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■■■【表紙写真について】■■■■■■■■■■■■■■■
※表紙の夕焼け写真はブログで知り合ったmik*nt*1* さんの写真を
お借りしました。やさしさと切なさが伝わる写真と言葉が胸にしみます。
よければ一度お立ちより下さい。
http://blogs.yahoo.co.jp/mikanti18/MYBLOG/yblog.html?m=lc&p=2
■■■【松本サリン事件の犠牲者である河野さんの奥様の訃報について】
私も先ほど河野さんの奥様の訃報を知り驚いています。
まさに「冤罪事件」の犠牲者です。犯人視されて、その後も苦しみは
続き、失ったものは余りにも大きすぎます。
濡れ衣が晴れても何も元に戻らない現実をマスコミは報道しませんが、
一度疑われてしまうと、それだけで離れていく人が大勢いて、溝が
出来てしまいます。疑いが晴れても両者の間には溝が残り、今度は
気まずさと疑念を生み出すのです。だから元の人間関係には戻れない
のです。生活も人生もすべて元には戻れません。
冤罪の苦しみは裁判の恐怖だけでなく、その後も永遠に続く世間との
溝による苦しみです。はたから見ると、終わったからいいじゃないかと
思われますが心に受けて傷はなかなか消えないので心の扉が開けないの
です。
信用や経済的な損失も何の保障もありません。莫大な裁判費用も時間も
すべて自己負担です。
「ありゃ、間違えていた。犯人じゃなかった」
それで謝罪もないし、最初は犯人で、その後は無実…だから事件・
事故の被害者としても扱ってもらえないし、中途半端な立場です。
河野さんの心中を思うと複雑です。
失ったものは余りにも大きくて哀しすぎますよ。
心よりご冥福を祈らせて頂きます。
この本を読んで頂き、改めて『冤罪』について考えて頂ければと願います。
●●河野さんについてのニュースです(提供:どうなっちゃうの?日本の将来)さんより
http://blogs.yahoo.co.jp/w1919taka/44516291.html#44516291
●●地下鉄サリン事件も忘れてはならない事件です「高橋シズヱの喜怒哀楽」
http://blogs.yahoo.co.jp/whitecat12browncat12
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■■■【解説】
「主文、被告人の…」
裁判の流れが劇的に変わった瞬間でした。検事との直接対決が終わり、
次の裁判で裁判長が突然告げた言葉。予期せぬ瞬間は突然やってきま
した。そう、まさに突然でした。
私は父のアリバイを立証しようと、証人探しに奔走していました。
まだまだ私たちは追い込まれた状態でピンチの連続でした。
検察が出してくる嘘の証拠をひとつ暴くと、すぐに次の嘘の証拠が
出される。たとえ嘘であろうと法廷に証拠として出されたからには
嘘であることを私たちが立証しなければなりません。その繰り返し
でした。
夕闇がせまる頃、夕焼け空を見上げながら今日も手がかりをつかめ
なかった焦りと不安に包まれていました。当時の関係者に会いたいと
申し出ても断られたりして、著書の中に描いていますが、証人など
もう見つからないとあきらめかけていた時、偶然にも証人が見つかり、
決死の覚悟で臨んだ裁判でした。
検事調書がすべて棄却…このニュースも全国に流れた衝撃の出来事で
した。これで裁判の流れは大きく変わっていくのですが、闘いはさらに
泥沼へと…この苦しみはいつまで続くのかと空を仰くのでした。
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『いつか春が 〜父が逮捕された「佐賀市農協背任事件」〜』
(不知火書房より全国の主要書店にて発売中)
第十章 裁判長の異例の判断 検事調書全部却下(未公開原稿より)
平成十四年十二月十三日、佐賀地裁。
三十七回目の裁判だった。父の逮捕から一年十ヶ月が経過していた。
この日の法廷は、いつもの大法廷でなく、やや小さな法廷で行われる事
になった。大法廷は六十席ほどあるが、ここは半分の三十席ほどしかな
かった。そのために傍聴席は全部埋まってしまい中に入れない人もいた。
あやうく私たち家族の席さえも確保できなくなるところだった。
今日は証人として元運転手の吉岡さんが証言台に立つ。吉岡さんの記憶
力の正確さからすると必ず父のアリバイは立証できると期待していた。
裁判官三名がいつもどおりに入廷した。
全員が起立し、裁判官に一礼すると着席した。
突然、いつもと違う裁判長の言葉で裁判が始まった。
「ええ、では初めに被告人の自白調書の任意性についての裁判所の判断
の決定を致します」
最前列に陣取った記者達が「エッ」と驚いた表情で、一斉にペンを取っ
た。今から何か大切な決定が下されるようだ。だが私には何のことなの
か意味がさっぱり分からなかった。周囲を見渡したが、みな首をかしげ
ていた。
いつもと違う・・・何とも言えない胸騒ぎがした。慌てて弁護士の先生
達を見た。日野先生は静かに目をつぶっている。山口先生は、じっと前
を見つめていた。
何が何だか分からないうちに、裁判長が何かの用紙を広げて読み始めた。
裁判長のひときわ大きな声が法廷に響いた。
「主文、被告人の検察官に対する供述調書四通に関する検察官の証拠調
請求を却下する」
記者達から「えっ」という驚きの声があがった。次に「おおー」という、
どよめきがわきあがった。
えっ、今のは何?判決?まさか?
私は慌てた。
傍聴席の人達は私と同じように、意味が分らずキョトンとした表情のま
まだった。
裁判長が続けた。
「理由。第一、本件証拠調請求に関する弁護人及び検察官の主張。弁護
人は、検察官による被告人の検察官に対する各供述調書の証拠調請求に
・・・・・」
何かの重大な決定が下され、今、裁判長によってその理由が読み上げら
れている。裁判の専門用語は難解で意味がわからない。
父は正面の裁判長の方を向いているので背中しか見えず、その表情は分
らない。日野先生は静かに眼を閉じたまま裁判長の言葉に耳を傾けてい
る。山口先生は呆然とした表情に見えた。検事は複雑な表情を浮かべて
いた。しばらくすると記者達が一人、また一人と法廷の外へと足早に退
席しはじめた。
私も記者の後に続いて外に出た。
記者達は廊下の隅で、携帯電話を取り出し次々と電話をかけ始めた。
「今、検事調書が全部却下されました。えらいことになりましたよ」
「もしもし、あっ、私です・・・今ですね、裁判所から突然に決定が下
されてですね、検事調書が全部却下されたんですよ。全部却下です」
どの記者も興奮ぎみに話している。
何か大変な事態が起きているようだった。
私はそばにいた記者に尋ねた。
「あのう・・・すみませんが、さっき裁判長が言われたことはどういう
意味なのでしょうか?」
「あっ、あれね。あれはですね、検事が取り調べで作った調書は信用で
きないとして全部却下されたんですよ」
記者は興奮したまま私に説明してくれた。
「・・・それって大変な事なんですか?」
「そりゃあ検察が取調べして作った調書が全部信用できないとして却下
されたわけだし、こんな事は異例ですよ。すごいことですよ」
「本当ですか!そりゃあ、がばいすごか事ですよね。ありがとうござい
ました」
やっと意味が分った。私の不安は一瞬にして喜びに変わり、今頃驚いて
しまった。
静かに法廷に戻ると、裁判長が却下した理由を読み上げていた。
被告の証言は具体的かつ詳細で、現実に体験しなければ表現できないと
裁判長は述べていた。被告の当然の弁解に腹を立て、被告を怒鳴り、再
三にわたり、こぶしを振り上げ、机を叩くなど問題を抱える取調べが続
いたと認定したと読み上げた。
さらに検事が被告に対して見下した態度をとり、「あのなあ、お前」と
か「〜じゃねえか」などの検事の口調についても無用な屈辱感を与えた
と検事を厳しく非難した。
全容を自白したとされる起訴当日の自白調書についても、検事が頭の中
で作った調書で、供述に基づくかどうか疑問であると指摘。自白を強要
した動機についてもふれ、拘留期限が迫り検事が焦り、苛立ったとも述
べた。
このような理由から、調書は検事が威迫して自白を迫ったもので、証拠
能力が認められないと判断。検察側が作った調書を証拠としてすべて不
採用とする・・・そういう内容だった。
日野先生は裁判長が読み上げる間、静かに最後までずっと目を閉じたま
まだった。
山口先生は天井を見つめ感慨深げに裁判長の言葉に耳を傾けていた。
検事はまったく表情を変えず、無表情で調書棄却の理由に聞き入ってい
た。
約三十分間にわたって理由が読み上げられた。
その後、裁判は予定通りの内容で再開された。証言台に立った元運転手
の吉岡さんは、問題となった当日の様子を証言し裁判は終了した。
裁判長が閉廷を告げると、父はゆっくりと立ち上がり傍聴席の方を振り
向いた。父の表情には笑みがこぼれていた。弁護士の先生達も裁判中は
無表情だったが、やっと表情がゆるんだ。
検事はマスコミに追われるのを察知してか閉廷と同時に足早に法廷を出
て行った。
〜 中 略 〜
廊下に出ると弁護士の先生達は記者達に囲まれた。
「先生は、今日の裁判所の決定に対してどのように思われましたか。ぜ
ひコメントをお願いします」
「先生、この結果については予想されてましたか?」
記者達は父をチラッと見たが誰も父にコメントを求める者はいなかった。
被告だからマスコミもコメントを求めようとしないのか。これが現実だ。
逮捕されてから一度も父や家族はコメントを求められた事がない。マス
コミや世間に訴えたい事は山ほどあるのに・・・。
記者達に囲まれた先生達を残して、私たちは裁判所を後にした。
十二月十四日。新聞各紙には今まで以上に大きな見出しで昨日の事が記
事として載っていた。
『検事調書を不採用』
『供述調書の採用却下』
検察が柱としていた自白調書が棄却されたことで、裁判の流れがさらに
大きく変わった。
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鍵コメントさんへ
眠れない夜…いろんなことを考えているうちに眠ってしまい、目が覚めたら、こんな時間になりました。
2008/8/6(水) 午前 3:59
なにかコメントしたいのですけれど・・・
簡単な言葉で感想を述べられるようなことではありませんねぇ。
よく頑張り通されたと思います。
裁判員制度の開始が話題になっておりますが・・・このようなお話に接すると、他人を裁く制度に限りなく怖れを感じます。
2008/8/6(水) 午前 8:13
シンディさん、ありがとうございます。
私が経験したことを知り、何かを感じていただけて嬉しいです。
事実を知り何かを考える。これが大切なことだと思います。
シンディさんの気持ちは十分に伝わってます。
ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
2008/8/6(水) 午後 3:31
fightさん、良く頑張ったね。泣き寝入りや根負けの冤罪事件がほとんどです。親子の強い絆を感じますよ。
今年の春、ある10年がかりの裁判(東京高等裁判所)を傍聴しました。商社の男女差別賃金問題で戦う女性達の裁判傍聴でした。
これまで、男女差別はないとしてきた判決を覆すものでした。
でも、僕達は裁判官が何を言っているのかはっきりとは分かりませんでした。
この裁判は、当然、被告の某商社は最高裁判所に控訴しました。
今後、何年かかるのか見通しもつきません。
2008/8/7(木) 午前 7:47 [ taruim1941 ]