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※音楽を消す場合は最下部の「ブタ鼻」のようなボタンを押してください。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ■■■前回の番外編「検証」…あなたは真実を見抜けますか? 前回、実験記事を掲載していますので、そちらもご覧下さい。 逮捕直後の報道記事を見て、この事件はおかしいとお気づきに なられる方はおられるでしょうか? 冤罪事件はここからスタートしてゆきます。 次第に取調べの実態が明らかになってゆき、マスコミも 裁判所も少しずつ事件について「おかしい」と気づいていく までに、二年もの時間がかかりました。 ↓この記事を見て、あなたは真実を見抜けますか? http://blogs.yahoo.co.jp/rainrain1192/14466984.html ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【解説】 いよいよ裁判も最後。「結審」の日を迎えました。 この結審が終わると、あとは判決を待つだけとなります。 この日は裁判長に最後に自分の気持ちを伝える日でした。 父は前日、なかなか眠れないようでした。 裁判長に向かって何と話そうか…父は自分なりにあれこれ 考えていました。私と母はそんな父をそっと見守っていま した…。 ============================ ============================ 『いつか春が 〜父が逮捕された「佐賀市農協背任事件」〜』 (不知火書房より全国の主要書店にて発売中) 第十一章 いつか春が 結審(校正前の原稿より) 熱い夏が終わりを告げる頃、田んぼには黄金色の稲穂が揺れていた。 裁判もいよいよ大詰めを迎えた九月二十六日。この日が最終弁論だ った。 これが最後の裁判ということで、傍聴席は多くの人たちで埋まって いた。一社ずつ訪ねて話を聞いてもらった地元のマスコミの記者達 も顔をそろえていた。この日の裁判で結審すると、あとは判決を待 つだけとなる。 日野弁護士が最終弁論書を読み上げていった。 最後に、あらためて父の無罪を主張して弁論を終えた。 「では被告本人より、最後に何か言いたいことはありますか」 裁判長が父に尋ねた。 「はい、裁判長殿。一言私のほうから言わせて頂いてよろしいでし ょうか」 「はい、いいですよ」 父は証言台の椅子を後ろにずらして、ゆっくりと立ち上がった。 法廷全体が父の背中に注目した。 「では私の今の気持ちを述べさせていただきます……」 緊張しているのか、息を吸いこんで「ふー……」と大きく吐く音が こぼれた。 少し間をおいてマイクに向かって父が静かに話し始めた。 「私は今年の八月十五日を持って満七十四歳に相成り、その間、農 協の職員として、また役員として約四十五年以上にわたり、農協一 筋に生きて参りました……そして、この度このような事件に相遭遇 し、農協ならびに組合員の皆様に大変ご心配をおかけ致し、申し訳 なく思っております」 最後の公判ということもあり、傍聴席には父や母の兄弟のほかにも 父の旧制中学の友人たちも福岡から駆けつけて、無実を訴える父の 姿を見つめていた。 「しかし、今回の私の逮捕事実は真実と大きく異なっております。 私は取調べでも何度も検事に真実をお話ししようとしましたが、最 初から私を犯人と決め付けて聞き入れてもらえませんでした。どん どん真実と違う流れに変えられていく恐怖や、検事が何度も恐ろし い形相で力の限り私を恫喝し、脅迫する場面が頭から離れず、今も 夢にまでうなされる日々を過ごしています……」 うつむいたままの母はハンカチを握りしめながら、静かに父の言葉 を噛みしめていた。 「今まで組合員や……家族の幸せを願って生きてきた結果が……身 に覚えの無い突然の逮捕に続き、私は『被告人』としてこの法廷に 立っていることが耐えがたく残念でなりません……逮捕から今日ま での二年半余りの間、今まで築いてきた世間の信用も一夜にしてす べてなくし、私だけでなく家族も……」 父の声が震えだして途切れた。 「すみません……家族も世間の偏見と辛い試練に耐えながら、弁護 士の先生方と真実が明らかになることだけを願って……今日の日を 迎えた次第です」 傍聴席のあちこちからすすり泣く声が聞こえてきた。 「本日、今の私の心境をお話させて頂こうと思って法廷に臨みまし たが……この二年半を振り返ると、一生忘れることが出来ないし、 言葉ではお伝えできないほどの憤りと苦しい日々でありました…… そして、もっと検察が適正な捜査をしてくれていたらと思うと残念 でなりません……」 K検事は表情を変えないまま父をじっと見つめていた。 「私は検察の申されるように、不正を知っていながらあえて指示し たということは、天地神明に誓って致しておりません……」 父は、裁判官席に向かって涙をこらえながら訴えていた。 母は不安そうな顔で、今にも泣き崩れてしまいそうな父の背中をじ っと見つめていた。 声がつまった父は三人の裁判官たちの顔を確認するかのようにゆっ くりと見渡し直立の姿勢で、腹の底から搾り出したような声で訴え た。 「私は司法の正義の元に、本当の真実が必ず明らかになる事を信じ ています」 それまで表情を変えずに聞いていたK検事の顔が、苦渋に満ちたよ うな複雑な表情に変わった。日野弁護士と山口弁護士は二人とも目 を閉じたまま父の声を聞いていた。 「司法の正義が……司法の正義が、必ずや真実を明らかにしてくれ ることを私は信じています」 静寂な法廷に父の声がひときわ大きく響いた。それは母や私や兄弟 たちの叫びでもあった。 「私は、裁判官の公正な裁きを固く信じ、お願い申し上げる所存で ございます……以上です」 父は裁判官席に一礼して、弁護士席にも一礼した。 座る瞬間にK検事を見たが、検事は父の視線を受け止めずに下を向 いた。 父の裁判が結審した。 裁判長から判決公判の日程が告げられた。判決は年が明けた平成十 六年の一月二十九日、午前十時となった。 判決まで約四ヶ月……私には判決を待つ四ヶ月という時間がとても 長く思えた。 母から私に電話があったのは結審から二日たった日の午後だった。 「あのね、お父さんの様子がおかしかとよ。朝からボーとしてね。 話しかけてもほとんど何も話さんとよ。心配だから、すまないけど こっちに来てくれんね」 慌てて私は福岡から駆けつけた。 父の様子は確かにおかしかった。 ソファアにグッタリともたれかかったままだった。視線が定まらず、 私に何かを話そうとするがろれつが回らなかった。二日前とは別人 のようだった。 「お父さん、何したとね?」 「おお……お前か……新聞にな……書いてある……嬉しかったばい ……ほんなこと嬉しかったばい」 私に何かを伝えようとしていた。 「新聞? ……新聞に何て書いてあるとね?」 父は口を半開きのまま、胸元のポケットから何かを取り出そうする 仕草をしたが、手が思うように動かず、胸元でモソモソしていた。 私は変わり果てた父を見て不安になった。 「何ね? 何を取り出そうとしているとね……俺が取ってやるよ」 そう言って父の胸ポケットに手を入れると何やら紙切れのようなも のが入っていた。 「何ね、これは?」 それは丁寧に折りたたんだ新聞の切り抜きだった。折り目を返して 広げてみると、地元紙の記者が書いた父の裁判が結審したことを伝 える解説記事だった。 「告発が事件の発端」という箇所に何度も赤鉛筆で線が引かれてい た。 「これがどうしたとね?」 「……嬉しかった……ばい。初めて記者が……告発のことば、書い てくれたばい……嬉し……かったあ……」 父は目に涙を浮かべながらかすれた声でつぶやいた。 それまでは、この事件が何者かによる検察への告発から始まったこ とは世間には一度も報じられたことがなかった。 父は「いったい誰が、こんな恐ろしかことを企てたとやろうか」と、 何度も何度も、いや何百回も悔しさをぶつけてきた。その想いの一 端がやっと記事となって出たことが、父にはよほど嬉しかったよう だ。 裁判が結審したことで緊張がゆるんだところに、長かった裁判の疲 れや自分の言いたかったことが記事として報道された喜びが重なっ て、父の体に異常が起きているようだった。 事件は父の心に深い傷を残し、長引いた裁判は父の精神を限界まで 追いつめていた。 〜 中 略 〜 母を送り出してから父の様子を観察していると、二時間くらいたっ た頃から父に異変が起きはじめた。昼食の箸を自分で持てなくなり、 私が父の手に箸を持たせてもポトリと落としてしまった。自分で立 って歩けなくなり、床を這いながらトイレに行った。そしてソファ アにもたれたまま、口を半開きにしてゴーゴーといびきをかきはじ めた。 おかしい……胸騒ぎがした。 つづく ■音楽協力:Love Songs さん http://blogs.yahoo.co.jp/xiong_maririn ============================ ============================ |

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毎日遅くまで文章を書いて・・・曲を選んで^^
お疲れ様・・・・・。
fightさんのお心は晴れてらっしゃいますか?
素敵なよるを
Xiong M Jarka with Love
2008/8/14(木) 午後 6:06
こちらこそご協力を賜り感謝しています。
あと少し、よろしくお願いします。
心は…どうでしょうかね(笑)
2008/8/14(木) 午後 8:17