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(写真はダニエルの最初の出世作「マイ・ビューティフル・ランドレット」)
ダニエル・デイ・ルイス、オスカー関連のブログを見ていたら、「渋いオヤジ」という記事があって、軽い衝撃を受けました。
思えば、ダニエルも、もう、50代ですものね。「オヤジ」といわれる年なんでしょうか。
長年のファンから見ると、今の顔にも、かつての青年時代がすけてみえるのですが、まあ、それは、こちらも彼と一緒に年を重ねた、ということなんでしょう。
ダニエルって、「オヤジ」という言葉から、最も遠いところにいる人、という印象が私にはあります。
実生活では父親でもある彼ですが、なんか、生活感がないというか、「オヤジ」という言葉から連想されるリアルな感触がないんです。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の彼は、石油まみれの場面も多く、確かに顔も「オヤジ」。
でも、なんか、現実感が、あんまりないのです。
オスカーの受賞式の顔をみたら、昔のイメージのままで、「オヤジ」から遠いところにいる人だな、と改めて思いました。
彼をはじめて見たのは80年代の「マイ・ビューティフル・ランドレット」でした。下町のコインランドリーをはじめる同性愛のパンク青年。
ワーキング・クラスの役ですが、彼には優雅さがありました。はきだめに鶴というか、下町のプリンス。
あの鮮烈な印象を、いまも、けっして忘れることができません(この1作でファンになりました)。
同じころ、コスチューム劇「眺めのいい部屋」も公開され、こちらは弱弱しい貴族の役。でも、なんだか、ちょっと、笑える演技だったりして……。
ワーキング・クラスも、貴族も演じられる演技の幅の広さに、驚かされたものです。
そして、「存在の耐えられない軽さ」。プレイボーイの医師を演じていましたが、「テイク・オフ・ユア・クローズ」という殺し文句で、次々に女たちを口説く役。でも、それでいて、思想的には他人にけっして屈しない硬派でした。
この映画の彼はタフで、繊細でした。いまでは故人となられたセツモード・セミナーの長沢節先生が、ダニエルの大ファンで、実は原稿依頼のため、お会いしたことがあるんですが、この時、ダニエルのことを話される口調は、本当に熱かった。
はじめてアカデミー賞をとった映画は「マイ・レフト・フット」。実在の脳性麻痺のアーティストを演じていましたが、普通の難病映画とは違って、オフビートなユーモアがあるところが、ダニエルらしかった。
その後は「ラスト・オブ・モヒカン」、「父の祈りを」、「ボクサー」、「クルーシブル」、「エイジ・オブ・イノセンス」、「ギャング・オブ・ニューヨーク」などに出演。
他に「エバースマイル・ニュージャージー」なんて、怪作もありました。
何度も演技賞の候補になっていますが、今度の新作で遂に2度目のオスカー受賞となりました。
初受賞の時も、フロックコートを着て登場した素顔が本当にステキで話題になりましたが、今もそのエレガントな雰囲気は保たれています。
そして、どこか現実離れした雰囲気も……。
複雑な感情を持つ人物を本当にうまく演じる男優だし、どこかに不思議なユーモアの感覚もあります。
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」も素晴らしい演技です。
彼については語りつくしても、語り足りないのですが、とにかく、私的には「オヤジ」という言葉から、最も遠いところにいる男優です。
*80年代、「イギリスの貴公子たち」という写真集の責任編集を私が担当しました。この本、おかげさまで、すごく売れまして、パート2も出ました。ただ、ダニエル・デイ・ルイスの写真が、1番多くて、一部の読者からお叱りを受けましたが……(苦笑)。
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