『いつか春が』執筆日記

波乱に満ちた人生。夢に向かって挑戦する男のドキュメントストーリー。

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★★★8月16日(土)17日(日)は記事の更新はお休みします。次回は最終回です★★★

【解説】
年が明けて判決まであと一ヶ月。いよいよ判決がせまり、落ち
着かない日々を送る父や母。私も一日一日が長く感じていました。
じつは本には書きませんでしたが、大晦日に大変な騒動が起き、
年明けとともに私は謹慎の身となっていました。

検察が関係者を取り調べて作った調書が、あまりにもズサンで
あることがマスコミによって全国に報道されたのです。検察の
調書に生年月日が全く同じな人が何人もいることが発覚したの
です。しかも、供述内容が一言一句同じ調書が多数存在するこ
とも。まるでヒナガタ調書に名前を書き込んだような…。
その際に、生年月日までそのまま次々とコピーしたような…
(後日、この件は最高検察庁の内部調査でも問題となりました)

それをマスコミに誰が流したのか…。
大騒ぎとなり、最高検まで動き出したのです。……記者に言わ
れました。「副島さん、あなたはもうマークされているから、
気をつけたほうがいいですよ。後ろをいつも確認してほうが
(尾行されているかも)いいよ。別件逮捕だろうが何だって
やるからね」

私は事件のことを公開していたホームページを泣く泣く閉鎖し、
国家権力という見えない影に怯える毎日でした。

いよいよ判決当日へと……

TOPページにも紹介していますが、本を読んだ方の新しい感想や
書評が届いたのでご紹介します。読み応えがありますよ。
●「ヨネヨネ日記」さんの書評 http://blogs.yahoo.co.jp/not_bricht_eisen/56179640.html#56179640
●「あおちゃんのお茶ばなし」さんの書評 http://blogs.yahoo.co.jp/pilopilo3658/24219316.html#24234973
●「よっしー道場」さんの書評 http://blogs.yahoo.co.jp/yossie_70/14334993.html
●「風の穴は何色」さんの感想 http://n0o0n.blog18.fc2.com/blog-entry-1222.html
●読者の皆様から寄せられた声 http://blogs.yahoo.co.jp/rainrain1192/archive/2008/06/26
●西日本新聞の書評 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/book/auther/20080630/20080630_0001.shtml

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『いつか春が 〜父が逮捕された「佐賀市農協背任事件」〜』
     (不知火書房より全国の主要書店にて発売中)

 最終章 第十ニ章 空を見上げて 長かった(校正前の原稿より) 

人の人生なんて本当にちっぽけなものだと思う。
父は四十年以上農協一筋で頑張ってきたが、そうやって築き上げた
信用や地位をたった一夜にして失った。
人生なんて本当にちっぽけなものかも知れないが、それでも絶対に
捨ててはいけない。ちっぽけな人生だからこそ自分の人生は大切に
しなければならない。

あと少し……あと少しでこの闘いも終わる。

一月二十七日、判決まであと二日と迫った。
父も母も不安でそばに居てほしいようだったので、私は数日分の着
替えをバッグに詰め込むと佐賀に向かった。
同じ日、日本テレビのTさん達が判決の結果を当日報道するために
佐賀入りした。
地元のマスコミからも父に対して「判決を前にして今の心境をお聞
かせください」と事前取材の電話が相次いだ。逮捕以来、マスコミ
から取材を受けることなど一度もなかったから、半年前に三人でマ
スコミ行脚をしたことは無駄ではなかったのよと母は素直に喜んで
いた。

記者達もようやくこの事件は何かおかしいと感じ始めたようで、「
ひょっとしたら無罪判決が言い渡されるのでは……」という空気が
記者の間にも漂い始めていた。佐賀地裁で過去に無罪判決が言い渡
されたのは三件ほどしかないらしく、それもずいぶん昔のことだっ
た。歴史的瞬間を報道しようと佐賀のマスコミの間でも判決当日に
向けての準備が進められた。

判決当日は裁判所の玄関前に地元テレビ局の中継車が入り、判決の
速報をすぐさま現場のキャスターが実況中継するという段取りにな
っているらしかった。
新聞にも判決を前にしての記事が掲載された。
判決後に記者会見を行うことになり、弁護士の先生達は会場の手配
やマスコミへの対応に追われていた。裁判所では傍聴希望者の多さ
を見越して席は抽選で決める事が決まっていた。
判決を前にして、私たちの緊張はどんどん高まっていった。

一月二十八日、判決前日。
私も佐賀に入ったものの何も手につかず、父と母の話し相手になっ
てやるだけだった。裁判の話はなるべく避けたかったが父はそのこ
としか頭になくて、私たちと一緒に裁判の話をしていることで気持
ちが落ち着くようだった。

父は一日中、朝から晩まで裁判の話や不安な胸のうちを私と母に話
し続けた。確かに裁判のことを話すことで父の気持ちは落ち着くよ
うだった。裁判の苦しみや孤独。父はいつも誰かに聞いてほしかっ
たのだ。
日が暮れて父と母と私の三人で食卓を囲んだ。昼間は元気そうに振
るまっていた父も、夜になると口数が少なくなった。判決前夜の食
卓は会話も途切れがちで、お互いに不安な気持ちを隠せなかった。

「お父さん、いよいよ明日になったね。泣いても笑っても明日の十
時には裁判が終わるよ」
「そうだなあ……長かったなあ。かれこれ三年だもんな。本当に苦
しかったなあ……」
どこか遠くを見るような眼差しで父は語った。
「ほんなこと……お父さん、長かったねえ。あきらめんで最後まで、
よお闘ってきたよね。最初は、お父さんが精神的に耐え切れずにつ
ぶれてしまうとやなかろうかと心配したよ……」
母が箸を持つ手を止めてしみじみと話した。父は食事には箸をつけ
ないまま母の言葉にうなずいていた。

私自身も苦しくて途中で何度もつぶれそうになった。
最初は一年、長くても二年で終わるだろうと考えていたが、三年も
かかった。途中で何度も裁判から逃げ出したいと思ったが、でも結
局は苦しむ父や母を見るとほうっておくことは出来なかった。
私は息子として何とか父を支えてきたが、家庭は妻に任せっぱなし
だった。
私は夫や父親として自分の家族には何もしてやることができなかっ
た。このままではみんなが不幸になるので別居しようというところ
まで追い詰められて、家庭崩壊の危機も何度か経験した。
そのたびに私は「苦しいからという理由で今、家族が別々に暮らし
たら、本当に家族はバラバラになってしまう。
苦しいけれど裁判が終わるまで辛抱してくれ……」と訴えた。

私が真夜中の工事現場で働いていた頃、雨や雪の夜には妻が朝まで
眠れずにいたことにも私は気づいていた。
目を真っ赤に腫らしながら妻は風呂を沸かして私を待っていてくれ
た。家族のことを思うと私はこの三年間、自分の不甲斐なさにずっ
と胸を掻きむしってきた。

会話が途切れたままの食卓……。父も母もそれぞれの中で三年間を
振り返っていただろう。
母は普段から口数の少ない人だったが、この三年間一度も泣き言を
言わなかった。
父は苛立つ感情を誰にもぶつけることができず、その吐け口を何度
も母に向けたが、母は黙って受け止めてきた。いつの間にか母の背
中は丸くなり、額には深いシワが刻まれていた。

長かった三年間の苦悩のシワが。三年間を振り返ると、母が一番強
かったのかも知れない。そして母が一番孤独だったのかも知れない。
私は父と母の顔を見つめた。

この三年間は二人にとって人生の終局にやってきた激動の年月だっ
たが、どちらか一方が欠けることもなく、こうやって最後まで一緒
に支えあってこれたのがせめてもの救いだったろうと思った。
食事を終えると父は書斎に一人こもった。
「そっとしておいてあげよう」と母が言ったので、三人は言葉を交
わすことなく静かに別々の時間を過ごした。
私も早めに布団に入ったがなかなか眠れず、夜中にトイレに立つ父
の足音が何度も聞こえた。

一月二十九日、判決当日。
「お父さん、おはよう」
「おはよう……」
洗面所で父と朝の挨拶を交わした。
父の顔を見ると、まぶたが腫れ上がっていた。ほとんど眠れなかっ
た様子だった。顔を洗って食卓についたが、食事がのどを通らない
ようだった。

        〜 中 略 〜

洋間で撮影の機材がセットされていく。

■音楽協力:「Love Songs」 さん http://blogs.yahoo.co.jp/xiong_maririn

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閉じる コメント(4)

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http://blogs.yahoo.co.jp/xiong_maririn/14932521.html
の返信
fightさん
気になさらないでくださいね
Xiong M Jarka with Love

2008/8/15(金) 午後 10:44 Xiong M Jarka

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Xiong M Jarkaさん、早速使用させていただきました。
ありがとうございます。返信??…よく分かりませんが
大丈夫ですよ(笑)

2008/8/15(金) 午後 11:10 Fight

毎日の記事のアップ、お疲れ様^^

たまには、オフと決め込んで寝るのもいいかも
しれませんね・・。くれぐれもお体ご自愛下さい。

コメントありがとうございます。
今日も良き日でありますようにね。
がんばれ〜★

ポチ!

2008/8/16(土) 午前 11:50 瑠

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ありがとうございます。また今日から活動を開始します。只今、準備中です(笑)今、しばらくお待ちを。

2008/8/18(月) 午後 0:50 Fight


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