また現代ウーツ鋼は模様の出る理屈が古来のウーツ鋼とは明確に異なります。

誤解のないようにですが、最新の素材に古来の技術を再現する、というのが目的ではありません。
使用している素材も冶金学・鍛造/熱処理理論も最新のものです。


なお、現在引っ越しや就職の関係で少々ナイフ製作の方は滞っております…申し訳ございません…。

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しれっときいてますか収容違反を引き起こしていくスタイル。ねこはいます。よろしくお願いします。

90%完成

前回アップしたナイフ、刃付けとシース以外完成しました。
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モデル名は仮称「Fimbulvinter」。神話の世界で終末の前兆である、フィンブルの冬が元ネタです。
鋼材は鍛造CoS、ハンドルはCFRP & 純銅パイプ。改良型鍛造&熱処理のプロトモデルです。
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特殊グラインドの三角断面ダブルエッジですが、裏から見ると普通のスピアポイントです。
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ブレードにはよーく見ると墨流しのような模様が出ています。これはメタルフローライン(鍛流線)です。
研磨でここまではっきり見えたのは初めてです。そして「ウーツ鋼を再現しました!!」といえば熱処理や鍛造に疎い削り出し信者くらいなら騙せそうな気が…。
肉眼では余裕で見えるのですが、カメラではこれが限界でした…。
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わたしのよくやるハンドルパターン、平面が3つ現れるので勝手に「Three Surface Pattern」と呼んでます。戦闘機のアレですね。
CFRPの持ち味を生かせるので相性抜群…だと思います…。
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どんな持ち方にも対応したハンドルですが、やはり剣呑なグリップがしっくりきます。
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重量はナイフ本体で105g。
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フォルダーに対抗する携帯性…はある程度達成できそうですが、もう少し軽量化してもよかったかもしれません。
あとは長時間の携行でも苦にならないシースの作成です。


なんだか壊すのは勿体無いので、改めて研究用にCoSの端材ナイフを準備中です。複炭化物の動きを見たかったので、鍛造のみでエッジ部分は4mmの鋼材を1mm以下まで薄くしています。普通にここまで薄く鍛造しようとするとCoSは割れます。鍛造の仕方を工夫したのですが、かなり疲れるので小さな端材以外ではあまりやりたくないですね…。
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フィッティングする気0の適当グラインドですが、ちゃんと作れば端材シリーズとして放出できるかも?


思ってたより高級な感じになったので、シースはセンスが問われますね…。
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Model : Fimbulvinter
blade : Forfed CoS
Handle : CFRP & Copper Three Surface Pattern
Length : blade 3.5 Inch, Overall 8 Inch
Weight : 105g
今回の記事の前半は文章中心、後半は写真多めになります。
わりと面白いナイフになっていると思うので、興味ある方は前半を読み飛ばして頂いて構いません。


先日須坂のメーカーさんのところで勉強させて頂いた、炭素鋼の熱処理の新理論(というかいままで誤解されたまま広まってしまっていた手法へのカウンター)について簡単に書きましたが(ちゃんとしたレポートは製作中です)、実際にはそれだけでなく特殊鋼やステンレスについてもいろいろ考察していました。
炭素鋼の方は広く使用されている鋼材ですし公開しますが、特殊鋼についてはまだ決定打的な手法が完全ではない事と、CoSや独自熱処理はわたしのアイデンティティのようなものなのでしばらく一般公開はしません。
今ある技術を凌ぐ物ができたら公開するかもしれません。


で、須坂のメーカーさんの工房を伺った際に現在のCoS熱処理のプロトタイプとなる鍛造&熱処理を行った、一番最初のナイフの組織を観察させてもらいました(というかSAKURA blade showで2本とも売れてしまったのでわたしの手元にあるCoS製ナイフはこの1本だけです)。
結論からいうと、「まずまず、そこそこ、悪くはない」といったところです。

成功点
・組織の微細化
・炭化物の球状化
・鍛流線の形成
・ある程度の複複炭化物の微細化

改善点
・素材由来の複炭化物でわたしの想定していたレベルより大きい物がちらほら存在していた(やはり削り出しと鍛造ではだいぶ性能の変わる素材だと思います)。


CoS以外の鋼材サンプル(日立ATS-34、日立ZDP-189、武生VG-10、アッサブK-990)も同時に見させていただきましたが、やはりステンレス中の炭化物は扱いが非常に難しいです。
もしステンの炭化物を鍛造炭素鋼並(上のサンプル中だとK-990、〜0.2マイクロメートル)に細かくする技術を開発したらそれこそノーベル賞ものです。

ただし特殊鋼では炭化物はとにかくひたすら小さくすればよい、という物ではありません。純炭素鋼的切れ味・靭性(和剃刀など)を求めるならできるだけ組織を微細に、ひいては微細炭化物の一様な析出を目指す必要があります。しかし特殊鋼では、例えばダイス鋼などを思い浮かべて頂ければよいと思いますが、ある程度大きな球状化炭化物を均一に析出させることで工具的な靭性と耐摩耗性を発揮させる事ができます。
析出する炭化物の総重量は一定であり、微細にすればするほど全体に均一に析出しますが、耐摩耗性は低下します。また鋭角刃物向きになりますが、工具性は失われます。逆に複炭化物が大きくなれば析出数は少なくなりますが、耐摩耗性は保障されます。そして鈍角刃の工具性が発揮されます。
どこでバランスを取るかが重要ですが、市販のCoS(のみならずVG-10や刃物用ステンレス)はわたしの要求する性能より複炭化物が大きいです。




等々、書き始めるときりがないのでここでやめますが、そのような設計思想のもと鍛造や熱処理を行っています。
で、先日の観察結果から熱処理レシピに改良を加えました。
また、3.5Inchブレードのフィクストのポテンシャルを見たかったので、合理化設計(戦闘妖精雪風の新型シルフィードと同じで、最高のという意味ではありません。性能と生産性を両立するための合理化です)のナイフを新たに試作しはじめました。
軽量化・重心位置の調整・フォルダーに対抗し得る携行性・靭性&耐摩耗性等々要素をかなり詰め込んだ上で、新規手法の鍛造&熱処理を施し、かつ生産性を上げるためのプロトタイプモデルです。

鋼材は当然ながらCoS
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※オーダー品ですが、熱処理の検証とブレード研削し直しがあるので気長にお待ちください…orz




元にしたデザインはコントロールデバイスツールです。完全新規設計でもよかったのですが、フォルダーに対抗する携行性を有した3.5Inchのデザイン原案として割と理想的な形状だったので。
鍛造し、ブランクを削り出します。
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そして、グラインドですが、熟慮した上で三角断面の非対称ダブルエッジにしました。
フェアバーン・サイクスに代表される三角断面ダガーを進化させ、日本の銃刀法下で合法な上で、刺突性・切断性・軽量化を実現させるのが目的です。
ダブルエッジとはいえ、バックエッジ側は先端30mmくらいまでしか刃を付けませんが。
※何度も書いていますが、一応。このブレードのポイントはハンドル軸線の延長上に来ておらず、全体及びブレード形状は左右非対称なのでダブルエジでも合法です。
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三角断面なので裏はフラットです。鍛造品なのであえて鎚目を残してあります。
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ぱっと見だとグラインドパターンがよく分からないかと思いますが、ポイント部分は三角断面ダガーのようにチゼルダブルエッジになっています。そして切っ先から20mmくらいのところからベベルエンドまで、セイバーラインを落とすようにブレード中心軸周りをフラットに、エッジ付近はポイントからの延長でチゼルグラインドに落としています。
合理化に生産性向上…?   いや、ちゃんと合理化設計ですから…ダブルエッジにするのもちゃんと意味があります(´◉◞౪◟◉)
なので横から見ると独特なシルエットになります。
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実物が今手元にないのでなんとか写真で伝えたいのですが、わかりやすいショットがありませんでした…。切っ先〜フラットに落とされる部分が最も厚みがあり、一度薄くなってからベベル付近でまた厚みが回復する、というグラインドです。
三角断面な時点でやる気満々ですが、このフラットに落とした部分は軽量化だけでなく刺突時の抵抗減少と出血を促すブラッドグルーブ(血抜き溝)をさらに効果的にする狙いもあります。
やる気満々な構成です(何のやる気とは言いませんが、ナニのやる気ですよっと)。
※実際にはツール性も重視したデザインですし、検証のためにハードユースするのであしからず。


そしてこのグラインドパターン、横からのシルエットがとあるものに雰囲気が似ています。
そう、我らが祖国USSR革命精神を受け継いだ、赤色海軍初の弩級戦艦Oktyabrskaya Revolutsiyaの甲板形状に!
なのでモデル名は「十月革命」にしようと思ったんですがKGBにシベリアへ転勤させられるかもしれないのでやめました。赤い十月(かの有名なレッドオクトーバー。赤いタコではない。)でも良いんですが。今のところモデル名は決めてません。プロトモデルですし。
あ、ちなみにこの十月というのは当時ロシアで使われていたユリウス暦での十月なので、グレゴリオ暦に直すと十一月になるそうです。



さて。
改良した新レシピの熱処理を行います。
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炉の内部構造を変えたので温度コントロール性が向上しました。


グラインドパターンが特殊なので焼き反りが心配だったのですが、魔法の冷却触媒により反りや曲がりを出さずに無事熱処理完了しました。
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あ、この写真横からの構造が見やすいですね。



2本のうち1本は当初の設計通りフォージドコントロールデバイスになってもらうことにしたので、重量比較ができます。
コントロールデバイス(あまり薄くしていませんが、普通のグラインド+αの重量)
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対して特殊三角断面グラインド
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グラインドによる軽量化が結構効いてると思います。
タングの肉抜きでさらに軽量化を図ることも可能ですが、重心バランスを考えて今回は肉抜きしません。



元のデザインがデザインだけに、順手より逆手の方がしっくりきます。
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軽量化を生かすため、ハンドルにはCFRPを採用します。
CFRPの難点は入手しずらい事と粉塵問題ですね…。G10より燃えやすいですが、好きな素材です。
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表面処理をどうするかは悩み中ですが、なるべく早く完成させたいですね。

…というのが日曜日の話。
ぼく「表面処理どうしようかな…面倒だな…」
先輩「なんなら会社のバフで磨いてこようか?」
ぼく「まじすかお願いします」
〜翌日〜
先輩「でけたよ」
ぼく「はやっ」

というわけでハンドル成形直前までできました。医療器具と同じ仕上げです。ミニコラボ的な…。
完成したら改めてアップします。

熱処理完了の時点で以前より耐摩耗性も上がっていた(恐らく複炭化物の微細化と析出が効いてます)ので、わりと成功でしょうか。また顕微鏡で観察しますが。
今年も岐阜県関市の刃物祭りに行ってきました。
前日に関市に入り朝少し早く起きて、「モネの池」と呼ばれる貯水池を観光しました。
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神社の一角にあり、無名の池だそうですが、確かに「睡蓮」のような雰囲気で綺麗でした。もし関市に寄ることがあれば是非。



さて。

今年はSAKURA Blade Showへ出展させて頂いたこともあり、様々なメーカーさんのところに挨拶してきました。そのため情報収集という側面が強くなりました。

まず、恒例の須坂の大先生のところへ。今年は与板の鍛冶屋さんも来ており、いろいろお話させて頂きました。
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刀匠の方らしく鋼が巻いてあり、良い雰囲気です。


で、毎年冶金学について少し講義して頂いているのですが、今年はいきなり重要な情報を聞きました。

ほとんど知られていないやばい鋼材を見つけてきたならともかく、白紙・青紙などの安来鋼を始めとした炭素鋼の熱処理にかなり重要な話で、多くの人に影響しそうなので後ほどここで概要を公開します。



とりあえず刃物祭りを。なんとなくナイフ博物館も見学しました。
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ブレードショーの方にも。こちらでメーカーの方々に挨拶したり、戦利品の調達などをしました。
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SAKURA Blade Show主催者のNEMOTO KNIVES様や、以前からお世話になっているメーカーの小嶋様とお話できました。またよろしくお願い致します。



そして帰り道に関市にお住まいで知り合いの鍛冶屋さんのところで鍛造して帰ってきました(笑)
大変お世話になりました。
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また、帰ったあとも同じく刃物祭りに来られていた知り合いのコレクターの方のところで新潟ブレードショー()を開いたり
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日程が被っていた燕三条工場の祭典に来られていたあひる製作所様と夕飯をご一緒させて頂きました。
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今までの中で最も密度の濃い三連休でした。皆さん是非またお会いできればと思います。



今年の戦利品です。
以前お願いしていたCFRPを受け取りました。
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CoS鋼材も少し調達。少し利用者が増えてきたみたいなので、またマイナーな鋼材探しが始まります(笑)
とはいえ熱処理に関しては独自のものなのでまだまだ主力鋼材です。
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今回買った唯一のナイフ。
NEMOTO KNIVES様のテーブルより購入させて頂きました。
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少し古いモデルだと思うのですが、モダナイズされた短刀、というよりも鎧通しのような設計です。ブラッドグルーブも大好物です。

面白いのがグラインド。片切刃造のようになっており、右面がセイバーグラインド、左面がフラットグラインドになっています。
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この構造だと、力学的な作用により右からの袈裟斬りや左からの逆手斬りつけなどで威力を発揮します。
ベベルの緩やか立ち上がりやシースの作りもハイレベルです。ハイエンドモデルもいずれ購入したいです…。





さて、先述の冶金学に戻ります。

まず要点ですが、
・安来鋼(白、青)は従来のメーカー推奨熱処理では最高性能を発揮できない可能性が高い
・同様にほぼ定着している「炭素鋼の焼入れは800℃説」もよくない


これ、かなり重要な話だと思います。数十年単位で行われてきた熱処理が、突き詰めると間違ってた事になりますから。

「今までの熱処理でも問題なく性能が出てた」という話もありますが、これが炭素鋼のちょっと怖い所で、炭素鋼は焼入れ可能温度の幅がかなり広いです。なのである程度適当にやってしまってもそれなりの性能になります。今回の情報について今までほとんど誰も話題にしなかった原因もここにありそうです。
ステンや特殊鋼は少しでもおかしなことをすれば必ず問題が出るのですぐ気づくのですが。



少しだけ理論を説明しようと思います。
まず重要な事として、
・炭素鋼はカーボン量が0.77質量%を境に亜共析鋼と過共析鋼に分かれる
という事を覚えていてください。
鋼が焼入れできるのは、鉄の結晶の隙間に炭素原子が入り込んで歯茎のように支えるからですが、炭素鋼では炭素原子が飽和する量(結晶の隙間に入り込める最大量)が0.77%です。
亜共析鋼はカーボン量が0.77%以下なので理論上鋼材中の炭素原子全てがマルテンサイト変態の時結晶中に入り込みます。
過共析鋼では0.77%までは結晶中に入り、溢れた分の炭素原子はセメンタイトという形で析出します。


亜共析鋼については、従来通り800℃熱処理説でもあまり問題はありません。
が、過共析鋼でそれはまずいのでは?というのが今回の中核です。


ここで安来鋼についてですが、これらの鋼材は日本刀に使われている玉鋼の系譜として開発されています。開発自体は戦前です。
そしてメーカーでも玉鋼と同じような熱処理を想定していたようです。昔からの鍛冶屋さんもそのつもりで熱処理していたでしょうし。
それが何十年も続いています。



問題はこの「玉鋼の系譜」という部分です。
玉鋼のカーボン量はかなり低く、0.5%〜0.6%あたりが標準的です。つまり亜共析鋼です。
対して安来鋼は、種類に寄りますが白/青2号で1.0%、1号に至っては1.4%とかなりカーボン量の多い過共析鋼です。


亜共析鋼は750〜800℃からの焼入れでも問題はありません。焼入れ保持温度の時点で全ての固溶可能な炭素原子がほぼ均等にオーステナイト相中に入り込んでいるので。

しかし過共析鋼の場合、800℃から急冷すると0.77%を超えて余っている分の炭素原子がセメンタイトの不均一な析出(セメンタイトネット)を引き起こします。
なぜなら、鋼のA1変態点(鉄がフェライト相からオーステナイト相に状態変化する温度)は728℃ですが、800℃というのはここから70℃も温度差があるからです。析出を伴う物理現象は、その析出が起こる点(温度)までの変化がゆっくりであれば均等に析出しますが、温度変化が急激だと不均一になります。塩の析出等をイメージすれば分かりやすいのではないでしょうか。
不均一な析出は強度的弱点や腐食のきっかけとなったりするので、なるべく均一化、即ちθセメンタイト(結晶粒界セメンタイト)にするべきです。
そのためにはオーステナイト相で一度温度をAcm線まで上げて鋼材中の炭素原子を均一にし、急冷=焼入れする前にセメンタイトネットの不均一な析出を防ぐためにA1変態点付近まで温度を除冷してやる必要があります。

安来鋼にメーカー推奨、あるいは伝統的な玉鋼の熱処理(800℃からの急冷)を適応してしまうと、セメンタイトネットが析出してしまうので強度的な面で不利になる可能性が高いです。


この理論自体はまだ新しく書かれたばかりで実証データがまだのようですが、言われて見ればぐうの音も出ないほどの正論です。というか自分でも疑問に思うべき内容でした。特殊鋼に逃げたとはいえ、反省しなければ…。
というか気付いていた人は気付いてたのでしょうが、なぜ何十年にも渡り誰も話題にしなかったのか…。

というわけで、安来鋼や特殊元素少なめでC 0.77%以上の炭素鋼は以下のような熱処理がよいのでは?と考えられます。

(・まず準備として850〜900℃で保持→A1変態点まで徐冷し消鈍=θセメンタイト化)
 ↓
・800〜900℃(この温度は厳密にはAcm線という、過共析鋼でも全ての炭素原子が一時的にオーステナイト中に溶け込む温度で、カーボン量に依存します)で10秒保持
※この際Acm線までの加熱は、コークス炉や強力なガスバーナーなどを使いなるべく短時間で行うこと。電気炉等加熱に時間がかかり、結晶粗大化の恐れがある鋼材は、上記消鈍を完全に行うことでAcm線まで加熱せずとも800℃付近までの加熱でθセメンタイト化が保障される
 ↓
・A1変態点付近(ギリギリを攻めるのはよくないので740℃くらい)まで30℃/s以下で徐冷、10秒保持
 ↓
・140℃/s以上で60℃以下になるまで急冷(焼入れ)
 ↓
・220℃3分保持でテンパリング2回


硬度は変わらないでしょうが、顕微鏡レベルで見れば靭性などに影響が出て来るのでは、と思います。


余談(追記:2016/10/23)
※この記事中の話はレポート化する予定です。
ここまでの話はAr1変態点より温度差のある地点からの冷却によるセメンタイトネットの析出関係の話ですが、これとは別に過共析鋼でセメンタイトネットを析出させてしまう伝統的な熱処理方法があります。
いわゆる「焼き分け」「部分焼き入れ」「刃紋」と言われる類のものです。

炭素鋼は冷却速度140℃/s以上で完全マルテンサイト変態を起こしますが、冷却速度が30℃/s〜140℃/sの間だと
140℃/s以下で高速側:焼き入れトルースタイト組織
140℃/s以下の低速側:焼き入れソルバイト組織
がそれぞれ得られます(100年前の論文から進歩してない人はトルースタイト組織を知りません)。

で、問題なのは焼き入れトルースタイト組織です。詳細は省きますが(今まとめてるところなので)、過共析鋼でこの組織が発生するような冷却速度の焼き入れを行うと、回避不能なセメンタイトネットの析出が起こります。
玉鋼や亜共析鋼では炭素が全て組織中に固溶しているため刃紋を出したり部分焼き入れという手法が使えました。しかし過共析鋼では強度的弱点を自ら作り出す行為に他ならないので、誤った熱処理手法であると言えます。


追記:安来鋼で話を進めていましたが、この熱処理方法の修正はかなりのJIS材にも当てはまります。
ただ実験データがあまり揃っていないようなので、気力のある方は是非。

10/16追記2:保持時間を大幅に修正しました。炭素鋼の拡散速度の速さをなめてました…

思ったことを書くだけ

なんとなく思った事を書き散らすだけです。
わたしの意見なんて無意味なものなので落書き程度な物ですが。

某SNSで、とある関市の刃物メーカー(G・ナントカ)がこんなアンケートを取っていました。

(要約)
【狩りガール、ナイフガールは増えている?】女性に質問!最近刀剣ブームで刀剣女子が増えていますがナイフに興味がありますか?

・・・。

女性がどうこうとか性差別とかそういうつもりはありません。
刀剣女子は某ゲームが発端でしょうが、それ以外でも刃物に興味があったり、既に使いこなしてる女性はいるでしょう。それは問題ではないです。


しかし「狩りガール」「ナイフガール」という呼び方は適切なのでしょうか?大いに疑問があります。


まず「〜ガール」という言い方自体がある意味女性蔑視にあたるのでは?と思うんですが。少なくとももしわたしが「ナイフボーイ」だの「天文学ボーイ」とか言われたら、相手の意図がどうであれその呼称はやめてくれ、と思います。理系男子という呼び方ですら嫌です。そんな媚びた呼称しなければ魅力を伝えられないような人間ではないので。
そんな呼称を喜んで享受するような人たちの事は…正直知りません。

また狩猟(銃)にしろナイフにしろ、やり方・使い方を誤れば自分あるいは他人に大きな危害を加える可能性があるものです。特にナイフは入手自体は比較的容易であり、対して求められる責任は大きなものです。
ナイフを手にする、その時点でいくらでも殺傷に利用できる力を手にするわけです。実際にそういう使い方をするかは個人の勝手ですが、「殺しにも使える道具」であることを認識した上で責任を持って取り扱うべきだと思います。
「ナイフは道具であって武器ではない」という主張は、確かにその通りですが、それは「武器にもなる」という事に対する責任を放棄することに他なりません。わたしには「道具だから(事故にしろ意図的にしろ)人を傷つけても問題に問われない」と言ってるように聞こえます。
「ナイフは武器にも成り得るが、自己責任でそういう使い方はせず、道具として扱っていく」というほうが正しいのでは。
新規客層を呼び込むのはいいですが、流行りやブームといったもので軽々しく考えるべきではないでしょう。
そもそも誰が使い方を教えるのですか?人に向けないといった基礎的な責任事項だって知ってはいても激情に流されれば蔑ろにするような人間なんていくらでもいると思いますよ?
こういう女性客層(+それについてくる出会い厨)の呼び込み方をしていろいろ荒れた業界を知ってます。サバイバルゲーム・エアガン界です。サバゲ合コンなんてものまでできて、アホかと。


そりゃあ、男性メインの市場に女性が入ってくれば単純計算で売り上げは2倍とかになるのかもしれません。それにしてももう少し別な呼称ややり方の方がいいのではないでしょうか。ナイフはおもちゃの銃とは違います。その気になればいくらでも殺傷に利用できるのであって、責任を持てない人間が持つべきではないでしょう。
大きなメーカーなら猶更気を付けるべきでは?
正直わたしにとってこのメーカーは信用できないし、今後利用する気もなくなりました。

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