私がモーズ・アリソンの歌を初めて知ったのは、ボニー・レイットのアルバムを聴いた時。その中に<エヴェリバディズ・クライング・フォー・マーシー>というブルースが入っていて、これがなんとも、よい。
作ったのはモーズ・アリソンという白人のブルースマンで、多くのミュージシャンに影響を与えているという。
ザ・フーは「ヤングマンズ・ブルース」という曲をカバーしている。
他にも、ヴァン・モリソンやジョージ・フェイムなどにも人気があり、彼らは「ザ・ソングズ・オブ・モーズ・アリソン」というアルバムも出している(ちょっと、おもしろい企画ものです)。
モーズのアルバムを初めて買ったのは、80年代だった気がする。そこには私の好きな<エヴェリバディズ・クライング・フォー・マーシー>も入っていた。
ボニーは最高に歌がうまい。でも、そんな彼女とは違う、淡々とした味わいがモーズの声にはあった。
歌がうまい、という人ではないかもしれない。どこか、音程がはずれているような、鼻歌のような歌い方をする。表現としては古いかもしれないが、ヘタウマという表現が、ぴったりのボーカルだ。
でも、いつ聴いても変わらないその歌声を、私はいつしか愛するようになっていて。
ブルースだけれど、重すぎない。歌詞はけっこうシニカルで、「自分がどんなに落ち込んでいても、誰も気になんてとめないのさ」といった感じの内容だ。
そういえば、自作ではない「トラブル・イン・マインド」も歌っているが、これが本当に調子っぱずれというか、ヘタウマ節。
そんなモーズが、NYのクラブで歌っているという記事を、昔、NYの新聞で読んだことがあり、いつか、ライブを見たいと思っていた。
2年前に来日予定だったようだが、この時は実現せず、遂にこの5月、84歳で初来日。「奇跡の初来日」という言葉が、けっして大げさではない。
25日から3日間、ライブがあったが、私は最終日の今日(27日)、ブルーノート東京で念願のライブを見た。
相変わらず、淡々としていて、クールで、ヘタウマで。
知らない人が聴いたら、曲の区別がつかないかもしれない。
インストメンタルだけの演奏もあった。モーズのピアノ、ベース、ドラム。これが、なかなか、よい響きだった。
そして、待っていた<エヴェリバディズ・クライング・フォー・マーシー>。
生で聴くと、改めて、いい曲だ。
ご本人のルックスは、とても渋い。味のある脇役として、映画にも出演できそうな雰囲気がある。
あえて似ている人を探すと、私は「ストレート・ストーリー」や「グレイフォックス」のリチャード・ファンズワースではないかと思う。もし、ファンズワースがブルースマンなら、モーズみたいな歌を歌ったかもしれない。
淡々としていても、じわじわと盛り上がる。
1時間10分ほどの演奏を、3日間で、5セット。84歳のブルースマン、まだまだ健在!
生きていて、歌っている。ピアノを弾いている。
そんなモーズを見られただけで大満足だ。
また、折にふれ、彼のアルバムを聴くことになるだろう。そして、そんな時は、今日のライブでの姿を思い浮かべ、改めて幸せな気持ちになるだろう。
上はブルーノートのビル。表参道にあります。
こちらはモーズのボード。TONIGHTの文字に胸がワクワク。遂にこの日が!
こちらがブルーノートの入り口。いよいよ、です。
ドアの向こうに階段あり。ドキドキです。
これがモーズです。2種類のフライヤーがあったので、いただきます!
今後、ジム・ホールやフィル・ウッズのライブも予定。ジムは行きたいなー。
80代の大ベテランのジャズ・ギタリスト。ビル・エヴァンスとのデュオ「アンダー・
カレント」は世界中の人に愛される(私も愛聴盤だった)。
ライブが終わって、ホロ酔い気分。
外に出ると、夕暮れが、夜になり、ライトがともっています。
こちらもライトがともっています。さようなら、モーズ・アリソン!
すてきなライブをありがとう! いつまでもブルースを歌い続けてください!