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「あなたは本の中で、なぜ検事の名前を実名でなくイニシャルにしたのですか?」と
新聞の取材の中で記者に訪ねられました。たしかに本を読んでもらえば分かりますが
検事が取調室という密室の中で「ぶち殺すぞ!この野郎」と父の意識を失わせるほど
何度も恫喝して、勝手に嘘の自白調書まで作っていったことは脅迫であり犯罪だと
思います。しかも人権を無視した卑劣な行為であり謝罪すらしないままなのは
人間として許せない行為です。
私も最初は彼を殺してやりたいほど憎んでいました。しかし人を憎むことの虚しさに
気づきました。憎しみを持って彼に復習しても憎しみしか生まれません。
本の中で私や父、母は実名で書きました。この事件に関与した検事や事務官の名前を
実名で書けば、彼らに対して周囲も何らかのバッシングを行うでしょう。
しかし、私は父が実名で報道されて犯人の汚名を着せられて、家族というだけで
私にも周囲との溝が出来たことは事実であり苦しみました。
検事や事務官たちが行った行為は違法な行為であり許せないことです。
しかし彼らにも家族がいるのです。彼らの家族には何の罪もないのです。
彼らの名前を実名で公表すれば、彼らだけでなく家族も苦しむ結果を招くことは
自分の経験でも痛いほど分かります。私は人を傷つけるために本を書いたのでは
ありません。誰も知らない裁判の裏側でこうゆう事実があったことをきちんと世間に
伝えるために書いたのです。こうゆうことが今後も起きる可能性があることを
示唆して、裁判員制度や司法改革において二度とこのような悲劇が生まれないように。
検事や事務官たちは最後まで謝罪もしなかったし知らん振りして世間が忘れることを
祈っていたはずです。実際、世間の記憶からどんどん消えていっていましたから
内心安堵していたはずです。それが突然、息子が本を出した…驚いているでしょう。
できれば誰にもこの本は読んでもらいたくないでしょうし、本屋の店頭に並ばないで
ほしいと願っているでしょう。彼らの祈りが通じたのか福岡では新刊本扱いでもなく
ノンフィクションでもなく郷土本として本屋の片隅に置かれています。
これでは誰も気づかないでしょう(苦笑)
彼らの家族には罪もないし、世間の冷たい風を受けさせるような真似をしたくありません。
違法な行為を行った検事や事務官……彼らが人間としての良心に従ってきちんと
謝罪すべきです。彼らがこの本を読めば「これは自分のことだ」と気づくはずです。
自分が犯した行為によって人の人生を切り裂いた…これだけは忘れて欲しくないですね。
これからも知らん振りして生きていくのでしょうが、それならば一生十字架を背負って
生きていけばいいだけです。心の良心が痛む十字架を背負っている限り、彼らは
二度とこのような過ちを犯さないと思います。そう願います。
私たち家族が受けた苦しみを彼らの家族にも与える必要はないし、私はそれを
臨んでいるわけではありません。だから実名にしなかったのです。
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