『いつか春が』執筆日記

波乱に満ちた人生。夢に向かって挑戦する男のドキュメントストーリー。

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今日は『女性セブン』の記事に関する話を先ほど更新しました。

先ほども話しましたが、父の逮捕・起訴によって私達は裁判で父の無
実を証明するしか残された道はなくなったのです。
検察と闘うと言っても、当時はまだ混乱が続く中で私にはどうしてよ
いのか全く見当がつきませんでした。

仕事が次々とキャンセルになり、佐賀の街角で私を見かけた同級生が
物陰に隠れたり、今まで私に仕事を依頼してていた役所の担当者が口
も聞いてくれなくなったり、「副島はオヤジがあんなことをしでかし
たから、佐賀に住めなくなって福岡に逃げていったとばい。ワハハ」
と酒の席で笑い話にしていたなど、とにかく目にするもの耳にするこ
と、打ちのめされるような出来事の連続でした。

世界中を敵に回したような心境になり、いったい誰を信じていいのか
分かりませんでした。人目を避け誰とも口をきかなくなっていったの
です。心の中は激しい怒りと悔しさでいっぱいでした。

私の心が壊れていく…このまま闘う前に自滅してしまう。
絶望のどん底をもがいていたのです。私だけでなく父や母も家族や兄
弟も、みんな絶望のどん底に突き落とされたような心境でした。
急に手のひらを返す人もいましたが、それでも私を信じて手を差し伸
べて下さる人もいました。途絶えていた私は、自ら心の扉を閉じてい
くことになるのです。

厳しい状況が続く中で、やさしい言葉をかけられると胸が熱くなり、
人の情けのありがたさを噛みしめていました。本当に涙が出るほど嬉
くて嬉しくて…


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『いつか春が 〜父が逮捕された「佐賀市農協背任事件」〜』
        (不知火書房より発売中)
      第五章 仕事も信用もなくした 頑張って(著書本文より)


誰とも言葉を交わさない生活が続くと、自分で自分を追い込んでいく
という苦しさが私の心をしめつけた。まるで真っ暗な闇の中を一人で
彷徨っているような毎日だった。生活の現実に押しつぶされていくよ
うな不安も、孤独の苦しさにのしかかってきた。

次第に私は体に変調を来たし始め、右肩から背中一面にかけて針を刺
すような激痛が昼となく夜となく襲うようになった。家族には伏せた
まま痛みに耐えていたが、痛み止めの薬も効かず、あまりの激痛に顔
をゆがめながら涙がこぼれることもあった。夜も眠れなくなり、すが
るような思いで何軒か病院を回ったが痛みの原因は分らなかった。こ
のまま自分は壊れていくのではという不安がふくらんでいくばかりだ
った。

結局、五軒目の病院で、私の痛みは極度のストレスから来ている事が
分かり、神経ブロックという治療によって痛みは少し緩らいだが、裁
判が終わるまでこの痛みに苦しめられることとなった。
私は心の中にためこんだ怒りや悔しさを誰かに聞いてほしかった。誰
かに私の話を聞いてもらえるだけで気持ちが救われるような気がした。
しかし、話を聞いてもらえる相手は誰もいなかった。怒りや悔しさを
誰にも話せない苦しみに耐えきれず、畳の上を転げまわることもあっ
た。

なぜこんなふうになってしまったんだ。俺はこれからどうなっていく
のだろう……不安と孤独がいつも付きまとって、心の痛みとなって私
を苦しめた。

私が再スタートの準備で七転八倒していた頃、携帯に一本の電話が入
ってきた。相手は、佐賀県の農業改良普及センターの指導員のMさん
だった。
Mさんは前年の秋に私が直売所運営の活性化をテーマに行った講演を
聞いて、Mさんが担当していた佐賀県三瀬村の地元農家の婦人部を対
象とした研修の講師役を私に依頼してきていた。新年度から事業とし
て取り組むというので私は二月から地元の三瀬村役場の職員と一緒に
研修カリキュラムの打ち合わせに入っていた。しかし、三月の父の逮
捕騒ぎで連絡が途絶えたままになって、私はここの仕事もキャンセル
されたと思っていた。  

Mさんからの電話は意外にも、予定通り研修を行うという連絡だった。
第一回目の研修会当日、私は三瀬村でMさんと再会した。
研修会の会場となる地元の農協の会議室に入る前に、私は階段の踊り
場でMさんを呼びとめた。蛍光灯の青白い光の下で向き合って、私は
思い切って父の事件の話を切り出した。

「じつは……私の父は元佐賀市農協の組合長をしていたのですが……
事件のことはご存知でしょうか?」
「ええ、もちろん事件のことは知っていますよ。それに組合長が副島
先生のお父様だということも。私は、お父様は立派な方であると思っ
ています」
「そうですか……。父は逮捕されましたが、無実です。絶対にやって
いません」
私が声を殺して訴えると、Mさんは黙ってうなづいた。
「でも、私が息子であることを知っていて、どうして私に? あとで
Mさんにご迷惑がかかりませんか……この事業は本当に私でいいので
しょうか」
「あら、イヤですわ。何を言うのですか。この事業は私のほうからお
願いしたのですよ。迷惑だなんて」
Mさんは私の顔を見つめながら明るく答えた。
「本当に私でいいのでしょうか……」
「もちろんです。私は期待しているのですよ」
Mさんの言葉に、私は胸が熱くなった。
「役場の方や地元の方は、私が息子であることをご存知なのでしょう
か」
「さあ? ……私も誰も何も言いませんしね」
「あとで分かったら迷惑がかるのでは……」
「大丈夫ですよ。お父様と副島さんは親子だけど、仕事は仕事。別で
すよ」
「ありがとうございます……」

私はそれ以上は何も言えなかったが、Mさんは小さな声で私に言った。
「今が一番大変な時に研修をお願いしてすみません。でも、私は信じ
ていますよ。頑張ってくださいね」
私の体の中から熱いものがこみあげてきて、目には涙がにじんできた。
それをMさんに見られたくなかったので、私は下を向いたまま黙って
うなずいていた。父の事件が起きてから自分のカラにとじこもってい
た私に人の情けがしみた三瀬村の夜だった。

佐賀郡の商工会の指導員のU氏も私を信じてくれた人だった。U氏は
三年ほど前から、私に毎年、婦人部の研修を依頼してくれていた。こ
こは父が逮捕される前の二月に研修を終えたばかりだった。
事件後、しばらく連絡が途絶えていたがU氏から研修のお礼の電話が
あった。
私が戸惑っているとU氏は、「大変だろうけど……頑張って」と励ま
してくれた。最後にU氏は、「それから……また今年も研修を頼むよ」
と付け加えて電話を切った。
世間を全部敵に回したような気持ちになっていた私にとって、『がん
ばって』という一言は何よりも嬉しかった。


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※この本のあらすじは「プロフィール」に記しております。
【この事件の特集番組を動画で見る場合はこちら↓】
■テレビ朝日「ザ・スクープ」 http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/
 動画配信バックナンバー⇒ 2006年3月5日放送「検証!佐賀市農協事件」(前編・後編)40分

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こんばんは。ウチのブログにコメントをくださって、ありがとうございます。

冤罪って、人間関係に試練を与えますよね。手のひらを返すふるまいをする人が意外に多くて、それがいちばん情けなくて、悔しいです。

わたしは以前あるカルト宗教の成員でしたが、そこでは縦のつながりがすべてで、権威者に嫌われると、他の成員から一斉に、冷たくされます。スーパーで出会うと顔を背けられたり、避けられたり。

そうならないように、理不尽なノルマにも異議申し立てをせずに唯々諾々と服従していました。

ファイトさんの経験にはとても共感できます。ご本、読んでみます。

2008/7/20(日) 午後 7:22 夜光虫

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ローズさん、ありがとうございます。
貴重な経験をされましたね。人間は、いろんな経験を経て
学んで成長していくものでしょうね。経験をしなければ
気づかないこともたくさんあると思います。

この経験を無駄にしないためにも、多くの人に私の経験を
お伝えして何か感じて頂ければ幸いです。人間の心の中にある
苦悩や孤独、そして希望や勇気。いろんな想いをお伝えしようと
心をこめて執筆しました。ここでは一部をご紹介させて頂いて
おりますが、本をお読みになっていただければもっと多くの
何かを感じて頂けると思います。
amazonでも購入できますが、たびたび在庫切れになって
ご迷惑をおかけしていますが、補充されたら買えますよ。
よろしくお願いします。

2008/7/20(日) 午後 7:37 Fight

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刑務所の中・冤罪の無実の不幸な受刑者たりとも、次第に正常の人格が踏み潰されていくさま・現実を、想像するだけで辛く・悲しい事大きすぎます。ましてや衆目の前で全裸にするなどと、陵辱に等しくこれが同じ人間にやる仕打ちなのか? 屈折の加虐世界、異常の世界、世間から忘れられた世界・・・・戦時中の捕虜虐待の例えではなく、時代に関係なく人間は置かれている環境で、いか様にでも豹変する性を垣間見る思いがします。
検察の侮辱の罵り・・・刑務官らの・仕事といえども無表情で上から見下す行為はあまりに不条理で許し難く知りえなかった世界です。

2008/7/20(日) 午後 10:21 [ afriex ]

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裁判後に辛かった・苦しかった体験を可能の限り心の中にしまい、気持ちを整理する・・・・・
家族のため将来に向けて再出発、人生の建て直しを志す・・・・・現実を体験した副島さんしか、表現し得ない決断と自己をコントロールする意思に敬服です。
憎しみで奮い立つのか?、家族の為に改めて前に進んでいくのか、裁判の過酷な環境から自由を自らの手で手繰り寄せた強い意志の結果でしょうか。
読みながら勉強するばかりです。
家族の物語として書いた・・・・とありました・感動するばかりです・・

2008/7/20(日) 午後 10:21 [ afriex ]

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afriex さん、ありがとうございます。まだ自分の中で整理できていないから本を書いたのかも知れません。自分の中にぐっと溜めてこんだ感情…全部を活字で表現できるものではありません。この経験が少しずつ私の中では過去の出来事として整理されていくのが分かります。でも世の中には「事実」として、また「教訓」として残しておかなければと思います。そして、このような冤罪で苦しんでいる人が他にも多くおられることに気づいてもらうこと。それが地獄の苦しみから生還した者としての私の役割かもしれません。これからもよろしくお願いいたします。

2008/7/20(日) 午後 10:44 Fight

こんばんは。少しずつ読ませていただいてますm(__)m
肉体的精神的なご苦労はいかほどか・・と思うと
胸がしめつけられます。
ご本人様、ご家族様ともどれほど言いたいことがあったか、考えさせられました。また続き読ませていただきます。

2008/9/8(月) 午後 6:56 [ ももさんご ]

ファイトさんの心の中の絶望感は理解はできても体験は出来ない。だからその状態を置き換えてみると言う仮説しか成立しないですが・・それにしてもやはり俺は耐えていけないような気がする。俺はファイトさんの一族を尊敬します。すでに読み物を超えています。

2008/9/8(月) 午後 8:52 相馬 龍

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ももさんごさま、ありがとうございます。
言いたいことはありすぎるかもしれませんが整理がつきません(笑)
だから本を書いたのです。直接多くを語らずとも、本を読んで頂ければ、きっと何かを感じていただける・・・そう願っています。
二度とこのようなことが起きてはならないということを
お伝えできれば幸いです。

2008/9/8(月) 午後 11:54 Fight

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龍さん、あなたの記事を拝見するたびに自分も龍さんみたいな
文章が書ければとうらやましく思います。変化球が投げれればいいのですが、今はまだストレートしか投げれないので(笑)
龍さんもご苦労されたことがひしひしと伝わってきます。
だから人にやさしいのだと。龍さんのように苦しみや悲しみを
笑って吹っ飛ばすくらいの男になれるように頑張ります。あはは

2008/9/8(月) 午後 11:58 Fight

自分がどん底に居る時に.....
やっぱり人から優しい言葉かけてもらえると本当に
心にしみますよね....
そういう人が周りにいてくれはってほんまに良かったですね(^o^)

2008/10/27(月) 午後 3:43 らんらん


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