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「収監」という司法用語は、マスコミでもあまり報道されないし、ドラマや 小説でも描かれないので、実際のイメージがわかないと思います。 父の刑事裁判でも判決が近づくたびに、この言葉がちらついていました。 もし、有罪となり執行猶予がつかず、実刑となった場合は収監されるのです。 収監される最終の場所は刑務所。 判決が迫ったある日の弁護士との会話を思い出します。 弁護士の先生が私と父と母を前にして説明した。 「副島さん、もし万が一・・・万が一、負けて有罪となった場合は、すぐに保釈申請 の手続きを取りますよ。すぐに裁判所に出せるように書類を準備しておきますね。 実刑になることはないと思いますが(執行猶予がつくだろうと思うから)、 この裁判は何が起きるか分かりませんからね・・・それでですね・・・」 私たちは神妙な面持ちで先生の説明を聞いていた。 先生はさらに何かを話そうとしているが、言い出しにくいのか口ごもってしまった。 いったい何だろう。私は先生が言い出しにくそうだったので、逆にこちらから尋ねた。 「先生、もしもの時はすぐに控訴手続きを取って下さい。私たちは闘いますよ。 それで、もし有罪で実刑となれば父はどうなるのですか」 「万が一、実刑となればそのまま収監されます」 「はあ・・・収監?」 「そうです。今は副島さんは保釈の身ですが、実刑となればその瞬間に保釈は 取り消されるのです。それで再度保釈の手続きを取らないと、逮捕された時と 同じように、塀の向こうへ連れて行かれるのです・・・」 「えっ!それじゃあ、先生ぜひ準備をお願いします」 「分かりました。書類はこちらのほうで準備しておきます。それともう一度、保釈金を 納めなければなりません」 「えぇっ、またですか。今度はいくらになるのでしょうか」 「保釈の申請をした時に収めた※※百万円がいったん戻るような形になりますので そのお金を再び保釈金として使わせてもらいます。伝票上の処理の問題ですがね」 保釈金は被告とされた人間の社会的地位や収入などによって、裁判所が金額を決定 する。保釈を申請する時は、現金で納めなければならない。たまに保釈金が 何億という金額をニュースで目にするが、何億という現金を用意して裁判所に 預けなければならない。保釈金は裁判が終わると戻されるので、保釈と引き換えに 現金を人質として預けておくようなものだった。 「主文、被告人は無罪」 父は無罪となり収監はなかった。 私は収監という言葉を聞くたびに、ある裁判を思い出す。 「主文、被告人を懲役○年○月とする」 裁判長が最後に、もう一度判決を読み上げた。 静まりかえった法廷は誰もが言葉を失ったままだった。覚悟はしていたが、それでも 実際に実刑が言い渡された瞬間は、頭の中が真っ白になった。 証言台に立ち尽くす被告。肩を落としたままうなだれていた。 「さあ、みなさん退廷して下さい」 職員が早く法廷から出るようにせかした。 傍聴席の人たちが無言のまま立ち上がりはじめると、判決を言い渡されたばかりの彼が 傍聴席に向かって深々と頭を下げた。頭を下げたまま彼は動かない。 しばらく会えない彼の姿をしっかりと目に焼きつけておこうと、そろぞろと歩きながらも 彼の姿を目で追う親戚の人たち。彼に何か声をかけてあげたかったが、誰もどうすることが できなかった。 私は法廷を出ようとしたときに、一瞬だったが頭を下げたままの彼の横顔が見えた。 目をつぶったまま必死で涙をこらえていた。 私は法廷の外に出たあと、扉のガラス越しに法廷をのぞいた。 職員たちが大きなついたてを運んできたかと思うと、彼の周りを次々とついたてで囲んだ。 あっという間に彼の姿は見えなくなった。 ついたての向こうでは、今、この瞬間、これから護送されるために 手錠がかけられているはずだ。そのためのついたてに違いない。 胸が苦しくなった。 こうして彼は判決直後に収監の手続きに入った。 まだあどけなさが残る彼は未成年だったが、一瞬の運転ミスによって重い十字架を背負った。 普段はみんなの人気者だった気のやさしい子だったのに・・・一瞬で。 刑期を終えるまで彼は帰ってこない。 家族や恋人を残したまま、彼はその場で収監された。 その場に居合わせた私は、彼の両親の顔を見ることが出来なかった。 事件や事故は突然襲い掛かる。そして裁判。 これは決して他人事ではない。 もし身に覚えのない罪で収監されたら・・・・ 「収監」とは家族や大切な人との離れ離れになる別れを意味する言葉だ。 私がなぜ敢えて今日、「収監」という言葉を取り上げたのか・・・。 それは先日の高知スクールバス事故の裁判で、最高裁は上告を棄却して バスの運転手に実刑を下したからです。これによって彼は収監されることが 決定しました。ご本人も覚悟は決めておられますが、これが司法の現実です。 刑事裁判の現実です。なぜ、実刑なのか・・・これが後に無実であることが 証明されたら、いったい誰が責任をとるのでしょうか。 片岡さんの闘いはまだ続くでしょうが、頑張って帰って来てください! ============================
============================ ■音楽協力:「Love Songs」 さん http://blogs.yahoo.co.jp/xiong_maririn http://media.imeem.com/m/lEI878OSFQ Lena_Maria_by_Yahoo!ブログの為のimeem_wiki文法 |

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