『いつか春が』執筆日記

波乱に満ちた人生。夢に向かって挑戦する男のドキュメントストーリー。

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人は人生において大きな「決断」を迫られることがある。
進学や就職、結婚なども人生の転機となる大きな「決断」なの
かもしれない。それらは幸せになるための決断であり、輝かしい
未来に向けての決断である。

では、自分にとって生きるか死ぬかの「人生を賭けた闘い」の決
断が迫られた時、あなたはどうするか?闘いという言葉のとおり、
その闘いとなる戦場(法廷)には怒りや憎しみが渦巻き、しかも
闘いを挑む相手は国家権力の正義の象徴「検察庁」。誰が見ても
かっこよくてエリートと呼ばれる正義の味方「HERO」だった。
完全武装をして鍛えぬかれた兵士「HERO」達を相手に、素人
の私が素手で闘いを挑むなどまさに自殺行為だった。

しかも闘いで勝利(無罪)できる確立はわずか0,1%。つまり99,9
%が負ける(有罪)という確率が過去のデータで証明されていた。
逮捕・起訴された者が無罪を勝ち取ることは奇跡としかいいようが
ない厳しい現実の中でHERO達を相手にそれでも闘うのか…。

当時私は四十一歳。家庭を持ち妻と幼い娘が二人。仕事もようやく
軌道に乗り、マスコミの取材を受けるなど公私に渡り充実した生活
を送り、これから事業の拡大をはかろうとしていた。それでも仕事
を投げ捨てて自ら戦場へと飛び込んでいく。
まさに決死の覚悟が必要だった。
どうする?どうするんだ?…私は闘うことを「決断」した。

♪ファイト!闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう
 ファイト!冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ
                (中島みゆき「ファイト!」)


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『いつか春が 〜父が逮捕された「佐賀市農協背任事件」〜』
        (不知火書房より発売中)
   第五章 仕事も信用もなくした 妻の涙 (本文より)

妻は何か言いたそうだったが、そのまま私の話を黙って聞いた。
「もし、裁判でオヤジが有罪になれば、それこそ家族も全員、
犯人の家族として一生汚名を背負って生きていかなければなら
んと思う。今、何もせんで目の前の現実から逃げたら、俺は
一生後悔すると思う……」
妻はうつむいたまま小さくうなずいた。
「今しかないとよ……今、黙って何もしなければオヤジは絶対
に犯人にされてしまう。裁判に負けてしまう。調べればきっと
オヤジの無実を証明できる手がかりを見つけることが出来ると
思う。だから俺は事件の真相を突き止めたか……分ってくれよ」
話しているうちに、自分は何と身勝手な男だろうと思えて私は
悲しくなった。

「お前や子供達には苦労をかけることになるし、すまないと思
う……でも、この裁判はオヤジだけでなく俺たち家族の信用も
かかっているんだ。だから裁判が終わるまで我慢してくれ……
二年、いや一年もあれば裁判は終わるかも知れんし、その間に
俺がオヤジの無実を証明するから我慢してくれ……今はそれし
か言えん」
妻は肩をふるわせ泣いていた。

再び長い沈黙が続いた。
「俺だって自分なりにこれからのことを考えたよ。でも今のま
まではすべてがダメになると思う……お願いだから顔を上げて、
俺の話しを聞いてくれ」
妻がゆっくりと顔を上げると、目には涙がたまっていた。
「これからは今までみたいな生活はできんと思う。だからまず
今の事務所をたたみ、もっと安い所に事務所ば移そうと思うと
る」

黙って話を聞いていた妻がようやく重たい口を開いた。
「それで……どうするとね?」
「会社はいつでも再開できるように残すけど……社員には申し
訳ないけれど辞めてもらい、これからは俺一人で動く。今はそ
れしかないと思う……」
「えっ……」
妻は私の決意がそこまで固まっていることを知って驚いていた。
「いろいろ考えたけれど、これからは裁判の打ち合わせや事件
の調査などもあるし、昼間の時間は裁判のために自由に使える
ように確保しておこうと思う。だから夜は工事現場か何かでア
ルバイトをして、少しでも生活費を稼ごうと思う。今はその方
法しかなかと思う。お前はどう思う?」
妻は黙り込んでしまった。
再び沈黙が続き、時計の音が沈黙を
さらに深めていった。

どのくらい時間がたっただろうか、妻がやっと口を開いた。
「なんでこんなことになったとやろうかね……」
妻が悲しそうにつぶやいた。
「今まで一生懸命頑張ってきたのに……人生がめちゃくちゃに
なってしまって……もう一度やり直せるやろうか……」
妻は深い溜息をついた。
「俺が必ずオヤジの無実ば証明してみせる。そしたらきっと世
間だって……」

私はそれ以上言葉が出なかった。本当に無実を証明できるのか、
私も本当は不安だった。

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※この本のあらすじは「プロフィール」に記しております。
【この事件の特集番組を動画で見る場合はこちら↓】
■テレビ朝日「ザ・スクープ」 http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/
 動画配信バックナンバー⇒ 2006年3月5日放送「検証!佐賀市農協事件」(前編・後編)40分

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始めまして
私は高知白バイ衝突死事故の被告である片岡さんを応援している人間です。当事故もザ・スクープに取り上げられています。
しかし恥ずかしながら、本日始めて副島さんの件を知りました。
スクープの動画やこちらのブログも読ませてもらいました。すごく勇気と力を頂いた気がします。
私は片岡さんの家族でもないですし、その家族の苦悩を語っていいような人間でもないですが、本当に大変な思いで無罪判決まで辿りついた家族を今日ここで見ました。

こちらは現在、最高裁です。
明日にでも棄却とされ、収監もあり得る事件ですが
たとえそうなったとしても、私は被告を信じています。

出版された本も読んでみます。
力強いブログ本当にありがとうございました。

2008/7/17(木) 午前 2:05 [ niyodojin ]

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ご家族の方も大変だったと思います・・・。
自分の立身出世の為には、他人の不幸を省みない。
地位と権力が有るだけに、貧困による犯罪者より質が悪い。

2008/7/17(木) 午前 5:54 w19*9t*ka

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はじめまして、
私も学生時代、苦い経験をしています。
権力を持つ人達の想像力の無さが多くの原因で、また権力構造そのものが冤罪を孕んだ構成になっています。
気付き、感じた人それぞれが個の領域で考え、行動するしかないのでしょう。そのためには何よりも次世代の子供達への教育が大切と思いますが、この有様です。

2008/7/17(木) 午前 8:07 [ oz ]

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>「今まで一生懸命頑張ってきたのに……人生がめちゃくちゃに
なってしまって……もう一度やり直せるやろうか……」

この決断すごいです私は迷っていますし、家族を守るための決断は自分をある程度殺し戦うのではと思います、それではいけいと分かっているのですが決断出来ない状態です。
勇気あるある決断ポチです。

2008/7/17(木) 午前 8:53 iyojin3jp

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弁護士と闘うさんにお世話になってる内緒です。
はじめまして。
ご訪問ありがとうございます。
フアイト〜。
bym

2008/7/17(木) 午前 9:42 [ 内緒m ]

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みなさん、コメントありがとうございます。自著「いつか春が」の一部を紹介していますが、仕事を捨ててまで闘う決断をした理由は本書を読んで頂ければ分かりますが、父が犯人と決め付けられ、その家族ということで周囲にさまざまな出来事がありました。家族が逮捕されると本人だけでなくその家族の人生も破壊されていくのです。司法だけでなく社会の意識も変えていかなければ冤罪はなくなりません。だから敢えて私の経験を著書で赤裸々に公表したのです。間もなく始まる裁判員制度では、どれが真実でどれが嘘なのか、真実を見極める目をもって参加して頂きたいと思います。そのためにも司法の現実を知って頂きたいと願っています。

2008/7/17(木) 午前 10:33 Fight

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人には資質というのが備わっていて、
どんなに戦いたくても戦えない人もいます。
その資質をふんだんに使い、執筆も終了されまし
た。これからもがんばって下さいね。
ポチです。本は拝読しています。

2008/7/17(木) 午前 10:46 瑠

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ruri様、ありがとうございます。
資質ですか…自分ではよく分かりませんね。
闘うことは必然的でしたが本当に無我夢中でした。

闘う中で人間の本質について、さまざまなことを学びました。
失ったものも大きいけれど、たくさんのことを学びました。

自分は大切な人に対して何ができるか。何をすべきか。
もう二度と人前には出まいと考えていましたが
私自身の人生観も意識も変わったからこそ
私は今ここにいるのだと思います。

自分らしく生きることの意味が
少しずつ分かってきたからだと思います。

2008/7/17(木) 午前 11:20 Fight

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高知白バイから訪ねてきました。
長い年月を重ねての無罪・喜びひとしおの事とお察しいたします。痛み・同感すること大であります。
憎んで余りある検察への思いをセーブしている副島さんの意思に、敬服すると同時に父上をぎりぎりの淵まで追い込んだ検察の身勝手・権力お上主義の世界・正義を捨てた面子だけの権力組織・・擬似やくざ世界の浅ましさを理解できないのであります
冤罪を作り出した検察は無罪の裁判結果を突き付けられながら、失態の責任を取るわけでもなく弁護士に転身する法曹界の仕組みに唖然といたします。
担当検事は末端の馬鹿の跳ね返り者・・・佐賀の検察組織の責任はいつの間にか霧散してしまうのでしょうか? ブログ・いつか春が・・読ませていただきます。
{人生の決断}にレイアップされた一枚の画像・象徴的で印象深いです

2008/7/18(金) 午後 10:21 [ afriex ]

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afriexさん、ありがとうございます。人間には許せることと許せないことがあります。だから全てを捨ててまで闘う覚悟が出来たのです。ブログではさすがに公開できないような苦しいことも著書には記していますが、辛すぎて本にも書けないこともありました。でも誰かが冤罪が作られていく流れや恐怖、人生が破壊されていく状況を赤裸々に公表しなければ世間は誰も気づきませんからね。今の私には自分が経験したことを伝えることしかできません。だからブログで、そして著書で伝えるだけです。あきらめずに最後まで片岡さん一家を応援してやって下さい。私も応援します。

2008/7/18(金) 午後 10:38 Fight

おはようございます。
今、4曲に限って歌をアップしています。動画を作成するのに相当な時間がかかります。今回はアクシデントの連続で頭を抱えました。
が、ネバーギブアップが俺の信条なのでUPし続けています。4曲目は45歳の若さで癌で亡くなった弟子で友人へ贈る曲です。正直録音は失敗しました。でもその失敗し唄をアップします。

今日の記事を読んで、貴方の本を書店で買うことにしました。何故なら感銘しているからです。奥さんの戸惑いは心を打ちます。貴女の勇気と前を向く姿勢は尊いものです〜
生活は苦しくなっても卑屈にならない方を選択した意思の決定に拍手を惜しみません。いつかコーヒー飲みながら二人だけのおふ会をしましょう。

2008/8/12(火) 午前 8:18 相馬 龍

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拝見しました。撮影から録音に編集、大変でしたね。動画を編集することに以前挑戦しましたが、あまりにも時間がかかるので断念しました。声を生かした歌い方をかなり心得ておられますね。しかも、単に歌を歌うだけでなく、なぜ歌うかに物語があるから泣かせるのですよね。
私のブログとは全く違うタイプですが、根底にあるものは何か通じるものがあります。ありがとうございます。

2008/8/12(火) 午後 1:09 Fight

奥さんもとっても心細い時期だったんでしょうね。
家庭を守る主婦としていっぱい心配なことがあったやろうなぁと
奥さんの気持ちがよくわかる気がします...

2008/10/23(木) 午後 0:53 らんらん


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