ウディ・アレン通信(&ロスト・シネマ通信)

16年、初夏刊行予定 ウディ・アレン最新評伝本・訳書「ウディ」

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(写真はダニエルの最初の出世作「マイ・ビューティフル・ランドレット」)

 ダニエル・デイ・ルイス、オスカー関連のブログを見ていたら、「渋いオヤジ」という記事があって、軽い衝撃を受けました。

 思えば、ダニエルも、もう、50代ですものね。「オヤジ」といわれる年なんでしょうか。

 長年のファンから見ると、今の顔にも、かつての青年時代がすけてみえるのですが、まあ、それは、こちらも彼と一緒に年を重ねた、ということなんでしょう。

 ダニエルって、「オヤジ」という言葉から、最も遠いところにいる人、という印象が私にはあります。

 実生活では父親でもある彼ですが、なんか、生活感がないというか、「オヤジ」という言葉から連想されるリアルな感触がないんです。

 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の彼は、石油まみれの場面も多く、確かに顔も「オヤジ」。

 でも、なんか、現実感が、あんまりないのです。

 オスカーの受賞式の顔をみたら、昔のイメージのままで、「オヤジ」から遠いところにいる人だな、と改めて思いました。

 彼をはじめて見たのは80年代の「マイ・ビューティフル・ランドレット」でした。下町のコインランドリーをはじめる同性愛のパンク青年。

 ワーキング・クラスの役ですが、彼には優雅さがありました。はきだめに鶴というか、下町のプリンス。

 あの鮮烈な印象を、いまも、けっして忘れることができません(この1作でファンになりました)。

 同じころ、コスチューム劇「眺めのいい部屋」も公開され、こちらは弱弱しい貴族の役。でも、なんだか、ちょっと、笑える演技だったりして……。

 ワーキング・クラスも、貴族も演じられる演技の幅の広さに、驚かされたものです。

 そして、「存在の耐えられない軽さ」。プレイボーイの医師を演じていましたが、「テイク・オフ・ユア・クローズ」という殺し文句で、次々に女たちを口説く役。でも、それでいて、思想的には他人にけっして屈しない硬派でした。

 この映画の彼はタフで、繊細でした。いまでは故人となられたセツモード・セミナーの長沢節先生が、ダニエルの大ファンで、実は原稿依頼のため、お会いしたことがあるんですが、この時、ダニエルのことを話される口調は、本当に熱かった。

 はじめてアカデミー賞をとった映画は「マイ・レフト・フット」。実在の脳性麻痺のアーティストを演じていましたが、普通の難病映画とは違って、オフビートなユーモアがあるところが、ダニエルらしかった。

 その後は「ラスト・オブ・モヒカン」、「父の祈りを」、「ボクサー」、「クルーシブル」、「エイジ・オブ・イノセンス」、「ギャング・オブ・ニューヨーク」などに出演。

 他に「エバースマイル・ニュージャージー」なんて、怪作もありました。

 何度も演技賞の候補になっていますが、今度の新作で遂に2度目のオスカー受賞となりました。

 初受賞の時も、フロックコートを着て登場した素顔が本当にステキで話題になりましたが、今もそのエレガントな雰囲気は保たれています。

 そして、どこか現実離れした雰囲気も……。

 複雑な感情を持つ人物を本当にうまく演じる男優だし、どこかに不思議なユーモアの感覚もあります。

 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」も素晴らしい演技です。

 彼については語りつくしても、語り足りないのですが、とにかく、私的には「オヤジ」という言葉から、最も遠いところにいる男優です。

*80年代、「イギリスの貴公子たち」という写真集の責任編集を私が担当しました。この本、おかげさまで、すごく売れまして、パート2も出ました。ただ、ダニエル・デイ・ルイスの写真が、1番多くて、一部の読者からお叱りを受けましたが……(苦笑)。

 

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 13日のブログでお伝えしましたように、映画監督の市川崑さんが92歳で亡くなられました。とても残念です。

 ブログにニュースを載せましたら、さっそく、読者の方々から反応をいただきました。ありがとうございます。

 http://blogs.yahoo.co.jp/raincity3/32748526.html

 市川崑監督。とにかく、キャリアの長い方です。1940年代から監督さんとして、活躍されていたわけで、同時代的にずうっと見ているわけではありません。これまで手掛けられた作品は80本近くあります。

 おそらく、それぞれの世代の方が、それぞれの印象を持てる監督さんではないかと思います。

 だから、ここでは私なりの市川ストーリーを描いてみたいと思います。

 私の印象は、「どこかモダンで、遊び心のある方」。

 どんな題材を撮られても、どこかに軽妙さがひそんでいる、という印象でした。

 私が初めて見た市川作品は、たぶん、「東京オリンピック」(65)だったと思います。ただ、子供の頃、見たので、正直、そんなによく覚えていません。

 そう考えると、初めて意識して見たのは、もしかして、同じようにオリンピックを題材にした「時よとまれ! 君は美しい」(73)だった気がします。

これは今では忘れられたドキュメンタリー映画ではないかと思いますが、ミュンヘン・オリンピックを題材にした作品でした。

 ジョン・シュレシンジャーやアーサー・ペンなど、当時の一流の監督たちが8人集まり、同じオリンピックを違った角度から撮っていました。市川監督は陸上を担当されていました。

 映画として、けっこうおもしろく見た覚えがあり、ただひとりだけ、日本人監督が入っていたことが、なんだか、誇らしかった覚えがあります。

 とはいえ、演出とか、そういうことは、当時の私には分かりませんでしたので、日本人が撮った部分、けっこう、おもしろいなー、という程度の認知でした。

そう考えると、初めて監督さんの名前を意識して見た映画は、たぶん、青春時代劇「股旅」(73)だったと思います。萩原健一、尾藤イサオ(その後の市川映画にも登場)、小倉一郎などが出ていて、インディペンデントのATGが製作に入った映画でした。

どこか頼りない3人の若者たちがヤクザ修業の旅の出る話で、この映画、アメリカン・ニューシネマの影響をすごく感じさせる作品でした。

実は私の映画的な原点はニューシネマなので、その影響を受けた日本映画ということで、見に行ったのを覚えています。

 市川監督にしては小品だったはずですが、映像のセンスや軽妙な感覚が忘れられない映画でした(でも、最後は物悲しかった……)。

 思えば、この映画を作られた頃、市川監督はテレビの人気シリーズ「木枯し紋次郎」(72〜73)を撮っています。放浪の旅を続けるアウトサイダー的な主人公を描いた部分が、この2本は共通していました。

アメリカン・ニューシネマは、現代劇だけではなく、西部劇やギャング物など、古い時代を新しい解釈で描いた作品も多かったんですが、市川監督の「股旅」やテレビの「木枯し紋次郎」も、そんな時代の影響を感じさせる作品だった気がします。

 実は、市川さんに生前に一度だけ、取材させていただいたことがあります。2002の春です。

その頃、ピーター・フォンダ監督・主演の70年代の西部劇「さすらいのカウボーイ」がリバイバル公開されることになり、この映画の当時の印象を語っていただき、原稿を書くことになりました。市川監督はこの映画をすごく高く評価されていたのです。

70年代に世間ではフォンダが製作・主演の「イージー・ライダー」の方が評判になっていましたが、市川監督は同じフォンダ映画でもこちらの方を高く評価されていて、その映像センスや男と女の描き方が素晴らしかった、と語られたものです。

市川監督のこのコメントは、この映画のチラシに使いましたが、その後、「キネマ旬報」にも載せました。

ピーター・フォンダに電話取材もできたので、彼の市川監督に対するコメントを織り交ぜ、まるでふたりが対談しているような構成の記事にアレンジした覚えがあります。

フォンダも市川監督をすごくリスペクトしていて、「僕は映画作りを市川監督の映画から
学んだ」と言っていました。

 私にとって、青春の1本ともいえるニューシネマは「さすらいのカウボーイ」でしたので、20年以上の時を経て、市川監督とフォンダに同時期に取材することで、私の中で「さすらいのカウボーイ」と「股旅」が重なり、自分の原点を確認する作業になったのでした。

 「股旅」は市川監督の究極の代表作ではないかもしれませんが、こんないきさつもあって、私にはパーソナルなお気に入りの1本です。

「股旅」の後、市川監督には新たな黄金期がやってきました。角川映画の時代です。横溝正史の金田一耕助シリーズが始まり、「犬神家の一族」(76)、「悪魔の手毬唄」(77)、「獄門島」(77)、「病院坂の首くくりの家」(79)など次々に横溝ミステリーが映画化され、話題を呼びました(*くくり、は本当は漢字です)。

 日本的な様式美が前面に出た映画なので、このあたりの作品では市川監督の遊びのある映像感覚がうまく生きていたと思います。

 個人的には「悪魔の手毬唄」が特に好きでした。ヒロイン役、岸恵子(監督さんのお気に入りの女優さんのひとりでした)の変身演技が忘れられません。

 横溝シリーズは女優たちの華やかさで見せる映画でもありました。市川監督は女優さんの撮り方がうまい人でした(脚本を書かれていたのが、名コンビで知られた奥さまの和田夏十さんなので、そういう影響もあるのかもしれませんが)。

最近、リメイクされた「犬神家の一族」でも、富司純子が良かったです。

女性の映画はいろいろありますが、特に好きだった1本が「細雪」(83)です。4人の性格の異なる姉妹たちの物語で、吉永小百合や岸恵子など、女優たちのあでやかな演技もよかったし、何よりも映像が美しかった。

 日本的な情緒があるのに、ベッタリした湿り気はなく、洗練された映画でした。

 90年代に入ってから、ピチカート・ファイブのメンバーが市川監督の旧作「黒い十人の女」(61)を再発見したり、最近では岩井俊二監督がドキュメンタリー「市川崑物語」(06)を撮ったり、という動きもありますが、現代的なクリエイターたちに彼の映画が愛されるのも、その不滅のモダニズムというか、軽妙な遊び心を含んだ映像センスの力もあるのでしょう。

 そういえば、私が取材したとき、「最近では、どんな映画がお好きですか?」と聞いたら、「『LAコンフィデンシャル』や『セブン』はよかったねー。『セブン』はタイトルバックがすごくいいし……。ああいうことするの、僕も好きなんですよ」という答えが返ってきました。

 思えば、テレビの「木枯し紋次郎」もタイトルバックが凝っていた覚えがあります。

 市川監督のスタートはアニメーションでした。1936年の「新説カチカチ山」という短編のアニメーションが、実質的なデビュー作になっているようです。

 この映画、70年代に見たことがあります。自主上映の形で、いくつかの短編の上映会があって、その中の1本でした。

 あまりにも昔のことなので、細かい部分は覚えていませんが、モノクロのアニメーションで、タヌキなどの動物の動きがユーモラスに描かれていました。

 タイトルバックなどに凝る趣味というのは、このあたりの短編がひとつの原点なんでしょうか。

 ジャンルとしては、文芸映画を数多く手がけられていて、「細雪」や「鍵」(59)は谷崎文学、「おはん」(84)は宇野千代、他にも「炎上(58)」、「破壊」(62)、「古都」(80)なども名作文学の映画化。

 代表作となった「おとうと」(60)や「ビルマの竪琴」(56と85)も原作小説が有名です。

 気むずかしい芸術家というより、ひょうひょうとした職人という印象の方で、いつもチャレンジ精神があって、(いい意味での)軽さ=若さを持った方だった気がします。

 取材した時、色紙にサインをいただきましたが、そこには「光と影」という文字が書かれていました。

 長編映画の遺作となったリメイク版「犬神家の一族」(06)のパンフレットの冒頭には「映画は所詮、光と影だと思います」という内容のコメントが載っているのですが、これを読んで、色紙に書かれた「光と影」という言葉が、とても意味深いものに思えたものです。

 光と影とは映画そのもの。

 そして、それは市川監督の長い映画人生を託した言葉だったのかもしれません。

招き猫のごあいさつ!

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 なんだか、寒い日々が続いていますが、みなさんはいかがおすごしですか? 

 私は遂にやられてしまった気がします。風邪がすっかりひどくなってしまってます。ちょい熱っぽいんですが、今夜は仕事。

 本当はアメリカで公開中の新作の話題をお送りしようと思っていたんですが、今夜は無理そうです(すみません)。

 かわりに招き猫がおわびに出てきました。これ、名づけて「頑晴れ! 招き猫」。ちょっとシックな色使いがいいかんじですよねー。

 ブログの写真コーナーを見ていただけると分かるように、このところ、「招き猫」のバリエーションが増えてきました。

 「猫工房」の職人さんが、趣味で作って下ったのです。

 今年のシンボルマーク、おかげさまで好評です。「あの猫、かわいいですね」という声が聞こえてきています。

 今後も別のバリネーションを用意していますが、とりあえずは、私のかわりに「頑晴れ!」猫が出てきました。

 風邪をひいている方。今も仕事中の方。一緒にがんばりましょう(=^・^=)!!!

 サントリーが技術開発に成功した、ということで、青いバラがついに誕生するようです。

 これまで、青いバラの開発はむずかしいといわれてきたんですが、どうやら、来年あたりから、出回るようです。

 うちには、かなり青みがかったバラがありますが、もっと、本当に青いバラが誕生するようですね。

 ご興味ある方は下に写真があります。

 http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2344957/2583078

 確かに、かなりのブルー・ローズ!

 

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 おかげさまで、ブログがヒット9000を超え、いよいよ、5ケタへと向かっています。これも読者のみなさんのおかげです。本当にありがとうございます。

 このブログを始めたのは、昨年の6月でした。もとはといえば、私の新刊「ロスト・シネマ 失われた”私”を求めて」(河出書房新社)の宣伝のためでした。

 雑誌やブログなどに出る書評をひろっていきたいな、と思って、始めましたが、思えば、かなり、違う方向に来ているのかもしれません。

 今では、私の趣味の箱庭というか、毎日の娯楽になっています。

 これからも、どうぞ、よろしくお願いします。

 そして、久しぶりに本の宣伝をさせていただきます。

 「ロスト・シネマ」は、現代の<ロスト(惑い、喪失)>をテーマにした映画を30本集めた本です。

 「アメリカン・ビューティ」、「ミリオンダラー・ベイビー」、「海を飛ぶ夢」、「めぐりあう時間たち」、「ブロークバック・マウンテン」、「誰も知らない」、「ジョゼと虎と魚たち」、「ロスト・イン・トランスレーション」、「アモーレス・ペロス」、「トラフィック」、「アカルイミライ」などなど。

 どちらかというと、渋めのセレクションです。私は<使い捨て>は、あんまり好きではないので、表面は地味でも、ずっと、心に残る映画、繰り返してみたい作品を中心にしてあります。

 それぞれの作品をやや長めの文章で、じっくり書いてみましたので、ご興味ある方は、ぜひ、ご拝読ください。

 「毎日新聞」の書評欄でも短評を書いていただけたので、全国中の図書館にもけっこう入れていただいているようです。

 この中に、きっと、あなたの心に残る映画は収録されていると思います。

 喪失感について論じたものが多いですが、でも、終わった後は希望が残るような書き方をめざしました。

 220ページで、1500円(税ぬき)です。

 河出のサイトはhttp://www.kawade.co.jp
 (ここで本のタイトルを打ち込んでみてください)

アマゾンコムや紀伊国屋書店、ジュンク堂などのサイトでも発売しています。

 どうぞ、よろしくお願いします。



 

 

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